依田一義の国際情勢情報28

ブリュッセルで開かれている北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会は26日、ロシア抑止に向け7月の首脳会議で決めた、バルト3国とポーランドに計4000人規模の4大隊を展開する計画の大枠を固めた。

それぞれの大隊を主導する4カ国を複数の加盟国が支える「多国籍部隊」とし、共同で加盟国を防衛する姿勢を明確にする。

4大隊は当初、米、英、ドイツ、カナダが戦闘機や戦車などを派遣して主導。それぞれの大隊ごとに複数の加盟国が参加し、輸送や医療などを担う体制とする。

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依田一義の国際情勢情報27

米国のカーター国防長官と英国のファロン国防相は26日、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と称するシリア北部ラッカの奪還作戦を「数週間以内に開始する」との見通しをそれぞれ示した。米軍主導の有志国連合は、ISのイラクの拠点である第2の都市モスルの攻略と並行してラッカの作戦を進める方針を明らかにしていたが、政府幹部が時期を明言したのは初めて。

イラク軍などは今月中旬からモスル奪還を目指した大規模な軍事作戦を開始し、有志国連合も空爆や作戦指揮で支援している。カーター氏は同日、米NBCのインタビューに、ラッカでの作戦開始時期を「数週間以内」と述べた。ファロン氏もブリュッセルで開かれている北大西洋条約機構(NATO)国防相会議で記者団に同様の見通しを語った。

対IS作戦を巡っては、NATOも今月20日から大型レーダーを備えて味方機の指揮管制を担う空中警戒管制機(AWACS)をシリア上空に飛ばし、有志国連合に情報提供を始めている。また、これまで隣国ヨルダンで行っていたイラク軍の訓練をイラク国内でも近く始める見通しだ。

NATOのストルテンベルグ事務総長は25日の記者会見で「イラク軍への支援を強化する」と述べたが、モスルなどの奪還作戦への直接的な関与については明言を避けた。

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依田一義の国際情勢情報26

韓国の調査機関、リアルメーターは27日、朴槿恵(パククネ)大統領の支持率が26日時点で17・5%に急落したと発表した。2013年2月の就任以降、支持率が10%台まで落ち込むのは初めて。朴大統領が民間人女性に機密文書を渡していた問題が影響した。この問題で、大統領の辞任や弾劾(だんがい)を求める意見も42・3%に上った。

ソウル中央地方検察庁は27日、この問題を追及する特別捜査本部の設置を発表した。黄教安首相は同日朝、緊急の閣僚懇談会を開催。各閣僚に対し、真相究明に努めると同時に、動揺せずに業務を遂行するよう求めた。

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依田一義の国際情勢情報25

人道に対する罪や戦争犯罪などを犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)に対し今月、アフリカの3カ国が相次いで離脱を表明した。

ICCがアフリカの指導者を狙い撃ちしているとの、これまでくすぶっていた不満が表面化した形。追随する国も出そうで、ICCにとって大きな打撃となっている。

今月半ばにまずブルンジがICC離脱を定めた法律を議会で成立させ、26日には国連に正式に脱退を通告。南アフリカも21日に正式に離脱を表明した。さらに25日には、西アフリカのガンビアが離脱を発表。ボジャン情報相はICCを「有色人種、特にアフリカ人を迫害し辱めるための白人による法廷」などと痛烈に批判した。ICCの検察官がベンソーダ元ガンビア法相であることも衝撃を広げた。

国連の潘基文事務総長は24日、「南アフリカが(少なくとも1年かかる)離脱の発効までに再考することを望む」との声明を出した。ICC締約国会議のカバ議長も「脱退希望国の(ICCへの)懸念や批判を聞かなければならない」と理解を示しつつ、脱退決定の見直しを呼び掛けた。

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依田一義の国際情勢情報24

コロンビアのサントス大統領への今年のノーベル平和賞授賞が決まり、再開されていた政府と左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)の和平合意見直し交渉について、FARCのロンドニョ(通称ティモチェンコ)最高司令官は24日、新たな合意が「近い」とFARC側の認識を公表した。

自らツイッターに「(和平合意の是非が問われた10月2日の国民投票を)棄権した人、反対した人、そして賛成した人、全員の懸念に対応する合意を明らかにできる時に近づいている」と書き込んだ。

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依田一義の国際情勢情報23

ロシア極東発展省は25日、日本との間で協議を進めている露極東地方での経済協力計画に18の優先項目があり、それらの事業規模が総額1兆ルーブル(約1・7兆円)超に達すると発表した。

エネルギーや輸送、医療などの分野で構成されるが、サハリンと北海道を結ぶ橋の建設や送電計画なども含まれ、実現性が不透明な部分も少なくない。オシポフ極東発展省第1次官は、12月に予定されているプーチン大統領の訪日までに「具体的な成果を出し、さらなる協力に向けた行程を固めていきたい」と述べた。

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依田一義の国際情勢情報22

スペインの最大野党・社会労働党(中道左派)は23日、暫定政権が続く国民党(中道右派)のラホイ首相の正式選出を容認する方針を決めた。スペイン議会は議席が分散して首相が選べない状態が続いていたが、3度目の総選挙は避けるべきだと判断した模様だ。

AFP通信などが伝えた。社会労働党はラホイ氏の続投に反対してきたが、この日の党幹部らの会議では、国会での信任投票で棄権に回り、再任を妨げない方向に転じた。ラホイ氏は、首相に正式選出されても少数与党での厳しい政権運営となる見通しだ。

スペインでは昨年末の総選挙でも、6月のやり直し総選挙でも議席が分散。国民党が第1党の座を保つものの、反緊縮の左派新党ポデモス(私たちはできる、の意)の台頭もあって政権づくりが行き詰まった。10月末までに新首相を選べなければ、年末に3度目の再選挙が想定されている。

左派連合を目指した社会労働党のサンチェス前書記長は、党勢の衰退に加えて連立交渉での他党への妥協などが不評を買い、党トップの座を辞任していた。

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依田一義の国際情勢情報21

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は24日、憲法改正を推進すると電撃宣言した。また、任期内に改憲改正を完了するというロードマップを提示した。

朴大統領はこの日午前、国会で2017年度(1~12月)予算案に関する施政方針演説を行い、「大韓民国の持続可能な発展のためには、私たちが処した限界を大きい枠組みで解かなければならず、私の公約事項でもある改憲議論をこれ以上、先送りすることができないという結論に達した」と述べた。

また「大韓民国を新しく跳躍させる2017年体制を構想しなければならない時期」としながら「本日から改憲を主張する国民と国会の要求を国政課題として受け入れ、改憲のための実務的な準備をしていく」と明かし、「任期内に憲法改正を成しとげるために、政府内に憲法改正のための組織を設置し、国民の希望を入れた改憲案を用意する」と付け加えた。

朴大統領は続けて5年単任制の問題点を指摘し、大統領重任制での改憲を示唆した。

朴大統領は「1987年に改正され、30年間施行されてきた現行5年単任は過去の民主化時代には適合してきたかもしれないが、今は体に合わない服となった」としながら、「対立と分裂で一歩も踏み出せない今の政治体制では、韓国の明るい未来は期待できない」と述べた。

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依田一義の国際情勢情報20

イタリアのパドアン経済・財務相は、欧州連合(EU)はイタリア政府が移民受け入れや震災復興のコストに対応するための財政赤字の拡大を認めるべきとの見解を示した。

政府が15日公表した2017年度予算案では、財政赤字は国内総生産(GDP)比で2.3%と、当初予想の2.0%を上回り、欧州委員会に対し5月に提示した目標の1.8%も上回る見込みとなった。

23日付の現地紙レプブリカによると、パドアン財務相は「EUはどちらを取るか選ぶべきだ。イタリアが8月の大地震と移民危機という緊急事態に対応するために財政赤字の対GDP比率が2%から2.3%に拡大することを受け入れるか、ハンガリーのように移民を拒否する壁を建設することを支持するか。ハンガリー方式の採用は終わりの始まりだ」と語った。

欧州委はイタリア政府に財政規律違反を警告する書簡の送付を検討している。イタリア紙によると、書簡は24日に到着する可能性がある。

パドアン財務相はまた、イタリアは欧州の他のどの国よりも多額の資金を移民と難民に使ってきたとし、「だれもイタリアの財政負担を認識していない。それは政治的問題であり、欧州大陸の将来に関わる問題だ」と指摘した。

これとは別に、イタリアのレンツィ首相は国営テレビのインタビューで、イタリア政府はEU側と財政赤字目標のわずかな変更をめぐって議論しているのではなく、移民の受け入れを拒否する東欧諸国への制裁をEUに求めていると発言。

「イタリアが海を越えてくる人々を救助する一方で、EUから財政支援を受ける東欧諸国が壁を築き、移民を拒否していることは受け入れられない」と述べ、ハンガリーなども移民を受け入れるべきとの見解を示した。

予算案については週内に議会に提出されると述べた。

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依田一義の国際情勢情報19

米国防当局者は21日、米海軍のイージス駆逐艦「ディケーター」が同日、南シナ海・パラセル(西沙)諸島で中国が実効支配するウッディ島とトリトン島の周辺で航行したことを明らかにした。

米軍は、今年5月までに3回、航行の自由を訴える巡視活動を実施してきた。ロイター通信によると、今回は12カイリ内には入らなかったが、中国が「領海」を主張する近辺を航行したという。同当局者は「規定通りに国際法に従って航行した」と説明した。両島は、中国のほか、ベトナムや台湾が領有権を主張している。

中国国防省は21日夜、米海軍駆逐艦が「我が国の領海に侵入した」とし、「重大な違法行為であり、断固として反対する」とする報道官談話を発表した。

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