依田一義のエネルギー情報110

京都の大手メーカーが、工場や店舗の電力を効率的に使うシステムや製品の販売に注力している。電力不足への懸念や再生可能エネルギーの普及などで、企業の省電力ニーズが一段と高まっていることに対応し、賢い電力消費をサポートする。
日新電機は、通常の電力や太陽光発電、ガスコージェネレーション(熱電併給)、蓄電池などの分散した電源を効果的に使用する工場向けのエネルギー管理システム(EMS)を開発し、4月に販売を始めた。電力の需要予測に沿って各電源の運用を10分単位で48時間先まで計画し、電気料金の低減や電力消費量の抑制につなげる。初年度で売上高20億円を計画する。
同社は「今後は太陽光発電の売電単価下落で、つくった電力を自家消費するニーズは増える」(新エネルギー・環境事業本部)とみて、中規模以上の工場への拡販を目指す。

■年100万円の削減効果

京セラは、店舗やオフィス向けのEMSを開発し、2015年度から本格販売している。空調や冷蔵ケースなどの電力を監視し、快適な室温を維持しながら機器の稼働を制御する。昨年の実証ではスーパー1店舗の電気代で最大年100万円の削減効果があったという。
さらに日本IBMと連携し、電力会社からの節電要請に応じて複数の商業施設や工場などの電力消費を自動調整するデマンドレスポンス(需要応答)の実証実験も重ねる。分散型電源を含めた高度な電力制御機能をEMSに追加する計画だ。
オムロンは、産業用太陽光発電システム向けに電気の出力を調整する屋外三相パワーコンディショナーを今春発売した。パワコンは住宅用を中心に手掛けてきたが、幅広い出力に対応する機器の需要が高まるとみて、産業用に本格参入した。容量別に3種類を用意し、3年間で3万台の販売目標を掲げる。

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