依田一義の国際情勢情報④

「パリ協定」の11月4日発効が決定し、日本の出遅れが鮮明になっている。11月の第1回締約国会議(CMA1)では日本を含む未批准国は決定権を持たないオブザーバー参加のため、地球温暖化をめぐる国際交渉での発言力低下は避けられない。発展途上国への資金支援など、協定をめぐる具体的なルール作りが本格化する中、日本は不利な立場に立つことになる。

「(早期発効の)意思がなかったと言わざるを得ない」

世界自然保護基金(WWF)ジャパンは6日の声明で、パリ協定をめぐる日本政府の対応を批判した。

主要排出国が相次いで批准を決める中、日本は国会日程の調整が遅れ、発効決定までに締結できなかった。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議長国として首脳宣言で年内発効を目指す方針を盛り込むなど、「日本は温暖化対策のリーダー」(山本公一環境相)と胸を張っていただけに、関係者の落胆は大きい。

CMA1は、COP22の最終日から30日前の今月19日までに批准した国のみが正式メンバーになれる。日本はオブザーバー参加予定のため、NGO(非政府組織)と大差ない扱いだ。

CMA1ではパリ協定の詳細ルールをいつまでに決めるか検討する。名古屋大大学院の高村ゆかり教授は「交渉のスピード感を左右する重要な会合。(オブザーバー参加の)日本の発言は重みを持たない」と述べ、不利な方針が決まることに懸念を示した。

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