依田一義の不動産情報167

最新版(2016年)「不動産バブル指数」が発表され、昨年最もバブル指数が高かったロンドンが2位に後退。代わってバンクーバーが首位を獲得した。

東京は12位。バブル指数は上位国の3分の1にも満たない0.68と、ほかの主要都市に比べてかなり低めだ。アジア圏でも、香港のバブル指数の方が2倍以上高い。

このレポートはスイスのUBSが毎年作成しているもので、単に不動産価格が高い都市ではなく、「各国の経済成長に反して過剰な価格の高騰が見られ、バブルが弾ける可能性が高い都市」を測定している。

今回対象となった18都市中「経済に見合った不動産価格」の都市は、14位のシンガポールから17位のシカゴのみ。18位のミラノは唯一、「不動産価値が過小評価されている」という結果だ。

不動産価格が異常なまでに急騰したロンドンは、昨年を境に特に高級物件価格が暴落。6月のEU離脱決定が、価格の下落を加速させている。8月の販売シーズンには多少上向きに傾いたが、新規住宅ローンの申請などはますます減少傾向にあり、離脱交渉開始とともに完全にバブルが弾ける可能性が懸念されている。

新たなバブルNo.1都市となったバンクーバーはロンドン同様、過去10年間で不動産価格が急騰し、一般市民には手の届かない「永遠に夢のマイホーム」現象が起きている。

またストックホルムでも新築住宅建設が需要に追いつかず、かぎりなく上位2都市に酷似する状態に近づきつつあるようだ。

不動産価格の上昇は抜群の経済効果が期待できる反面、多くの市民の生活を圧迫するリスクは回避できない。また「弾ける弾けるといわれているのに、結局はまだ弾けない」と過信するのも危険だろう。バブルが巨大化すればするほど、弾けた時に世界に走る激震は深刻度を増すはずだ。

UBSは「2011年以来、各都市のバブルリスクが約2倍増している」と、レポートを締めくくっている。

■最も不動産バブルが弾けそうな都市はバンクーバー

18位 ミラノ(伊)-0.09
17位 シカゴ(米)-0.7
16位 ニューヨーク(米)0.13
15位 ボストン(米)0.29
14位 シンガポール(シンガポール)0.45
13位 フランクフルト(独)0.66
12位 東京(日)0.68
11位 ジュネーブ(スイス)0.75

10位 パリ(仏)0.82
9位 チューリッヒ(スイス)1.03
8位 アムステルダム(蘭)1.22
7位 サンフランシスコ(米)1.27
6位 香港(中)1.52
5位 ミュンヘン(独)1.59
4位 シドニー(豪)1.70
3位 ストックホルム(フィンランド)1.92
2位 ロンドン(英)2.06
1位 バンクーバー(カナダ)2.14

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