依田一義のエネルギー情報133

バイオマス発電の開発助言会社、新エネルギー開発(群馬県沼田市)は25日、パームヤシを使った新しいバイオマス燃料を開発したと発表した。食用油の原料になる果実を採った後の、残りの房を炭化技術で固形燃料に加工。世界初という。

新燃料は水に強くて輸送しやすく、燃焼効率も一般的な木質系よりも2割以上高い。2018年から主に東南アジアで生産し、国内バイオマス発電所向けに販売する。

新燃料は、米国で燃料関連の研究開発を手掛けるHM3エナジー(オレゴン州)と共同開発した。パームヤシは油分が多い果実のほかに、果実の殻がバイオマス燃料として使われているが、残りの房は燃料には適さないとされ、廃棄されることが多かった。

それを、HM3エナジーが持つ木材の炭化技術を活用し、「半炭化」処理を施すことで、固形燃料化に成功した。パームヤシの果実の殻は需要増で価格が上昇傾向にあり、房であれば、調達コストを低減できる可能性があるという。

国内ではバイオマス発電の普及で燃料調達が課題になっている。北米でも生産を始め、20年に年20万トンの生産体制を整備する。

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依田一義の不動産開発情報70

神奈川県藤沢市の「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン(以下、藤沢SST)」は、パナソニックの約19万平方メートルの工場跡地を利用し、先進的なスマートタウンの実証の場として開発が進められている新しい街である。パナソニックを含めたFujisawa SST協議会で運営している。

パナソニックを中心とする12社や藤沢市が中心となって開発プロジェクトを推進。2012年度までに街の構想を固め、2013年度から順次建設を開始。2014年度には街びらきを行い、入居者を募集し始めた。住宅は、戸建て住宅が約600戸、集合住宅が約400戸を計画しているが、まずは戸建て住宅から分譲を開始。現在は330世帯が入居しているという。

●多世代交流を実現する健康・福祉・教育施設

こうした流れの中で、新たに完成したのが、健康・福祉・教育施設「Wellness SQUARE(以下、ウェルネススクエア)」である。同施設は北館と南館の2棟で構成される拠点で約68kW(キロワット)の太陽光発電、ガスコージェネレーションシステム、蓄電池などを備えている。北館は2017年4月の完成を計画しており特別養護老人ホームと短期入所生活介護施設が入居する。今回完成した南館は、サービス付き高齢者向け住宅、居宅介護支援施設、訪問介護施設、通所介護(デイサービス)施設、訪問看護施設、クリニック、薬局、認可保育園、学童保育施設、学習塾が入居。2016年9月1日にオープンする。

同施設がテーマとしているのが「多世代」「多機能」「多業種協業」である。介護施設や老人ホームなどの高齢者から、保育園や学童、学習塾などの子どもたちまで、幅広い年代の人々が同じエントランスを通って利用する仕組みとなっているという。Fujisawa SST協議会の代表幹事のパナソニック 役員で、ビジネスソリューション本部長 兼 東京オリンピック・パラリンピック推進本部長の井戸正弘氏は「多世代の共生を支えるつながる空間であることが特徴である。藤沢SSTは100年続く暮らしを目標としているが、社会課題の価値と空間価値向上を推進することで、新しい社会や街づくりの形を示していく」と述べている。

●街づくりは50%まで完成

藤沢SSTはもともと、2020年度前後までをめどに街づくりを進めていく計画を示しており、今回のウェルネススクエア(南館)の完成で、開発の進捗状況は約50%まで来たとしている。今後は、2017年4月にウェルネススクエアの北館を完成させる他、2016年秋には藤沢SST内に次世代型物流施設をオープンさせる予定。これはヤマト運輸をパートナーとしているという。さらに集合住宅なども2017~2020年度の間に建設する。

藤沢SSTのここまでの手応えとしてFujisawa SSTマネジメントの社長である宮原智彦氏(パナソニック)は「都市開発の状況は現在、計画の約半分まで来ており、ほぼ計画通りに進んでいる」と自信を見せる。

さらに「先進的なスマートシティということで国内外の多くの企業から関心を得ており見学の数も非常に多い。1年間で1万人以上の見学がある」と宮原氏は述べている。藤沢SSTは開始当初から、1990年比でCO2排出量70%削減、2006年比で生活用水の使用量30%削減、再生可能エネルギーの利用率30%以上、ライフラインの確保3日間を数値目標とした取り組みを進めてきている。

これらの目標についても「現在は330戸の入庫と商業施設という状況だが、現状ではCO2の排出量70%削減も再生可能エネルギー利用率30%以上という目標も達成できている。このままのペースを維持していきたい。また、ライフラインの確保についても入居者が進んで活動を進めている状況で、見学者からも高い関心を集められている」と宮原氏は現状を説明している。

●街を育てる取り組み

藤沢SSTでは、2013年から建設を開始し街づくりを中心とした取り組みを進めてきたが、2016年度からは「徐々に『街を育てる』フェーズに入ってきた」(宮原氏)としている。これに対し、街にかかわる人全てが藤沢SSTの未来を育てることを目指し「まち親プロジェクト」を推進しているという。

「当初思っていた以上に入居した世帯が自治会などの活動やコミュニティー活動が活発で、街としての価値を示すことができているのではないか。今後はこうした仕組みやノウハウなどを生かして水平展開を進めていく」と述べている。

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依田一義の不動産情報132

国土交通省は26日、全国主要都市の100地区を対象に四半期ごとに実施している地価動向調査について、7月1日時点の結果を発表した。

オフィス需要の回復や大都市での再開発事業の進展を受け、全体として緩やかな上昇基調が継続。4月1日時点の前期調査と比べ、1地区少ない88地区で上昇し、12地区が横ばいだった。

前期比で6%以上上昇したのは東京都の「銀座中央」、名古屋市の「太閤口」、大阪市の「なんば」の3地区。銀座中央は路面店舗を中心に募集物件が少ないことが、地価を押し上げている。名古屋駅前の太閤口は、リニア中央新幹線の開業を控えていることなどが上昇要因。なんばは、外国人旅行者の買い物や宿泊拠点としての性格を強めている。

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依田一義の不動産情報131

アットホームの調査によると、7月の首都圏における居住用賃貸物件成約数は1万6940件だった。前年同月比8.4%減となり、5カ月連続のマイナスとなった。好調だった単身者向けマンションも4カ月ぶりに減少に転じている。

東京23区は7564件で、同11.8%減と同5カ月連続の減少。減少率はエリア最大だった。千葉県は同2カ月連続の減少。埼玉県は同4カ月ぶりのマイナスで、神奈川県も減少した。全エリアで減少したのは、東日本大震災が発生した2011年3月以来5年4カ月ぶり。ただ、新築アパートでは単身者向けが同2年7カ月連続増加と好調に推移している。

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依田一義の不動産開発情報69

東急不動産、住友商事、住友不動産はこのほど、地上50階建て・総戸数653戸の超高層タワーマンション「(仮称)ブランズタワー梅田北プロジェクト」の建設に着手した。大阪市北区の大阪市営地下鉄御堂筋線中津駅直結、阪急電鉄梅田駅から徒歩7分の立地。
大阪の高級ホテルとして知られた「東洋ホテル」跡地での開発。「都市・居住環境整備重点地域特定地区」に位置し、街並みが大きく変遷している中津駅周辺エリアの開発を象徴することになる。
物件の竣工は2020年2月下旬を予定。

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依田一義の不動産開発情報68

三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは、「三井ガーデンホテル京橋」を9月1日に開業する。
客室は233室。2階にはロビーとレストランが一体となったラウンジを設置する。

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依田一義の不動産情報130

東京カンテイが発表した7月の中古マンション価格(70平方メートル換算、売り希望価格)によると、首都圏は前月比0.6%上昇の3494万円となり、7カ月連続で上昇した。しかし都県別に見ると東京都は先月まで24カ月連続上昇していたが、同0.1%のマイナスと上昇傾向は一服。神奈川県ではわずかな上昇にとどまり、千葉県も築浅事例の減少によりマイナスとなった。埼玉県では、さいたま市が押し上げる形で同プラス1.6%と上昇傾向を示している。

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依田一義の不動産情報129

政府は8月24日、2016年度第2次補正予算を閣議決定した。国土交通省関係では、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に向けた新規事業が創設される予定だ。社会全体の所得と消費の底上げが目的。250億円を計上する。
新規事業の1つは、若年者による既存住宅の取得・リフォームに対する支援措置。40歳未満の若年者が既存住宅を取得し、省エネ改修などのリフォームをする場合の費用を補助する。既存住宅売買瑕疵保険への加入やインスペクション(瑕疵保険の加入時に必要な現場検査の基準を満たすもの)の実施を条件とする方向。補助額は、瑕疵保険・インスペクションに係る費用を含めて戸当たり50万円。耐震改修を行う場合はこれに15万円上乗せする予定。なお、上記の要件を満たせば買取再販も対象となる。

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依田一義のエネルギー情報132

九州電力は今秋からオール電化の営業活動を加速させる。住宅で使われるIHクッキングヒーターや電気給湯器「エコキュート」のメーカーと協力した営業展開を家電量販店などで始め、新たなテレビCMもスタートする。

量販店で九電とメーカー名を併記した「コラボのぼり旗」を掲げる。IHのメーカーなどは九電のオール電化営業の中で、自社製品が使われることを歓迎していると九電はみており、さらに協力関係を深める方針だ。

また、オール電化の顧客獲得を狙ったテレビCMも始める。CMは通常15~30秒程度で情報量も限られるため、2、3分程度のドラマ仕立ての動画も作成し、九電のウェブで公開することも検討している。

九電は2011年の東日本大震災後、原発停止による電力不足のため、オール電化の営業を休止していた。昨年の川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働などで供給力に余裕が生まれ、今年7月から本格的にオール電化の営業を再開している。

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依田一義の海外不動産情報③

シンガポールは、不動産市場の過熱を抑制する政策を継続する見通しだ。シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行に相当)のメノン長官が同国の不動産市場について、政府の冷却措置を解除するのは「時期尚早」との見解を示した。ここ数年間で「痛みと引き換えに得た成果」を確実なものとするためと説明している。現地紙ストレーツ・タイムズなどが報じた。

同国の不動産市場は2009年から13年にかけて価格が60%上昇し、同年の7~9月期にピークを迎えた。所得増加率30%の2倍となる高騰に市場の過熱を懸念する声が上がり、MASが2軒目以降の住宅購入制限など、いくつかの融資規制策を講じてきた。

こうした措置を受け、民間の住宅価格の上昇は沈静化し、今年4~6月期まで11四半期連続で下落。同長官によると、国内の家計債務の増加率が過去5年の年平均8%から今年1~3月期は1.7%に鈍化したほか、不動産関連の不良債権も減少するなど市場は安定してきているという。

しかし、価格の下落幅はピーク時から9.4%にとどまっていることから、同長官は、市場が安定を取り戻したものの、依然として価格が高止まりの状態にあると指摘。さらに「金利が低く、世界各地の投資家が投資先を模索するなか、再び価格が高騰するリスクもごく小さいとはいえない」と述べ、引き続き抑制策を維持する必要があるとの認識を示した。

これに対し、販売不振に悩む不動産会社などからは、抑制策の緩和を求める声も上がっている。シンガポール不動産開発業者協会の幹部は今年2月、「国内経済が減速傾向にあるなか、さらに景気に悪影響を与えないよう、不動産市場のソフトランディングを確約する必要がある」と政府に訴えた。

シンガポールの今年4~6月期の国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比で2.2%だった。MASは今年通年の成長率を1~3%と予想している。低成長が予想されるなか、地場不動産各社にとっては試練の時が当面続いていきそうだ。

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