依田一義の国際情勢情報20

イタリアのパドアン経済・財務相は、欧州連合(EU)はイタリア政府が移民受け入れや震災復興のコストに対応するための財政赤字の拡大を認めるべきとの見解を示した。

政府が15日公表した2017年度予算案では、財政赤字は国内総生産(GDP)比で2.3%と、当初予想の2.0%を上回り、欧州委員会に対し5月に提示した目標の1.8%も上回る見込みとなった。

23日付の現地紙レプブリカによると、パドアン財務相は「EUはどちらを取るか選ぶべきだ。イタリアが8月の大地震と移民危機という緊急事態に対応するために財政赤字の対GDP比率が2%から2.3%に拡大することを受け入れるか、ハンガリーのように移民を拒否する壁を建設することを支持するか。ハンガリー方式の採用は終わりの始まりだ」と語った。

欧州委はイタリア政府に財政規律違反を警告する書簡の送付を検討している。イタリア紙によると、書簡は24日に到着する可能性がある。

パドアン財務相はまた、イタリアは欧州の他のどの国よりも多額の資金を移民と難民に使ってきたとし、「だれもイタリアの財政負担を認識していない。それは政治的問題であり、欧州大陸の将来に関わる問題だ」と指摘した。

これとは別に、イタリアのレンツィ首相は国営テレビのインタビューで、イタリア政府はEU側と財政赤字目標のわずかな変更をめぐって議論しているのではなく、移民の受け入れを拒否する東欧諸国への制裁をEUに求めていると発言。

「イタリアが海を越えてくる人々を救助する一方で、EUから財政支援を受ける東欧諸国が壁を築き、移民を拒否していることは受け入れられない」と述べ、ハンガリーなども移民を受け入れるべきとの見解を示した。

予算案については週内に議会に提出されると述べた。

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