依田一義の経済情報61

企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが発表した10月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は14万7000人増となり、増加数は予想の16万5000人に届かなかった。

前月分は20万2000人増と、従来の15万4000人増から上方修正された。

ムーディーズ・アナリティクスの首席エコノミスト、マーク・ザンディ氏は、雇用創出のぺースは過去1年間でやや鈍化したものの、労働力人口の増加を吸収するに十分なペースをまだ大きく上回っていると指摘。

同氏は過去1年間の雇用創出ペースの鈍化の要因として、エネルギー部門など逆風にさらされている部門のほか、主に公共投資の減速によるあおりを受けている建設部門を挙げた。

一方、労働市場の引き締まりを受け、企業の採用活動が困難になっていることも伸びの鈍化の背景にあるとの見方を示した。

労働省が4日に発表する10月の雇用統計について ロイターが実施したエコノミスト調査では、民間部門雇用者数が16万6000人増となるとの予想が示されている。前月は16万7000人増加していた。非農業部門雇用者数は17万5000人増となると予想されている。

失業率は4.9%と、前月の5.0%から低下するとの予想が示されている。

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依田一義の経済情報60

財新/マークイットが発表した10月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は52.4で、前月の52.0から上昇し、6月以来、4カ月ぶりの高水準となった。新規事業の回復が雇用の拡大につながった。

製造業とサービス部門をあわせた総合PMIは51.4から52.9に上昇し、3年超ぶり高水準となった。

エコノミストは、政府の継続的な政策が企業の景況感を支えていると指摘した。

財新の中国PMIは通常、午前9時45分(日本時間午前10時45分)に発表されるが、今回は午前9時に発表された。

10月のサービス部門PMIは、先に中国国家統計局が発表した製造業および非製造業PMIと同様、中国経済が安定感を増していることを示した。

PMIの構成項目は、サービスを提供する価格を除くすべてが前月から改善。新規事業は6月以降で最も高い伸びを記録。一部企業は、市場環境の改善に伴う需要回復を挙げた。

景況拡大と悪化の節目である50を4カ月にわたり下回っていた受注残も、節目を越えた。受注の増加に生産が追いつかないと指摘する企業もあるという。

雇用は2カ月連続で拡大し、1月以来の高水準。事業の見通しも前月から改善したが、6カ月ぶり高水準だった8月は若干下回った。

価格は、競争激化の影響が出た。大半の企業がコストのごく一部しか転嫁できていないと回答したという。

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依田一義の経済情報59

経済産業省が31日発表した9月の鉱工業生産指数速報値(2010年=100、季節調整済み)は97.8と前月と変わらず、横ばいだった。事前の民間予測はプラスだったが、前月に大幅増の「情報通信機械」などの反動減が響いた。基調判断は「生産は緩やかな持ち直しの動きが見られる」に据え置いた。

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依田一義の経済情報58

経済産業省が31日に発表した9月の商業動態統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は前年比1.9%減の11兆0230億円となり、7カ月連続の減少となった。

業種別にみると、各種商品小売業、燃料小売業、衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、その他小売業が減少した。自動車小売業、機械器具小売業 医薬品・化粧品小売業は増加した。

季節調整済前月比は横ばいとなった。

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依田一義の経済情報57

国土交通省は31日、2016年に日本を訪れた外国人旅行者数が、年初から10月30日までの暦年で初めて2000万人を超えたと発表した。

政府が進めてきた観光ビザの発給要件緩和に加え、航空路線の新規就航や増便、クルーズ船の寄港増加などで、中国などアジア地域からの旅行者が大幅に増えた。政府は東京五輪・パラリンピックが開かれる20年に4000万人、30年に6000万人の目標を掲げている。

外国人旅行者数は、13年に大台の1000万人を突破し、昨年は1973万人と、ここ数年で急増している。訪日客の消費を経済活性化につなげようと、国や地方自治体がアジア各国を中心に訪日旅行のプロモーションを強化している。経済成長が著しいアジアでは、旅行意欲が旺盛な中間所得層が増えていることも追い風となっている。

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依田一義の経済情報56

ゆうちょ銀行が2018年1月からコンビニエンスストア大手のファミリーマートの現金自動預払機(ATM)で、手数料を原則無料にすることが28日、分かった。ゆうちょ銀が自行以外のATMで手数料を無料にするのは初めて。

ゆうちょ銀の親会社の日本郵政グループは4月にファミマと金融、物流などでお互いの資産を活用し、提携すると発表していた。

ファミマは約1万8千の店舗を持つ。ゆうちょ銀はファミマのATM手数料を無料化し、顧客の利便性を高める狙いがある。一方、ファミマも無料化で集客効果を高めたい考えだ。

コンビニ大手は顧客とのつながりを増やすため、金融事業を強化している。セブン&アイ・ホールディングスはATMの台数を増やし、海外送金などサービス機能の充実化を図っている。ローソンも三菱東京UFJ銀行と提携し、18年に銀行業への参入を目指している。

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依田一義の経済情報55

英国立統計局(ONS)が発表した第3・四半期の英国内総生産(GDP)速報値は前期比、前年比ともに予想を上回る伸びを見せた。来週11月3日の英中銀金融政策委員会における追加利下げの可能性はさらに小さくなった。

伸び率は前期比で0.5%増と、ロイターのまとめたエコノミスト予想の0.3%を上回った。前年比での伸びは2.3%となり、これも予想の2.1%を上回った。

ONSのチーフエコノミスト、ジョー・グライス氏は「欧州連合(EU)離脱決定による即座の影響はほとんどみられない」と述べた。

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)はこれまで、EU離脱決定により英経済は打撃を受けると警告し、離脱支持派から批判を受けていた。さらに9月には、第3・四半期速報値は0.2%増にとどまると予想していた。

予想を超える伸び率となったことについては、映画やテレビ制作、配信などを含むサービス業が寄与したとみられる。ONSは、7月に映画のヒット作が相次ぎ、興行収入が上向いたことが要因だと指摘した。

サービス業の8月単月での伸びは前月比0.2%だった。

鉱工業生産は、製造業が0.4%減、建設業が1.4%減。建設業の落ち込みは2012年第3・四半期以来の大きさだった。

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依田一義の経済情報54

欧州連合(EU)とカナダの包括的経済貿易協定(CETA)の承認を目指し国内調整を行なっていたベルギーが27日、事態打開に向け合意に達した。

CETAをめぐっては、EU全28カ国の政府が支持しているが、ベルギー南部のワロン地域が反対。ベルギー連邦政府は協定締結に賛成だが、正式に承認するには連邦を構成する地域の同意が必要で、EU全体の承認を阻んでいる状況だった。

ベルギーのミシェル首相は記者団に対し、地域の行政府首脳らが農民や政府の権利などに対する自らの懸念を軽減する補足条項を策定したと明らかにした。

ただCETAの調印には、カナダと他のEU諸国がこの補足条項を承認する必要がある。

カナダは「前向きな進展」とし、慎重ながらも歓迎する意向を表明。トゥスクEU大統領は「EUのCETA承認手続きがすべて完了してからトルドー加首相に連絡する」とし、双方とも問題が決着したとの見解はまだ示していない。

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依田一義の経済情報53

米労働省が公表した、22日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比で3000件減って25万8000件となった。

労働市場の底堅さを示すとされる30万件を86週連続で下回り、期間は1970年以来の長さとなった。市場予想は25万5000件だった。

2週間以上手当てを受けている失業保険受給者件数(15日終了週)は、1万5000件減って204万件と、2000年6月以来の低水準だった。

受給者件数の4週平均も6250件減の205万件と、2000年7月以来の低水準を記録した。9─10月の家計調査期間中に6万4500件減少した。10月の失業率が、9月の5%から低下する可能性を示した。

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依田一義の経済情報52

総務省が28日公表した9月の全国消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は前年比0.5%低下した。7カ月連続で下落し、マイナス幅は8月と同水準だった。

前年比でのエネルギー価格の下押しが小さくなりつつあるにもかかわらず、家電製品の価格下落や食品の上昇ペース鈍化で指数が浮上しない状態が続いている。安倍政権・日銀が掲げる2%の目標達成への道のりは遠い。

ガソリンや電気代のマイナス幅が縮小し、エネルギーの下落幅は前年比8.4%と8月の10.2%から縮小した。

一方、テレビが18.6%下落(8月は15.3%下落)、家庭用耐久財が6.8%下落(8月は5.2%下落)と、それぞれマイナス幅が拡大。物価を下支えしてきた加工食品(生鮮を除く食料)もプラス幅が0.8%と8月の1.1%から縮小した。

全国の先行指標とされる10月の東京都区部のコアCPIは前年比0.4%低下し、マイナス幅が9月より0.1ポイント縮小した。

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