依田一義の国際情勢情報①

2001年の米同時多発テロで海軍中佐の夫を亡くした女性が9月30日、首都ワシントンの裁判所でサウジアラビア政府に損害賠償を求める訴えを起こした。

米議会では28日、米国人が外国政府をテロ行為で訴えることを可能にする通称「9・11法案」が、オバマ大統領の拒否権を覆す圧倒的多数で可決された。

ステファニー・デシモーヌさんはこれを受けた提訴で、サウジアラビア政府が国際テロ組織アルカイダを10年以上にわたって支援し、同組織による同時テロの計画も承知していたと主張。同国の支援がなければアルカイダが同時テロを思い立ち、計画、実行する能力を持つことはなかったとして、娘とともに「重度かつ永続的な個人的被害」に対する損害賠償を求めた。

訴状では、サウジがアルカイダのメンバーに対し、仲介者を通したり慈善事業を装ったりしてテロ実行の資金などを提供していたと非難している。

オバマ氏が発動した拒否権が覆されたのは在任中で初めてのことだった。オバマ氏は、同法案がサウジとの関係を損ない、外国政府が米軍の行動をめぐり米政府を訴える動きに道を開く恐れもあるとの警告を発した。
議会側でも与野党の指導者が法案に懸念を表明し、修正を求める声が上がっている。

米国では今年、同時テロ実行犯の一部がサウジ政府関係者とみられる人物らと接触し、支援を受けていたことを示す議会報告が公開されていた。実行犯19人のうち15人はサウジ国民だった。

一方、サウジ外務省は最近の声明で、同法案が施行されれば「国家主権の免責」という長年の原則が損なわれ、米国を含むすべての国に悪影響が及ぶことになると懸念を示していた。

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