依田一義の経済情報⑥

大手百貨店4社が3日発表した9月の既存店売上高(速報)は三越伊勢丹ホールディングスなど3社が前年同月と比べて減少した。台風や降雨日が多く、客足が鈍ったのに加え、気温の上昇で秋物の衣料品が振るわなかった。三越伊勢丹は衣料品や宝飾品が低調で4.9%減。訪日外国人客の売り上げも16.9%減った。大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングは化粧品が好調だったものの、心斎橋本館の建て替え工事の影響もあり8.0%減だった。高島屋も婦人服や紳士服、子供服、食料品などがマイナスで4.3%減だった。一方、そごう・西武は世界的デザイナーの高田賢三氏などを起用した秋商戦向けのプライベート商品が好調だったほか閉店セールなども貢献、0.2%増で7カ月ぶりにプラスに転じた。

株式会社Z-ONE

依田一義のエネルギー情報150

東京ガスは3日、タイの天然ガス火力発電事業に参画したと発表した。同社が海外で発電事業に携わるのは4件目で、東南アジアでは初めて。

子会社「東京ガスアジア」を通じ、タイで発電事業を手掛ける「イースタンパワー&エレクトリックカンパニー」の株式28%を、フランス大手トタルのグループ会社から取得した。

イースタンパワー社は、首都バンコク近郊に出力35万キロワットの火力発電所を保有し、発電した電気をタイ発電公社へ2023年まで売電する契約を結んでいる。

東ガスはこれまで、メキシコやベルギーで計3カ所の発電事業に参画。東南アジアでは、ベトナムに液化天然ガス(LNG)の販売や基地建設を手掛ける合弁会社を設立するなど海外展開を加速している。

東ガスは「いずれはガス事業やエネルギーサービスなど日本でやっているような『バリューチェーン』を展開していきたい」としている。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報⑤

2016年度上期(4~9月)の新車販売台数は、前年同期比1.0%減の230万6282台だった。軽自動車を除く普通車は4.0%増の154万6310台とプラスだったが、軽が9.8%減の75万9972台と大幅に落ち込んだことが響いた。

日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が3日発表した。

軽は昨年4月の軽自動車税増税以降の販売不振に加え、燃費データ不正問題による三菱自動車や日産自動車の販売停止が影響し、上期では3年連続のマイナスとなった。三菱は4割近く減り、同社から供給を受けていた日産はほぼ半減した。全軽自協は「今年度内は増税の影響が続く見込みだ」としている。

一方、普通車はトヨタ自動車が昨年12月に発売した新型「プリウス」など新車効果が市場を牽引(けんいん)した。日産のミニバン「セレナ」など夏以降も新車が相次いでいるが、「受注が落ちてきているモデルもある」(自販連)という。

また、三菱自動車の9月の軽自動車以外の自動車(登録車)の販売台数は前年同月比67.0%減の1674台と急減した。燃費データの再測定でも不正を行ったスポーツ用多目的車(SUV)「RVR」など8車種が9月いっぱい販売停止に追い込まれたためだ。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報④

日銀が3日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業非製造業の景況感の悪化傾向が示された。個人消費の停滞が影響するなどして、小売りの業況判断指数(DI)が4ポイント悪化のプラス7と悪化したためだ。消費者物価指数(生鮮食品除く)も8月まで6カ月連続で下落しており、デフレ再来の懸念が高まっている。

低価格品を重視する動きは、すでに外食産業に広がっている。日本マクドナルドは9月から平日の昼限定でハンバーガーとドリンクのセットで400円の「バリューランチ」を売り出している。従来に比べ100円安く、集客の起爆剤にしたい考え。牛丼大手の吉野家は4月、牛丼より50円安い「豚丼」を4年4カ月ぶりに復活。2カ月で1000万食を突破するなど消費者の支持を集める。20年に及ぶデフレで「物価は上がらない」との認識が企業、家計に染みついている。

日銀は9月の金融政策決定会合で物価上昇率2%が安定的に持続するまで金融緩和を続けることを決めた。だが、2%目標を達成するのは容易ではない。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報③

米調査会社のオートデータが3日発表した9月の米新車販売台数は、前年同月比0・5%減の143万5689台となり、2カ月連続で前年を下回った。1~9月の累計は前年同期比0・5%増にとどまっており、最近の減速から通年で過去最高だった昨年の約1747万台に届かないとの見方が出ている。

9月はスポーツ用多目的車(SUV)などの大型車は堅調だったが、小型車やセダンなどの乗用車の落ち込みが響いた。季節調整後の年換算販売台数は1776万台となった。

米国勢の9月の販売台数は首位のゼネラル・モーターズ(GM)が0・6%減の24万9777台。2位のフォード・モーターズは乗用車が大きく落ち込み、8・1%減となった。

日本勢ではトヨタ自動車が1・5%増の19万7260台で全体の3位。5位のホンダは0・1%減、6位の日産自動車は大型車が好調で4・9%増だった。

株式会社Z-ONE

依田一義のエネルギー情報149

資源エネルギー庁が発表した8月の燃料油国内販売は、前年同期比3.0%減の1428万キロリットルと、11カ月連続マイナスとなった。

油種別にみると、灯油、軽油、A重油は前年を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、B・C重油が前年を下回った。

燃料油の生産は同2.6%減の1543万キロリットルと4カ月ぶりに前年を下回った。油種別にみると、軽油、A重油、B・C重油は前年を上回ったが、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油が前年割れ。

燃料油の輸入は同2.5%減の281万キロリットルと7カ月連続でマイナス。輸出は310万キロリットル、同1.3%減と4カ月ぶりに前年を下回った。

燃料油の在庫は1074万キロリットル、同2.6%減と13カ月連続して前年を下回った。油種別にみると、ガソリン、灯油、軽油は前年を上回ったが、ナフサ、ジェット燃料油、A重油、B・C重油はマイナスとなった。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報②

日銀は 4日、9月の全国企業短期経済観測調査(短観)における「企業の物価見通し」を発表した。企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は、平均で1年後がプラス0.6%、3年後がプラス1.0%、5年後がプラス1.0% となった。

前回調査では、1年後がプラス0.7%、3年後がプラス1.1%、5年後がプラス1.1%だった。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報①

国の税収が伸び悩んでいる。

財務省が3日発表した16年4~8月の国の税収は12兆8704億円で、前年度の同時期と比べて4・2%減った。4~8月の税収が前年度を下回るのは、リーマン・ショックが起きた後の09年度以来、7年ぶりという。

税収が思うように伸びていないのは法人税収が少ないことが大きな要因だ。4~8月の法人税収は1345億円で、前年度(4049億円)の3分の1程度にとどまっている。これについて、財務省は「7、8月で大口の還付金があったためで、それを除けば法人税収は昨年度並みだ。過度に悲観する必要はない」と説明している。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報③

事実上停戦が崩壊したシリア情勢をめぐり、ロシアの国営スプートニク通信は2日までに、外務省報道官の話として、米国がシリア政権に対して直接行動に出れば中東地域全体に大きな悪影響を及ぼすとの警告を発した。アサド大統領が追放されれば権力の空白が生じ、「あらゆるたぐいのテロリスト」がその空白を埋めると予想されるためだという。

シリアでは米国、ロシア主導の停戦合意が崩壊した9月22日以降、450人以上の死者が出ているとされ、過去5年間に及ぶ内戦の中でも最悪の事態に陥っている。

反体制派団体「アレッポ・メディア・センター(AMC)」の活動家によれば、ロシア軍の支援を受けるアサド政権軍が市場や病院、モスク(イスラム教礼拝所)など、人の集まる場所を狙って攻撃を仕掛けている。

米国のケリー国務長官は最近、シリア市民団体との会合で、米国の介入強化を求める声に共感を示したことが、CNNの入手した録音テープで明らかになった。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報②

国際通貨基金(IMF)は1日、「特別引き出し権」(SDR)の構成通貨に中国の人民元を加えた。これに先立ち、IMFのラガルド専務理事は9月30日に記者会見し、「中国を国際的な金融、通貨制度に組み入れる重要な一歩で、歴史的な転換点だ」と評価した。

ゲテモノでにぎわった中国の月餅商戦 「本物」も実は要注意 34カ国以上が輸入禁止、日本も規制

SDRは、IMFが加盟国に割り当てる準備資産で、各国はSDRを構成通貨と交換することができる。このため、構成通貨には国際取引で広く使われていることや自由に取引できることが求められ、これまでは米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドの4通貨だった。

1日からSDRの価値を現実の通貨に換算する際の比重で、人民元は10・92%で、米ドル(41・73%)、ユーロ(30・93%)に次ぎ、日本円(8・33%)と英ポンド(8・09%)を上回る。

IMFは、人民元に国際通貨としての「お墨付き」を与えれば、人民元の信頼が増して、世界経済の強化にもつながるとしている。

ただ、金融市場では中国が不透明な人民元相場の管理を続けていることへの不満もあり、真の主要通貨となるには時間がかかるとの見方が多い。

株式会社Z-ONE