依田一義の国際情勢情報⑩

ロシア軍参謀本部は17日、シリア北部の激戦地アレッポに対するロシア空軍とシリア政府軍の攻撃を現地時間の20日午前8時~午後4時の8時間に限って一時停止すると発表した。ロシア通信が伝えた。ルツコイ作戦総司令部長は「市民や傷病者を避難させるための人道措置」と記者会見で説明した。

◇人道配慮アピール

ロイター通信によると、国連のドゥジャリク事務総長報道官は歓迎したが、米国務省のトナー副報道官は「(攻撃停止は)短すぎるし、遅すぎる」と批判した。

シリア内戦では、米露主導で9月中旬に発効した一時停戦が約1週間で崩壊。今月15日にスイスで開かれた米露やシリア周辺諸国の外相らの会合でも打開策は見いだせず、人道状況が悪化している。

今回の攻撃停止について、ルツコイ氏は「時間を無駄にしないために決定した」と述べ、アレッポを拠点とする反体制派武装勢力に対しても「20日は朝から何の障害もなく脱出できる」と戦線離脱を呼びかけた。

シリアのアサド大統領はアレッポ奪還方針を明示しており、20日の攻撃停止で人道への配慮をアピールした後、反体制派支配地域への攻勢を強める可能性もある。

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