依田一義のエネルギー情報154

サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、ロシアから原油減産の取り組みを支持する姿勢を得てイスタンブールを後にした。しかし、石油輸出国機構(OPEC)内部では、世界的な合意に向けた最後の障害となっている各国への減産枠の配分について意見が分かれている。
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ロシアのプーチン大統領が10日、供給に関する合意についてOPECを支持する姿勢を示したことを受け、ロシアの2大石油生産会社は11日、原油減産に関して政府の指示に従う方針を明らかにした。これにより、世界の原油生産の半分を占める産油国が参加する合意の成否は、今月中に開催される予定のOPEC委員会に委ねられた。同委員会はベネズエラとイラクとの産油量に関する議論を解決する必要がある。
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PVMオイル・アソシエーツ(ロンドン)のアナリスト、タマス・バーガ氏は電話インタビューで「OPECとOPEC非加盟国が何らかの協力にこぎ着ける可能性はこれまで以上に高まっている」と指摘した上で、「たとえ合意に達しても、実際に生産統計を目にする合意後の3カ月が非常に重要だ」と述べた。
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OPEC内部の対立はこれまでのところ、OPEC月報に掲載される報道機関や調査機関などの生産推計が焦点。こうした推計は一般的に「二次情報」として知られる。アルジェでの合意が履行される場合に各国の生産枠の決定に利用される可能性があり、ベネズエラとイラクは推計について低過ぎると主張している。

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