依田一義の経済情報51

厚生労働省が28日午前に発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0・01ポイント増の1・38倍で、1991年8月以来、25年1か月ぶりの高水準となった。

正社員の有効求人倍率は0・88倍となり、4か月連続で横ばいだった。

求人票を受理したハローワークごとの受理地別で見た有効求人倍率は、6月から全都道府県で1倍を超えていたが、9月は沖縄県が0・96倍で唯一、1倍を下回った。実際に仕事をする就業地別の有効求人倍率は、6か月連続で全都道府県で1倍を超えた。厚労省は「沖縄県は夏に観光産業の求人が増えた反動で1倍を切った。一時的な傾向だ」と分析している。

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依田一義のエネルギー情報175

2009年に世界で初めて「エネファーム」が日本市場に登場して以来、販売台数は着実に増えてきた。ところが2015年度に過去最高の4万台を超えたものの、成長のペースは鈍化してしまった。2016年度に入ると再び販売台数が伸び始めて、上半期だけで2.5万台に達している。このペースで増えていけば、年間で5万台を超えて前年度を大きく上回る勢いだ。

エネファームはガスを改質して水素を作り、外気から取り込んだ酸素と反応して電力と熱を発生させる。熱は給湯や暖房に利用できるため、エネルギー効率が高くなる利点がある。政府は家庭や商店の省エネ対策としてエネファームの普及に力を入れ、2030年までに全国で530万台の導入を目指している。

現状では累計の販売台数が20万台に満たないため、強力なテコ入れ策が欠かせない。政府は2016年度に総額55億円にのぼる補助金制度を新たに開始して、販売台数の拡大と製品価格の低下を促進している。その効果が上半期の販売台数の増加に表れた格好だ。

エネファームには普及タイプのPEFC(固体高分子形燃料電池)と、高効率タイプのSOFC(固体酸化物形燃料電池)の2種類がある。2009年の発売当初は1台の価格が300万円と高かったが、2015年度にはPEFCが136万円に、SOFCも175万円まで下がった。さらに2016年度に開始した補助金制度でPEFCに15万円、SOFCに19万円の補助金を交付して販売価格の低下を加速させる。

政府はエネファームを広く普及させるためには、PEFC方式の販売価格を70~80万円まで引き下げる必要があるとみている。その目標を2019年度に達成して普及にはずみをつける考えだ。SOFC方式も2021年度に100万円まで低下させる。

余剰電力の買取サービスも始まる

その一方でガス会社と機器メーカーは製品のバリエーションを増やして、導入対象になる家庭の範囲を拡大している。典型的な例がマンション向けのエネファームだ。東京ガスとパナソニックが2016年7月に発売したPEFC方式の製品では3つのタイプを用意した。燃料電池の本体と貯湯ユニットを分離できるタイプや、排気パイプを延長できるタイプがある。マンションの住戸のレイアウトに合わせて選べるようにした。

大阪ガスが機器メーカー3社と共同で開発したSOFC方式の新製品もマンションに設置できる。2016年4月に発売した「エネファームtype S」は発電ユニットを小型化したうえで、バックアップ用の熱源機を分離した。マンションのバルコニーにも設置しやすくなり、既設のガス給湯器と組み合わせて使うことも可能だ。

さらにエネファームで発電した電力を買い取るサービスも4月に開始した。通常の使用方法では家庭で必要な電力に合わせて発電量を調整するが、常に発電能力の上限まで電力を作ることによってエネファームの効率を高める。ガスの使用量が増える代わりに、余った電力を大阪ガスが買い取る。家庭では売電収入がガス料金の増加分を上回り、結果として光熱費を削減できる。

2017年4月にガスの小売全面自由化が始まると、競争によってガス料金が下がることは確実だ。そうなるとエネファームの利用効果が高まる。同時に電力会社が家庭向けにガスの小売を開始して、エネファームの販売にも力を入れていく。2017年度から販売台数の増加にはずみがつく可能性は大きい。

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依田一義の経済情報50

三越伊勢丹ホールディングス <3099.T>は28日、2017年3月期の連結営業利益予想を370億円(前年比11.8%増)から240億円(同27.5%減)に下方修正すると発表した。増益予想から一転して減益予想となる。訪日観光客による消費の減少や衣料品、高額品の売上げ低迷が続いている。

トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト11人の営業利益予測の平均値は310億円となっている。

連結売上高は1兆3600億円から1兆2500億円(同2.9%減)へと引き下げた。期初には、訪日客による免税売上高を前年並みの600億円程度と見込んでいたが、これを引き下げている。滝口一雄コーポレートコミュニケーション担当長は「前年のインバウンドの伸びが大きく、その反動が厳しく出ている」と述べた。

4―9月期の免税売上高を含む国内百貨店売上高は、計画を8%下回っているという。

同社は、4―6月期決算時には原則として通期見通しを見直さないことから据え置いていたが、通期見通しの下方修正は必至の状況だった。

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依田一義の経済情報49

日銀は28日、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(日銀版コアコアCPI)の前年比上昇率が9月にプラス0.2%になったと発表した。下落は3カ月連続で、2013年9月の同ゼロ%以来の低水準となる。

日銀版コアコアCPIは、総務省が公表している消費者物価指数をもとに、変動の激しい生鮮食品とエネルギーを除いた指数を日銀が独自に試算したもの。物価の基調を反映する指標として重視している。

2015年12月に同プラス1.3%の直近ピークをつけて以降、下落基調となっており、8月は同プラス0.4%に低下していた。物価の基調も鈍化が鮮明になっているといえる。

総務省が公表した9月の全国消費者物価指数 (除く生鮮、コアCPI)は同マイナス0.5%となった。下落は7カ月連続で下、マイナス幅は8月と同水準だった。前年比でのエネルギー価格の下押しが小さくなりつつあるが、家電製品の価格下落や食品の上昇ペース鈍化が下押しに作用している。

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依田一義の経済情報48

フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した9月の消費支出は前月比0.2%減少した。

ロイターがまとめたエコノミスト12人の予想の平均は0.4%増だった。

8月の消費支出は0.8%増に上方修正された。

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依田一義の経済情報47

地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の承認案が28日午前、参院本会議で全会一致で可決された。

承認案は参院先議で、同日午後に衆院に送付され、衆院本会議で審議入りした。

パリ協定は、批准した国が2020年以降の温室効果ガスの自主的な削減目標を示し、産業革命前からの世界平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることを目標に掲げる。

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依田一義の国際情勢情報29

トルコ軍は26日、シリア北部アレッポ県で親トルコの反体制派がシリア軍所属とみられるヘリコプターに空爆されたと発表した。ロイター通信が報じた。シリア軍の関与が事実ならば、トルコが今年8月に軍事介入して以降、シリア軍が親トルコの反体制派を攻撃するのは初めて。アサド政権はトルコの介入を「侵略行為」と非難しており、両国の緊張がさらに高まる恐れがある。

トルコ軍の発表によると、アレッポの北35キロのアフタリン周辺で26日、円筒形の容器に火薬や金属片を詰めた「たる爆弾」が反体制派の拠点に投下され、戦闘員2人が死亡、5人が負傷した。

トルコ軍は過激派組織「イスラム国」(IS)と少数民族クルド人民兵の掃討を名目にシリア北部で軍事介入を始めた。戦車部隊や特殊部隊が越境して反体制派を支援しているが、当初の活動地域はアサド政権の支配地域から離れていたため、政権側は静観していた。

親トルコ派は東西約80キロにわたって国境地帯を制圧した後、アレッポ北方に南下し、政権側支配地域まで約10キロに迫っている。政権側の包囲下にあるアレッポの反体制派と共にシリア軍を挟撃する可能性もあり、政権側は懸念を強めている。

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依田一義の国際情勢情報28

ブリュッセルで開かれている北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会は26日、ロシア抑止に向け7月の首脳会議で決めた、バルト3国とポーランドに計4000人規模の4大隊を展開する計画の大枠を固めた。

それぞれの大隊を主導する4カ国を複数の加盟国が支える「多国籍部隊」とし、共同で加盟国を防衛する姿勢を明確にする。

4大隊は当初、米、英、ドイツ、カナダが戦闘機や戦車などを派遣して主導。それぞれの大隊ごとに複数の加盟国が参加し、輸送や医療などを担う体制とする。

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依田一義の国際情勢情報27

米国のカーター国防長官と英国のファロン国防相は26日、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と称するシリア北部ラッカの奪還作戦を「数週間以内に開始する」との見通しをそれぞれ示した。米軍主導の有志国連合は、ISのイラクの拠点である第2の都市モスルの攻略と並行してラッカの作戦を進める方針を明らかにしていたが、政府幹部が時期を明言したのは初めて。

イラク軍などは今月中旬からモスル奪還を目指した大規模な軍事作戦を開始し、有志国連合も空爆や作戦指揮で支援している。カーター氏は同日、米NBCのインタビューに、ラッカでの作戦開始時期を「数週間以内」と述べた。ファロン氏もブリュッセルで開かれている北大西洋条約機構(NATO)国防相会議で記者団に同様の見通しを語った。

対IS作戦を巡っては、NATOも今月20日から大型レーダーを備えて味方機の指揮管制を担う空中警戒管制機(AWACS)をシリア上空に飛ばし、有志国連合に情報提供を始めている。また、これまで隣国ヨルダンで行っていたイラク軍の訓練をイラク国内でも近く始める見通しだ。

NATOのストルテンベルグ事務総長は25日の記者会見で「イラク軍への支援を強化する」と述べたが、モスルなどの奪還作戦への直接的な関与については明言を避けた。

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依田一義の国際情勢情報26

韓国の調査機関、リアルメーターは27日、朴槿恵(パククネ)大統領の支持率が26日時点で17・5%に急落したと発表した。2013年2月の就任以降、支持率が10%台まで落ち込むのは初めて。朴大統領が民間人女性に機密文書を渡していた問題が影響した。この問題で、大統領の辞任や弾劾(だんがい)を求める意見も42・3%に上った。

ソウル中央地方検察庁は27日、この問題を追及する特別捜査本部の設置を発表した。黄教安首相は同日朝、緊急の閣僚懇談会を開催。各閣僚に対し、真相究明に努めると同時に、動揺せずに業務を遂行するよう求めた。

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