依田一義の経済情報11

マークイットが発表した9月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は52.6と、2015年1月以来の低水準となった。速報値からは変わらず。

前月は52.9だった。

2013年半ば以降、景気判断の分かれ目となる50を上回る状況は続いているが、IHSマークイットの首席ビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「勢いが弱まっているというサインが示された」と指摘した。

「ユーロ圏の4大経済大国のうち、勢いが増している兆しがあるのはフランスのみで、ドイツ、イタリア、スペインでは成長が鈍化傾向にある」という。

一方、産出価格指数は50.0となり、2015年9月以来の高水準。速報値は50.1だった。同指数は過去5年間、概ね50を割り込んでいる。8月は49.3だった。

9月のユーロ圏サービス部門PMI改定値は52.2。速報値の52.1からはやや引き上げられたものの、2014年12月以来の低水準となった。8月は52.8だった。

サービス部門の雇用指数は52.0と、8月の52.4から低下し、5カ月ぶり低水準に落ち込んだ。速報値は51.8だった。

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依田一義の経済情報⑩

欧州連合(EU)統計局が発表した8月のユーロ圏小売売上高は前月比0.1%減少した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は0.3%減だった。前月比での減少は3月以来、初めて。

前年比では0.6%増となったが、増加率は予想平均(1.5%増)を下回った。

食品・飲料・たばこは前月比0.4%減。衣料やコンピューター機器など非食品は0.1%減となった。自動車燃料は0.2%増加した。

一方、7月の小売売上高は、前月比1.1%増から同0.3%増に大幅改定された。前年比でも2.9%増から1.8%増に下方改定された。EU統計局によると、下方改定は主にドイツとフランスでの売上高減少によるもの。

7月売上高の改定は、欧州連合(EU)離脱を決定した英国民投票が、ユーロ圏の消費者心理と支出に当初の想定より大きな影響を与えている可能性を示した。

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依田一義の経済情報⑨

マークイット/CIPSが発表した9月の英建設業購買担当者景気指数(PMI)は52.3と、前月の49.2から上昇した。5月以来初めて景況の拡大・悪化の分岐点とされる50を上回った。

住宅建設が回復し、新規受注も持ち直した。過去3年の平均である約60は下回った。市場は49.0への低下を予想していた。

IHSマークイットのエコノミスト、ティム・ムーア氏は「新規受注が3月以来の大幅増となったことで、建設企業の短期見通しは楽観的」と指摘した。一方、「2016年初めと比べて同セクターが引き続き伸び悩んでいる」との見方を示し、投資の低迷とポンド安に伴う原材料の高騰を原因として挙げた。

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依田一義の経済情報⑧

国際通貨基金(IMF)は4日、最新の世界経済見通しを発表した。7月時点の予想に比べ、日本の2016、17年の見通しを引き上げる一方、米国を引き下げ、世界全体では据え置いた。IMFは「現状の『標準以下の成長』が永続するリスクがある」として各国に政策発動を呼びかけた。

日本については、消費税増税の見送りや経済対策、日銀の金融緩和が個人消費を後押しし、円高などのマイナス要因を相殺すると分析。16年の実質経済成長率の見通しを0.5%増とし、7月時点から0.2ポイント上方修正した。ただ、「成長が引き続き弱い」とし、低成長に変わりはない。

ユーロ圏も英国の欧州連合(EU)離脱決定が重しになるものの、金融緩和効果を考慮して小幅に上方修正した。新興国ではインドが成長を持続、ロシアも原油価格の持ち直しで上向くと見込んだ。中国は据え置いた。

一方、米国はドル高や原油安、大統領選を巡る不透明感を背景に設備投資が振るわないとして、16、17年ともに見通しを引き下げた。EU離脱を決めた英国は、企業が投資や雇用に慎重になるとみて17年分を引き下げた。

世界全体の見通しは、16年が3.1%増、17年は3.4%増とそれぞれ据え置いた。IMFのオブストフェルド調査局長は「先進国経済は中期的にがっかりするような低成長の道筋をたどる」と予測。景気低迷が主要国の内向き姿勢をさらに強め、貿易縮小の流れが強まるなどすれば「世界経済の低迷を一段と深刻化、長期化させる」と警戒感を示した。

◇IMFの成長率見通し

2016年     17年

世界全体  3.1(--)   3.4(--)

日本    0.5(0.2)  0.6(0.5)

米国    1.6(▼0.6) 2.2(▼0.3)

ユーロ圏  1.7(0.1)  1.5(0.1)

英国    1.8(0.1)  1.1(▼0.2)

中国    6.6(--)   6.2(--)

インド   7.6(0.2)  7.6(0.2)

ロシア  ▼0.8(0.4)  1.1(0.1)

ブラジル ▼3.3(--)   0.5(--)

※単位%。▼はマイナス。カッコ内は今年7月からの修正幅。-は変わらず

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依田一義の経済情報⑦

終盤のニューヨーク外為市場では、メイ英首相が欧州連合(EU)離脱に向けた交渉を来年3月末までに開始すると2日に表明したことを受け、ポンドがドルに対して31年ぶりの安値に接近、ユーロに対しては約3年ぶりの安値に下落した。

ポンド/ドル<GBP=>は一時、1%超下落して1.2818ドルとなり、7月上旬につけた31年ぶりの安値まで0.005ドル未満の水準に接近。終盤は0.9%安の1.2863ドルだった。

ユーロ/ポンド<EURGBP=>は一時、2013年8月以来の安値となる0.8748ポンドに下落、直近は0.7%安の0.8718ポンドで推移している。

TDセキュリティーズのシニア通貨ストラテジスト、メイズン・イッサ氏はメイ首相の交渉開始時期表明について「ブレグジット(英国のEU離脱)は実現しないとの期待も依然として残っていた中で、市場は意表を突かれた格好となった」と述べた。

米供給管理協会(ISM)が発表した9月の米ISM製造業景気指数は51.5と節目の50を超え、ロイター調査のエコノミスト予想を上回った。これを受けドルは主要通貨に対して堅調に推移した。

ISM製造業景気指数は好感される内容だったが、米経済の勢いが強まっているとの見方を強めるほどではなかった。TDセキュリティーズのイッサ氏は同指数について「ドルを大きく押し上げるほどの支援材料にはならない」と語った。

新興国通貨ではコロンビアペソが急落。2日に実施されたコロンビア政府と同国最大の左翼ゲリラ組織、コロンビア革命軍(FARC)による和平合意の是非を問う国民投票で合意が否決されたことで、同国の信用格付けや税制改革をめぐる懸念が強まった。ドル/コロンビアペソ<COP=>は一時3%下落、終盤は1.7%安の2931ペソとなっている。

ドル/円 NY終値 101.61/101.68

始値 101.31

高値 101.65

安値 101.31

ユーロ/ドル NY終値 1.1209/1.1213

始値 1.1239

高値 1.1239

安値 1.1206

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依田一義の経済情報⑥

大手百貨店4社が3日発表した9月の既存店売上高(速報)は三越伊勢丹ホールディングスなど3社が前年同月と比べて減少した。台風や降雨日が多く、客足が鈍ったのに加え、気温の上昇で秋物の衣料品が振るわなかった。三越伊勢丹は衣料品や宝飾品が低調で4.9%減。訪日外国人客の売り上げも16.9%減った。大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングは化粧品が好調だったものの、心斎橋本館の建て替え工事の影響もあり8.0%減だった。高島屋も婦人服や紳士服、子供服、食料品などがマイナスで4.3%減だった。一方、そごう・西武は世界的デザイナーの高田賢三氏などを起用した秋商戦向けのプライベート商品が好調だったほか閉店セールなども貢献、0.2%増で7カ月ぶりにプラスに転じた。

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依田一義の経済情報⑤

2016年度上期(4~9月)の新車販売台数は、前年同期比1.0%減の230万6282台だった。軽自動車を除く普通車は4.0%増の154万6310台とプラスだったが、軽が9.8%減の75万9972台と大幅に落ち込んだことが響いた。

日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が3日発表した。

軽は昨年4月の軽自動車税増税以降の販売不振に加え、燃費データ不正問題による三菱自動車や日産自動車の販売停止が影響し、上期では3年連続のマイナスとなった。三菱は4割近く減り、同社から供給を受けていた日産はほぼ半減した。全軽自協は「今年度内は増税の影響が続く見込みだ」としている。

一方、普通車はトヨタ自動車が昨年12月に発売した新型「プリウス」など新車効果が市場を牽引(けんいん)した。日産のミニバン「セレナ」など夏以降も新車が相次いでいるが、「受注が落ちてきているモデルもある」(自販連)という。

また、三菱自動車の9月の軽自動車以外の自動車(登録車)の販売台数は前年同月比67.0%減の1674台と急減した。燃費データの再測定でも不正を行ったスポーツ用多目的車(SUV)「RVR」など8車種が9月いっぱい販売停止に追い込まれたためだ。

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依田一義の経済情報④

日銀が3日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業非製造業の景況感の悪化傾向が示された。個人消費の停滞が影響するなどして、小売りの業況判断指数(DI)が4ポイント悪化のプラス7と悪化したためだ。消費者物価指数(生鮮食品除く)も8月まで6カ月連続で下落しており、デフレ再来の懸念が高まっている。

低価格品を重視する動きは、すでに外食産業に広がっている。日本マクドナルドは9月から平日の昼限定でハンバーガーとドリンクのセットで400円の「バリューランチ」を売り出している。従来に比べ100円安く、集客の起爆剤にしたい考え。牛丼大手の吉野家は4月、牛丼より50円安い「豚丼」を4年4カ月ぶりに復活。2カ月で1000万食を突破するなど消費者の支持を集める。20年に及ぶデフレで「物価は上がらない」との認識が企業、家計に染みついている。

日銀は9月の金融政策決定会合で物価上昇率2%が安定的に持続するまで金融緩和を続けることを決めた。だが、2%目標を達成するのは容易ではない。

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依田一義の経済情報③

米調査会社のオートデータが3日発表した9月の米新車販売台数は、前年同月比0・5%減の143万5689台となり、2カ月連続で前年を下回った。1~9月の累計は前年同期比0・5%増にとどまっており、最近の減速から通年で過去最高だった昨年の約1747万台に届かないとの見方が出ている。

9月はスポーツ用多目的車(SUV)などの大型車は堅調だったが、小型車やセダンなどの乗用車の落ち込みが響いた。季節調整後の年換算販売台数は1776万台となった。

米国勢の9月の販売台数は首位のゼネラル・モーターズ(GM)が0・6%減の24万9777台。2位のフォード・モーターズは乗用車が大きく落ち込み、8・1%減となった。

日本勢ではトヨタ自動車が1・5%増の19万7260台で全体の3位。5位のホンダは0・1%減、6位の日産自動車は大型車が好調で4・9%増だった。

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依田一義の経済情報②

日銀は 4日、9月の全国企業短期経済観測調査(短観)における「企業の物価見通し」を発表した。企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は、平均で1年後がプラス0.6%、3年後がプラス1.0%、5年後がプラス1.0% となった。

前回調査では、1年後がプラス0.7%、3年後がプラス1.1%、5年後がプラス1.1%だった。

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