依田一義の経済情報55

英国立統計局(ONS)が発表した第3・四半期の英国内総生産(GDP)速報値は前期比、前年比ともに予想を上回る伸びを見せた。来週11月3日の英中銀金融政策委員会における追加利下げの可能性はさらに小さくなった。

伸び率は前期比で0.5%増と、ロイターのまとめたエコノミスト予想の0.3%を上回った。前年比での伸びは2.3%となり、これも予想の2.1%を上回った。

ONSのチーフエコノミスト、ジョー・グライス氏は「欧州連合(EU)離脱決定による即座の影響はほとんどみられない」と述べた。

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)はこれまで、EU離脱決定により英経済は打撃を受けると警告し、離脱支持派から批判を受けていた。さらに9月には、第3・四半期速報値は0.2%増にとどまると予想していた。

予想を超える伸び率となったことについては、映画やテレビ制作、配信などを含むサービス業が寄与したとみられる。ONSは、7月に映画のヒット作が相次ぎ、興行収入が上向いたことが要因だと指摘した。

サービス業の8月単月での伸びは前月比0.2%だった。

鉱工業生産は、製造業が0.4%減、建設業が1.4%減。建設業の落ち込みは2012年第3・四半期以来の大きさだった。

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