依田一義のエネルギー情報124

関西電力、中部電力、東北電力の大手電力3社は27日、秋田県で事業化を目指す丸紅の洋上風力発電プロジェクトに資本参加する、と発表した。出資額は明らかにしていない。3社とも当面、設置可能性を探る立地調査に加わり、調査結果を踏まえて建設・運営への参加を判断する。
出資するのは丸紅が4月に設立した特定目的会社(SPC)の秋田洋上風力発電。秋田港や能代港で出力規模が合計14万5000キロワットの着床式洋上風力発電設備の設置を計画している。事業化が可能なら2020年度にも稼働する予定。発電期間は20年間としている。電力3社は陸上型の風力発電は運転しているが、洋上型は持っていない。

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依田一義のエネルギー情報112

東北電力で新たに営業運転を開始した新仙台火力発電所3号系列(仙台市宮城野区、出力98万kW)は、経済性の向上と二酸化炭素排出削減を実現するため、新設したものとなる。

3号系列は、経年化が進んだ1号機(使用燃料:重油、35万kW)を2015年3月に、2号機(同:天然ガス・重油・原油、60万kW)を2011年10月にそれぞれ廃止し、新たにLNGを燃料とする高効率コンバインドサイクル発電設備(ガスタービン+蒸気タービン+発電機、49万kW×2軸)として建設したものとなる。

2015年12月に営業運転を開始した3-1号と、2016年7月に営業運転を開始した3-2号で構成されている。これまでのコンバインドサイクル発電設備に関係する運転・保守で培った知識や技術を設計に反映し、信頼性と熱効率の向上に努めた結果、世界最高水準となる60%以上の熱効率を達成した。これにより、従来型のガス火力と比べ、燃料消費量および二酸化炭素排出量がそれぞれ約3割削減できるものと、同社は試算している。

また、3号系列の設備の特徴として、同社初のLNG燃料設備を発電所の構内に設置している。LNG燃料設備は、同当社企業グループである日本海エル・エヌ・ジーが、日本海側に新潟基地を保有しているが、今回、太平洋側にLNG燃料設備を設置することで、自然災害に対するリスク分散が図られる。

さらに、東日本大震災で同社火力が被災した経験を踏まえて、配管サポートの強化や発電所構内に防潮堤を設置するなどの耐震・津波対策を実施することで災害への備えも強化している。

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依田一義のエネルギー情報106

東北電力は2016年6月23日、新潟県魚沼市に建設を進めていた水力発電所の「第二薮神発電所」が同日より営業運転を開始したと発表した。

第二薮神発電所は魚沼市にある「藪神ダム」の右岸に新設した、ダム式の小水力発電所である。藪神ダムは東北電力が所有する発電専用のダムで、既に左岸では最大出力8800kW(キロワット)「藪神発電所」が発電を行っている。こちらの発電所はダム水路式である。

新設した第二薮神発電所の大きな特徴が、藪神ダムと藪神発電所がこれまで「使い切れていなかった水」を利用して発電する点だ。年間300日以上もダムゲートから放水していた未利用の放流水を活用する。この放流水が発生していた理由は、上流にある電源開発の「黒又川第一発電所」の最大使用水量が藪神発電所より多かったためだ。

第二薮神発電所では有効落差17.85メートルと、未利用だった放流水を最大で毎秒30立方メートルを活用して発電する。最大出力は4500kWで、年間の発電量は1825万kWh(キロワット時)を見込んでいる。未利用エネルギーを活用することで、約5000世帯分の年間発電量を賄うことができる計算だ。

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依田一義のエネルギー情報76

再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、気象条件による出力変動の調整が最大の課題となっている。これまで東北電力では、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、国の実証事業として、南相馬変電所と西仙台変電所に設置した蓄電池技術を活用した出力変動対策に取り組んできた。今回の水素製造に関する研究は、こうした蓄電池による対策と同様の効果を期待して行うものだ。
研究では、東北電力 研究開発センター(仙台市青葉区、設置面積約400平方メートル)に、新たに小規模試験用の太陽光発電設備(約50キロワット)をはじめ水素製造装置(約5N立方メートル/時)などをコンテナ方式で設置する。屋上に設置した太陽光で発電し、その電力を使い水電解水素製造装置で、水を電気分解し水素と酸素を製造する。発生した水素は水素吸蔵合金方式水素貯蔵タンク(約200N立方メートル)に貯蔵。この水素を燃料電池(10キロワット未満)で酸素と反応させ発電する(図1)。電力は研究開発センターで利用する計画だ。研究期間は2019年3月までを予定する。
東北電力では、この研究で出力変動の大きい電気を水素製造に使用し、吸収することで、水素製造技術が蓄電池と同様に再生可能エネルギーの導入拡大に伴う出力変動対策として適用可能かを検証することにしている。
また、水素エネルギーは、省エネルギーやエネルギーセキュリティの向上、環境負荷の低減などの面から、日本の将来の重要なエネルギー源として期待されており、国においても水素社会実現に向けた取り組みが進められている。東北電力としても、この研究を通じて、水素エネルギーに関する知見を獲得していく考えだという。また、東北エリアにおいても、水素社会実現に向けた取り組みが進められており、この研究を通じて得られた知見や成果を提供するなど、地域に寄り添った取り組みも進めていく方針だ。

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依田一義のエネルギー情報75

東北電力は、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、水素製造に関する研究を行うと発表した。4月から研究システムの詳細設計を開始し、
機器を据え付けた後、2017年3月から水素製造などの研究を開始する予定。
再生可能エネルギーの導入拡大では、気象条件による出力変動の調整が大きな課題となっている。同社では、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、
国の実証事業として、蓄電池技術を活用した出力変動対策に取り組んできた。
今回の水素製造に関する研究は、蓄電池による対策と同様の効果を期待して行うもの。研究では、同社研究開発センター(仙台市青葉区)に、新たに太陽光発電設備や水素製造装置を設置する。
太陽光発電による電気を使って水素を製造・貯蔵し、この水素を燃料にして研究開発センター向けの電力を発電する計画。
出力変動の大きい電気を水素製造に使用・吸収することで、水素製造技術が蓄電池と同様に再生可能エネルギーの導入拡大に伴う出力変動対策として適用可能かを検証する。
水素エネルギーは、省エネルギーやエネルギーセキュリティの向上、環境負荷の低減などの面から、日本の重要なエネルギー源として期待されており、国も水素社会実現に向けた取り組みを進めている。
また、東北エリアでは、水素社会実現に向けた取り組みが進められており、同社では、今回の研究を通じて得られた知見や成果を提供していく方針。

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依田一義のエネルギー情報27

東北電力は10日、電力小売りの全面自由化を受け、4月から首都圏で家庭向けの電力販売を始めると発表した。
東京電力より割安な料金設定で、東北・新潟出身者を中心に2016年度は1万件の契約を目指す。
大手電力の首都圏参入は北陸、中部、中国、四国、九州の5電力に続き6社目。
東北電の料金プランは、料金単価を1カ月の電気使用量が300キロワット時以下は1キロワット時当たり22円76銭、それを超えると1キロワット時30円02銭と設定。現在東電に1カ月当たり7864円支払っている家庭の場合、194円安くなるという。

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