依田一義の国際情勢情報18

ロシア軍当局者は21日、シリア北部アレッポで人道支援活動名目で20日から政府軍と共に実施している日中の一時停戦について、22日も延長すると発表した。

「国連などからの要請を受け、プーチン大統領が決定した」という。インタファクス通信が伝えた。

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依田一義の国際情勢情報17

ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国首脳が19日、ドイツの首都ベルリンで会談し、ウクライナ東部で2014年以降続いている紛争問題について協議した。4首脳は、昨年2月の停戦合意(ミンスク合意)を実現させるための「ロードマップ」(行程表)を11月までに作成することで合意した。

ただ、ウクライナとロシアの対立は根深く、ロードマップの合意は困難を極めそうだ。両国首脳は個別に記者会見し、プーチン露大統領は「ミンスク合意実施を再確認した。ウクライナ東部に特別な地位(自治権)を認めなければならない」と語った。ウクライナのポロシェンコ大統領は「東部での選挙は、すべての外国軍(ロシア軍)が撤収した後に実施できる」と、改めてロシアを批判した。

4首脳による会談は昨年10月以来。ロードマップの作成は、ホスト役を務めたメルケル独首相が会談後、オランド仏大統領との共同記者会見で明らかにした。ロシア通信などによると、ロードマップは4カ国の外相が作成し、最終的には首脳が署名する計画。全欧安保協力機構(OSCE)の停戦監視団を武装させ、監視体制を強化することも合意した。

ミンスク合意は4首脳が合意し、(1)重火器の引き離し(2)東部の親露派支配地域に大幅な自治権を付与するための憲法改正と地方選挙の実施--などの内容。だが、親露派と政府軍の戦闘が散発的に現在も続いており、これまでに約1万人の住民らが死亡している。

パリで行われた前回の4首脳会談でも、ミンスク合意の実現を確認したが、その後、目立った進展はなかった。ウクライナ政府は、ロシアが軍事的に親露派を支援していることが紛争継続の原因と指摘。ロシアは、ウクライナが憲法改正や選挙実施のための法整備をしていないと主張し、非難合戦が続いていた

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依田一義の国際情勢情報16

中国とフィリピンは20日、南シナ海問題が2国間関係全般を要約するものではないとの認識で一致し、外交と防衛分野での協議再開で合意した。中国の劉振民外務次官が明らかにした。

フィリピンによる対中農産物輸出を再開させ、中国がフィリピンのインフラ整備に金融支援を提供することも表明した。

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依田一義の国際情勢情報15

ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相とインドのモディ首相は19日、インドの首都ニューデリーで会談した。スーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が政権に就いてからは初めての訪印。インドがインフラ整備や経済開発、人材育成などの分野でミャンマー支援を強化することで一致した。

共同記者会見でモディ首相は、「ミャンマーの安定や繁栄に向け全面的な支援を約束する」と強調した。スーチー氏は「我々は若い民主主義国。インドの協力は大きな助けになる」と述べた。スーチー氏の訪印は2012年11月以来。

会談では、インドがミャンマー国境地域の安定化などでの協力も約束。モディ政権は東・東南アジア諸国との関係強化を重視しており、ミャンマーの開発支援を通じて、国境を接するインド北東部の発展につなげる狙いがある。

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依田一義の国際情勢情報14

タイ軍事政権は19日、プミポン国王の死去に伴って暫定摂政に就いた枢密院議長のプレム元首相(96)に代わり、同院顧問官のタニン元首相(89)が暫定的に議長に選ばれたと発表した。

憲法上、暫定摂政と議長職の兼務が禁じられていることに沿った措置で、王位を継承するワチラロンコン皇太子(64)の即位後、プレム氏は議長職に戻る見通し。

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依田一義の国際情勢情報13

米戦略軍によると、北朝鮮が現地時間の20日午前、ミサイル1発を発射した。発射は失敗に終わったと分析している。

ミサイルは現地時間の同日午前6時半ごろ発射された。米戦略軍は、中距離弾道ミサイルの「ムスダン」だった可能性があると見ている。

米戦略軍によれば、北朝鮮は4日前にも北西部の亀城(クソン)でミサイル実験を行っていた。

米海軍のギャリー・ロス司令官は一連のミサイル実験について、「北朝鮮による弾道ミサイル発射を禁じた国連安保理決議に違反しており、強く非難する」との声明を発表。「北朝鮮に対して地域の緊張を一層高めるような行動を自制し、約束の履行と国際的な責務の順守に向けた着実な歩みを取るよう求める」と強調した。

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依田一義の国際情勢情報12

ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5か国(BRICS)は16日、インド西部ゴアで首脳会議を開き、テロ対策の協力強化などを盛り込んだ「ゴア宣言」を採択した。

各地でイスラム過激派によるテロが頻発する中、宣言では「国際テロとの戦いで協力を強化する」とし、あらゆる国が「責任を持ってテロ防止に取り組むよう求める」と強調した。

議長国インドのモディ首相は宣言を受け、「テロを支援する者もテロリストと同様に我々の脅威だ」と訴えた。武装組織によるテロが相次ぐインドは、「パキスタンがテロを支援している」と主張しており、会議を通じてパキスタンへの圧力を強めたい思惑があった。だがパキスタンとの関係が緊密な中国などと足並みをそろえることはできず、テロ防止への具体策を打ち出すこともできなかった。

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依田一義の国際情勢情報11

米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は17日、北朝鮮が開発している中距離弾道ミサイル「ムスダン」が、来年にも実戦配備される可能性があると発表した。北朝鮮は15日に今年7度目となる「ムスダン」の打ち上げ実験を実施したが、直後に爆発。ただ、「38ノース」は、米国の戦略ミサイル計画を上回る頻度で実験を続けることで、予想よりも早く技術を習得する可能性があると分析している。

また15日の打ち上げが、従来の東岸の元山(ウォンサン)からの打ち上げではなく、西岸の亀城(クソン)付近からだったことに注目。約3000キロ離れた南方のフィリピン沖に向けて発射を試みた可能性があると分析した。

北朝鮮は今年6月の打ち上げ実験で「ムスダン」を東方の日本海に向け発射、約400キロ飛ばすことに成功している。新型の移動式大陸間弾道ミサイル「KN08」や「KN14」の開発加速につながると見て、米国などが強く警戒している。

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依田一義の国際情勢情報⑩

ロシア軍参謀本部は17日、シリア北部の激戦地アレッポに対するロシア空軍とシリア政府軍の攻撃を現地時間の20日午前8時~午後4時の8時間に限って一時停止すると発表した。ロシア通信が伝えた。ルツコイ作戦総司令部長は「市民や傷病者を避難させるための人道措置」と記者会見で説明した。

◇人道配慮アピール

ロイター通信によると、国連のドゥジャリク事務総長報道官は歓迎したが、米国務省のトナー副報道官は「(攻撃停止は)短すぎるし、遅すぎる」と批判した。

シリア内戦では、米露主導で9月中旬に発効した一時停戦が約1週間で崩壊。今月15日にスイスで開かれた米露やシリア周辺諸国の外相らの会合でも打開策は見いだせず、人道状況が悪化している。

今回の攻撃停止について、ルツコイ氏は「時間を無駄にしないために決定した」と述べ、アレッポを拠点とする反体制派武装勢力に対しても「20日は朝から何の障害もなく脱出できる」と戦線離脱を呼びかけた。

シリアのアサド大統領はアレッポ奪還方針を明示しており、20日の攻撃停止で人道への配慮をアピールした後、反体制派支配地域への攻勢を強める可能性もある。

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依田一義の国際情勢情報⑨

中国外務省は12日、フィリピンのドゥテルテ大統領が18~21日の日程で中国を公式訪問すると発表した。

習近平(シージンピン)国家主席や李克強(リークォーチャン)首相らと会談する。ドゥテルテ氏が大統領就任後、東南アジア諸国連合(ASEAN)以外の国を訪問するのは初めて。反米姿勢を強めるドゥテルテ氏が南シナ海問題でどんな姿勢を示すか注目される。

両国関係は、南シナ海問題を巡ってフィリピンのアキノ前政権が仲裁裁判所に提訴したことから悪化した。7月の仲裁判決で全面的に主張を否定された中国は、判決受け入れを迫る対中包囲網を切り崩そうと、米国に批判的な発言を繰り返すドゥテルテ氏の取り込みを狙っている。同省の耿爽(グォンシュアン)副報道局長は12日の定例記者会見で、「両国関係が健全で安定した発展の道に戻ることを期待する」と述べた。

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