依田一義のエネルギー情報135

フランスの大手化粧品会社ロレアルグループの日本法人である日本ロレアルは、2016年9月1日から国内の事業所で使用するエネルギーを、日本自然エネルギーが発行するグリーン電力証書を使用して再生可能エネルギーで発電した電力に切り替える。

切り替えるのは日本ロレアル本社(東京都新宿区)、製造工場を運営するコスメロール(静岡県御殿場市)、日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター(神奈川県川崎市)の3カ所。年間の消費電力約600万kWhを、石巻合板工業が宮城県石巻市でバイオマス発電所から調達する。化粧品業界でのグリーン電力への全面切り替えとしては、国内最大規模になるとしている。

ロレアルグループは、グローバル目標として2020年までにCO2排出量、水消費量、廃棄物発生量を2005年比でそれぞれ60%削減するという目標を掲げている。今回の日本ロレアルのグリーン電力証書の活用も、こうした取り組みの一環となる。

日本ロレアルでは2010年からコスメロールの製造工場で、グリーン電力証書を活用してきた。同工場は既に2015年に2005年比でCO2排出量を70%、水消費量67%削減し、グローバル目標を達成している。今回、他の事業所も含めて全ての電力をバイオマス発電によるグリーン電力に切り替えることで、さらなる環境負荷の低減を図る狙いだ。

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依田一義のエネルギー情報118

資源エネルギー庁がまとめた2016年3月時点の最新データによると、固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した再生可能エネルギーの発電設備は累計で3726万kW(キロワット)に達した。1年前の2758万kWと比べて968万kWの増加である。発電能力を単純には比較できないものの、大型の原子力発電所10基分に相当する発電設備が1年間で稼働したことになる。
さらに運転開始前の発電設備を加えると8732万kWになり、全国にある原子力発電所43基(廃炉決定分を除く)を合わせた4120万kWの2倍以上の規模に拡大する。大規模・集中型で災害時に供給力の不安がある原子力発電から、小規模・分散型で電力を地産地消できる再生可能エネルギーの発電設備へ、電力供給の構造変化が確実に進んでいる。

運転を開始した発電設備の増加に伴って電力の買取量も増えている。2016年3月の買取量は過去最高の42億kWh(キロワット時)で、前年3月の28億kWhから1.5倍に拡大した。このうち太陽光が72%を占める。次いでバイオマスが13%、風力が11%、中小水力が3%、地熱は1%以下である。天候の影響を受けないバイオマス・中小水力・地熱の合計で16%にとどまる点が引き続き大きな課題である。

2016年度の年間を通じた買取量は432億kWhにのぼり、2015年度の286億kWhから1.5倍に増えた。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると1200万世帯分に相当する。日本全体の総世帯数5600万の2割以上をカバーできる電力になる。

買取金額も年間で1兆5495億円に拡大した。電力1kWhあたり36円弱で、火力発電と比べて3倍以上も高い水準になっている。当面は30円を上回る買取金額が続いていく。一方で石油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格が下がって火力発電のコストが低下している。今後も再生可能エネルギーが増えるのに伴って、価格の高い石油を中心に火力発電が減り、発電コスト全体のバランスが保たれる見通しだ。

都道府県別では茨城県が1位に躍進

2012年7月に固定価格買取制度が始まって以降、全国各地で再生可能エネルギーの導入が活発に進んできた。制度開始から3年半を経過した2016年3月の時点では、電力の消費量が多い関東の各県で導入量が大きく伸びている。全国47都道府県のうち1位は茨城県で、2位が千葉県、さらに6位に栃木県、10位に群馬県が続く。

いずれの県も太陽光発電が圧倒的に多いが、茨城県では風力とバイオマスの伸びも著しい。このほかの上位10県では、風力は鹿児島県と北海道、中小水力は北海道と静岡県の導入量が多く、地熱は鹿児島県だけである。バイオマスは茨城県をはじめ6つの県で1万kWを超える規模の発電設備が運転を開始している。

さらに運転開始前の発電設備を加えた認定量でも茨城県が1位に躍進した。1年前と比べて55万kWの大幅な増加で、特にバイオマスが31万kWも伸びた。そのほとんどが木質バイオマスである。製材端材や輸入材を燃料に利用する発電設備が多い。

第2位は福島県で、認定設備の規模は1年前の時点から45万kWも減少してしまった。太陽光発電の認定取り消し分が数多く発生したためだ。それ以外の風力・中小水力・地熱・バイオマスは着実に増えている。第3位の鹿児島県でも太陽光発電の認定量が減ったが、他県ではさほど伸びていない中小水力と地熱が1000kW前後も増加した。

このほか第7位に宮崎県、第10位に熊本県が入り、九州では引き続き再生可能エネルギーの取り組みが活発だ。宮崎県では風力とバイオマス、熊本県では中小水力の多さが目を引く。同様に再生可能エネルギーの資源が豊富な東北からは、福島県に加えて第6位に宮城県が入った。風力とバイオマスの発電設備が増えている。第8位の北海道でも風力とバイオマスが大幅に伸びた。

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依田一義のエネルギー情報110

京都の大手メーカーが、工場や店舗の電力を効率的に使うシステムや製品の販売に注力している。電力不足への懸念や再生可能エネルギーの普及などで、企業の省電力ニーズが一段と高まっていることに対応し、賢い電力消費をサポートする。
日新電機は、通常の電力や太陽光発電、ガスコージェネレーション(熱電併給)、蓄電池などの分散した電源を効果的に使用する工場向けのエネルギー管理システム(EMS)を開発し、4月に販売を始めた。電力の需要予測に沿って各電源の運用を10分単位で48時間先まで計画し、電気料金の低減や電力消費量の抑制につなげる。初年度で売上高20億円を計画する。
同社は「今後は太陽光発電の売電単価下落で、つくった電力を自家消費するニーズは増える」(新エネルギー・環境事業本部)とみて、中規模以上の工場への拡販を目指す。

■年100万円の削減効果

京セラは、店舗やオフィス向けのEMSを開発し、2015年度から本格販売している。空調や冷蔵ケースなどの電力を監視し、快適な室温を維持しながら機器の稼働を制御する。昨年の実証ではスーパー1店舗の電気代で最大年100万円の削減効果があったという。
さらに日本IBMと連携し、電力会社からの節電要請に応じて複数の商業施設や工場などの電力消費を自動調整するデマンドレスポンス(需要応答)の実証実験も重ねる。分散型電源を含めた高度な電力制御機能をEMSに追加する計画だ。
オムロンは、産業用太陽光発電システム向けに電気の出力を調整する屋外三相パワーコンディショナーを今春発売した。パワコンは住宅用を中心に手掛けてきたが、幅広い出力に対応する機器の需要が高まるとみて、産業用に本格参入した。容量別に3種類を用意し、3年間で3万台の販売目標を掲げる。

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依田一義のエネルギー情報108

再生可能エネルギーの中で開発が最も遅れているのは地熱である。固定価格買取制度(FIT:Feed-In Tariff)の認定状況を見ても、地熱だけが極端に少ない。つい最近まで地熱資源が豊富な国立・国定公園の区域内で地熱発電所の建設を規制していたほか、温泉地でも発電設備の導入に反対する意見が根強くあったからだ。東日本大震災を機に再生可能エネルギーの重要性が高まり、政府は国立・国定公園内の規制緩和に乗り出した。

一般に地熱発電所を建設するためには地下の掘削調査から始める必要があり、開発工程が長期に及ぶ。2017年度に改正するFIT法では数年先の買取価格を決めて地熱発電の事業性を判断しやすくする。それに加えて開発リスクを低減するための掘削技術の開発や全国規模で支援体制の整備も進めていく。

大規模な地熱発電所になると、運転を開始するまでに10年以上かかる。最初は地下の地熱資源量を調査するのに5年程度、次いで環境影響評価に3~4年、そして発電設備の建設にも3~4年を必要とする。この間に十分な量の地熱資源を確保できないこともあれば、地元の反対で建設を断念しなくてはならないケースもある。ほかの再生可能エネルギーと比べて開発リスクが大きいため、発電事業者も二の足を踏みがちだ。

それでも固定価格買取制度が始まったことによって、地熱資源が豊富な火山地帯を中心に発電所の建設プロジェクトが広がってきた。国立・国定公園の区域内でも開発案件が増えている。このうち環境影響評価を必要としない出力7500kW(キロワット)未満の地熱発電所が福島県や熊本県で相次いで運転を開始した。

地熱発電所の開発にあたっては、地下に存在する地熱資源の把握が欠かせない。発電事業者にとっては多額のコストがかかるうえに、十分な資源量を確認できる成功率は決して高くないのが現状だ。こうした地熱資源調査のリスクを低減するために、政府は「ヒートホール掘削」と呼ぶ新しい手法を普及させる方針だ。

地熱資源の分布状況を3次元で可視化

ヒートホール掘削は地下500メートル程度まで小口径の調査井(ちょうさせい)を掘る方法で、地下の温度データを収集できる。通常の掘削調査では地下1500~3000メートルの深さまで大口径の調査井を掘る必要があり、それと比べて調査にかかる費用を大幅に軽減できるメリットがある。ヒートホール掘削で地下の高温域を特定できれば、その後に実施する発電に向けた掘削調査の成功率が高くなる。

このほかにも地熱資源調査の精度を向上させる技術の開発が進んでいる。地熱資源調査の初期段階では、地下にある地熱の貯留層の位置を確認することが重要だ。従来は2次元のデータで貯留層を確認していたが、新たに3次元で可視化する技術を開発して分布状況を正確に把握できるようになる。

一方では地下を掘削する機材にも改良を加える。これまで地熱開発の掘削調査には石油開発で使われる機材を応用してきた。ところが石油開発の現場は地盤の軟らかい場所が多く、同じ機材を地熱開発に利用すると掘削効率が悪くなる。この問題を解消するために、硬い地盤に適した素材を使って掘削機材を開発する。

発電所の運転を開始した後にも課題は残っている。地熱発電では地下からくみ上げた蒸気と熱水でタービンを回転させる方法が一般的だ。蒸気と熱水の中にはシリカ(ケイ素)が含まれている。シリカは結晶化する特性があり、さまざまな工業製品に使われる有益な素材だが、発電設備などに付着してトラブルの原因にもなる。

発電に利用する蒸気と熱水からシリカを回収できれば、トラブルを回避できるうえに、価値のある物質を抽出して資源の有効活用につながる。地熱発電所にシリカの回収プラントを導入するための技術開発も国の重要なテーマになっている。

地熱発電所の建設を円滑に進めるためには、温泉事業者をはじめ地元の理解を得ることが欠かせない。政府は地域の支援組織として、地熱資源の開発を促進するJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の中に「地熱資源開発アドバイザリー委員会」を2016年6月7日に発足させた。

この委員会は大学や研究機関の専門家20人以上で構成する。全国の自治体から要請を受けて、地熱発電に関する技術的なアドバイスや情報を提供することが役割だ。貴重な地熱資源を有効に活用できるように自治体や発電事業者を支援していく。同様に資源エネルギー庁が中核になって、自治体間の情報共有ネットワークも構築する。国を挙げて地熱発電の取り組みを拡大する体制が整い始めた。

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依田一義のエネルギー情報107

再生可能エネルギーの中で最も安定した電力を供給できるのがバイオマスである。全国どこでも発電用の燃料を入手できるうえに、年間を通して発電量が変動しない。2012年度に固定価格買取制度(FIT:Feed-In Tariff)が始まったことで、バイオマス発電所の建設プロジェクトが各地に広がった。

今後さらに普及させるためには課題も多い。燃料が豊富にあるとはいえ、長期にわたって安定した量を確保できる体制を構築しないと、発電事業が立ち行かなくなるおそれがある。2017年度に改正するFIT法では発電設備の認定制度を強化して、バイオマス発電設備には燃料の調達先や調達量の申告が必要になった。

新しい認定制度では審査の段階で、使用する燃料の詳細な情報を提示しなくてはならない。ほかのバイオマス発電所でも同じルートで燃料を調達する場合には、両方の認定審査で調達状況を確認する。さらに認定を取得するにあたって燃料の利用計画を提出する必要があり、運転を開始した後も使用量の実績値を報告することが義務づけられる。

こうした厳格な需給管理を実施すれば、バイオマス発電に利用する燃料の調達状況を政府や自治体でも確認できる。と同時に貴重な資源の乱用を防いで、林業をはじめ既存の産業に悪影響を及ぼさないように国全体で調整することも可能になる。

すでに運転を開始したバイオマス発電所の中には、地域ぐるみで燃料の安定供給体制を構築する事例が増えてきた。代表的な例は茨城県の常陸太田市で2015年11月に稼働した「宮の郷木質バイオマス発電所」である。発電能力が5750kW(キロワット)の大規模な木質バイオマス発電所では地域の間伐材などを年間に6万3000トンも利用する。

これだけ大量の燃料を長期間にわたって確保するために、地元の林業事業者が共同で原木の供給体制を作り、発電事業者の日立造船と共同でチップの製造工場を発電所の隣接地に建設した。茨城県と常陸太田市も補助金を交付してチップ製造工場の建設・運営を支援している。

燃料調達の低コスト化に取り組む自治体も

安定した電力の供給源としてバイオマス発電を全国各地に拡大していくためには、地域単位で自立できる事業モデルの確立が重要になってくる。政府が目指す木質バイオマスの地域自立モデルは、木材の調達からチップの製造、さらに燃料のチップを利用する発電所や温泉・病院などの施設を含めて、地域内で資源と資金が効率よく循環する仕組みである。

木材の調達面では森林に発生する残材の収集システムを構築するほか、間伐の徹底や早生樹の活用による低コスト化を図る。チップの製造工場は発電所の構内に建設して輸送費を抑える一方、燃料を利用する施設にはリース方式による設備の導入を促進していく。

大分県で林業が盛んな日田市では、木質バイオマス発電用の燃料調達コストの低減に地域ぐるみで取り組んでいる。市内の山林を対象に林地残材の収集システムを整備して、生育期間の短い早生樹の利用可能性についても検討した。すでに日田市内では大規模な木質バイオマス発電所が2カ所で運転中だ。

木材の中には発電に利用しにくいものもある。建築物の廃材などは燃焼効率が低いために、発電用の燃料には適していない。地域で生まれるバイオマス資源を有効に活用するために、岡山県の倉敷市では発電に利用できない木材を使って、工場に蒸気を供給する事業を検討している。

政府は全国各地で実施中の先行事例を自治体間で共有できるようにする計画だ。林野庁を中心に燃料の供給コストを低減するための技術開発も推進していく。さらにバイオマス燃料やバイオマス発電設備に対する規制を緩和して導入事例の拡大につなげる。

地域のバイオマス資源は木質に限らず、下水の汚泥や家畜の排せつ物、ごみ処理場に大量に集まる廃棄物などがある。急速に広がる木質バイオマス発電に続いて、そのほかのバイオマス資源を活用した発電設備の増加も見込める。導入量の拡大に向けて、バイオマス資源の種類ごとに対応する施策が必要になってくる。

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依田一義のエネルギー情報100

政府と福島県は県内に合計出力500メガワット級の風力発電所群を整備し、2020年までに首都圏に送電を始めることが23日、分かった。11年の東京電力福島第1原発事故後に運転を休止している変電所や送電網を活用する。東京ガスなどが発電事業者として参入を検討している。

計画は福島県を再生可能エネルギーの先進地として再建する「福島新エネ社会構想」の一環。福島県内で比較的安定して風力が得られる沿岸部と阿武隈地方に、2~3メガワット級の風力発電所を数百基整備し、参入事業者を誘致する。発電できる電力は福島第1原発(合計約4700メガワット)の約10分の1に相当する500メガワットに達する見通し。

福島県は候補地の風の強さやその向きを詳細に調べる「風況調査」や、「環境影響評価」(アセスメント)を進めており、両地域の中でどこが建設適地かを調査中だ。風力で発電された電力は首都圏に送電される計画で、福島第1原発事故後に休止している新福島変電所を活用する予定。経済産業省が既存の送電網と各風力発電を結ぶ送電線の整備計画を進めている。

一方、福島県は年内に発電事業者を公募する。参入事業者は1メガワットあたり100万円を政府や福島県、東京電力などで構成する「福島県再生可能エネルギー復興推進協議会」に拠出し、同協議会が復興支援として活用する。参入を検討している東京ガスの広瀬道明社長は「福島のために何かできないかという思いがある。採算、条件が合えばゴーサインを出せる」と述べ、前向きな姿勢を示した。

◇風力発電

太陽光などと並ぶ「再生可能エネルギー」。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、2014年度までの10年間で、国内設置基数は920から2034に、発電できる総容量は92万キロワットから293万キロワットに増えた。12年からは風力で発電した電気を電力会社が一定価格で買い取る制度もある。ただ、一定規模以上の発電設備の設置には、環境影響評価(アセスメント)が必要で、設置までに一定の時間がかかる。自然環境への影響や騒音などを懸念し、地元住民から反対運動が起こるケースもある。国内では風車として回る羽根部分の落下事故が相次いだのを受け、15年に電気事業法が改正。17年度から発電事業者は設備の定期検査を義務づけられる。

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依田一義のエネルギー情報93

東日本大震災以降、国内のエネルギー自給率向上や温室効果ガス削減のために、再生可能エネルギーの普及促進が図られている。普及促進のために、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が施行され、太陽光発電を行い、電力会社に売電する事業者が急増した。その一方で、発電量の変化が大きい再生可能エネルギーが大量に系統網に接続されると、電力の需給調整が不安定になるという課題が残っている。
この課題に応えるために、発電事業者や電力会社による蓄電システムを活用が進んでいる。再生可能エネルギー関連事業を手掛けるコロン(鹿児島市)が設置するメガソーラーに出力500kW(キロワット)、容量1.2MWh(メガワット時)の大型蓄電システムをこのほど納入した。NECはこの蓄電システムの企画、設計、製造、設置、運用、保守などをトータルに担当する。同社の蓄電システムは、11カ国、120MW(メガワット)以上の納入実績を有するNECエナジーソリューションズ(NEC100%出資、米国マサチューセッツ州)製を採用している。
NECエナジーソリューションズの蓄電システムは、モジュール製造の細部工夫による放熱設計により高密度構造を実現しているため、従来比で4分の1のサイズを実現(同社比)するなど設置面積を削減可能だ。また工事期間、工事費用の削減が図れる。さらに、数百kWh~100MWhまで、用途に応じて最適な出力、容量を選択でき、障害発生時でも当該部位のみを停止し、継続稼働が可能などの特徴がある。
今回、蓄電システムを導入したコロンは1998年に設立。Webコンテンツ(PC・モバイル )の企画、制作、運営管理通信事業のシステム開発とともに再生可能エネルギーによる電気の供給・販売事業を展開している。

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依田一義のエネルギー情報83

東京都環境公社は8日、太陽光など再生可能エネルギーでつくった電力を買い取り、公社関連施設へ供給するモデル事業を7月1日から始めると
発表した。再生可能エネルギーの運用ノウハウを蓄積し将来の市場拡大を後押しする狙い。

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依田一義のエネルギー情報79

北海道電力と同社のグループ企業である北電総合設計は地域に根ざした再生可能エネルギーの導入拡大に向け、2016年度から「小規模木質バイオマス発電実証事業」を開始する。北電総合設計が東京大学、日本森林技術協会と共同で林野庁の補助事業へ応募し実施する事業だ。
一般的な木質バイオマス発電の多くは石炭火力発電と同様に蒸気タービン式の発電システムを採用している。しかし設備が小規模になると発電効率が低下するという課題があり、木質バイオマス発電市場の拡大を阻む1つの課題となっている。
今回実施する実証は「小規模であっても高効率なバイオマス発電システム」の開発を目指すもので、原料に木質チップを使用し、さらに水素製造技術と燃料電池を組み合わせて効率を高めるというユニークなシステムとなっている。
実証を行う発電システムの概要は以下の通り。まず木質チップを流動層ガス火炉に投入して、800~1000度で熱分解(ガス化)する。愚痴に一酸化炭素と水蒸気を取り出し、改質器の触媒と反応させ水素と二酸化炭素を生成する。最後に生成した水素と燃料電池で発電を行う仕組みだ。
この発電システムのポイントとなるのが燃料電池だ。使用するのは東京大学が特許を持つ燃料電池で、効率的に廃熱を回収できる機能を持つ。回収した廃熱は木質チップの熱分解利用することで、システム全体のエネルギー効率を高める狙いだ。発電出力は50kW(キロワット)程度となる見込みで、実証では発電効率50%、システム全体のエネルギー効率で70%以上の実現を目指す。このシステム全体については北海道電力、東京大学他で既に特許を出願している。

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依田一義のエネルギー情報76

再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、気象条件による出力変動の調整が最大の課題となっている。これまで東北電力では、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、国の実証事業として、南相馬変電所と西仙台変電所に設置した蓄電池技術を活用した出力変動対策に取り組んできた。今回の水素製造に関する研究は、こうした蓄電池による対策と同様の効果を期待して行うものだ。
研究では、東北電力 研究開発センター(仙台市青葉区、設置面積約400平方メートル)に、新たに小規模試験用の太陽光発電設備(約50キロワット)をはじめ水素製造装置(約5N立方メートル/時)などをコンテナ方式で設置する。屋上に設置した太陽光で発電し、その電力を使い水電解水素製造装置で、水を電気分解し水素と酸素を製造する。発生した水素は水素吸蔵合金方式水素貯蔵タンク(約200N立方メートル)に貯蔵。この水素を燃料電池(10キロワット未満)で酸素と反応させ発電する(図1)。電力は研究開発センターで利用する計画だ。研究期間は2019年3月までを予定する。
東北電力では、この研究で出力変動の大きい電気を水素製造に使用し、吸収することで、水素製造技術が蓄電池と同様に再生可能エネルギーの導入拡大に伴う出力変動対策として適用可能かを検証することにしている。
また、水素エネルギーは、省エネルギーやエネルギーセキュリティの向上、環境負荷の低減などの面から、日本の将来の重要なエネルギー源として期待されており、国においても水素社会実現に向けた取り組みが進められている。東北電力としても、この研究を通じて、水素エネルギーに関する知見を獲得していく考えだという。また、東北エリアにおいても、水素社会実現に向けた取り組みが進められており、この研究を通じて得られた知見や成果を提供するなど、地域に寄り添った取り組みも進めていく方針だ。

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