依田一義の海外不動産情報②

西日本鉄道は2017年春、韓国・釜山に「ソラリア西鉄ホテル」を出店すると発表した。西鉄のホテル海外進出は15年9月に開業したソウル店に続いて2店目。釜山都心部にある既存のホテルの運営を引き継ぎ、約3億円投資して日本人向けに改装する。

釜山有数の繁華街にある複合ビル(地上15階地下2階建て)で、15フロアをホテルとして賃借する。客室は約200で、日本の家電対応のコンセントや温水洗浄便座付きトイレを設置し、日本人客が快適に過ごせる空間を提供する。日本語で対応が可能なスタッフが常駐する。

釜山は年間50万~60万人の日本人が訪れる人気の都市。九州とは高速船などで結ばれており、今後も交流人口の増加が見込まれることから出店を決めた。

西鉄は18年度にタイ・バンコクでホテル開業を計画しており、海外展開に力を入れている。

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依田一義の不動産開発情報39

西日本鉄道(福岡市)は7日、6月末に取得する福岡市中央区天神1丁目の「毎日福岡会館」について、近接する水鏡天満宮も含めた一帯約2・6ヘクタールを「ホテル・オフィス」ゾーンとして関係地権者と共同開発する計画を明らかにした。周辺で同時並行して進む他の再開発施設と地下通路で結ぶ案も検討している。九州最大の商業地、天神を再構築する「天神ビッグバン」が一段と加速する。

地下通路で直結構想、水鏡天満宮は移設も

市が募集する天神地区の西側にある旧大名小(中央区大名2丁目)の跡地利用についても、複合施設の建設計画で応募する方針を明らかにした。跡地は約1・2ヘクタールある都心の「超優良物件」。西鉄グループの老舗ホテル「西鉄グランドホテル」に隣接しており、同社は宿泊、商業、オフィス、憩いの場を併せ持った計画を7月下旬に提出する。

天神地区の東端にある毎日福岡会館の西側には、一帯を南北に貫く複数の道路があるが、道幅が狭く、街づくりのネックにもなっているのが現状。このため、再開発に合わせ、行政と連携して道路を付け替える案も浮上している。

会館一帯の再開発に合わせ、「天神」の地名の由来となった水鏡天満宮については「地域の歴史・文化を顕彰する」(地権者)ため、ビルに囲まれた現在地から会館と入れ替える形で那珂川沿いの目立つ場所へ移設する案も出ている。

西鉄は、会館取得を天神再開発の「布石」(幹部)と位置づけ、既に水鏡天満宮も含めた関係地権者と勉強会を始めている。西鉄は会館の東側で、市の水上公園の再整備も進めており、7月15日に開業する。

西鉄は、天神に所有する「福岡ビル」と、隣接する商業ビル「天神コア」「天神ビブレ」の一体開発を計画中。毎日福岡会館や旧大名小跡も含め地下通路で結ぶ検討では、市に開発を働きかける。

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依田一義の不動産情報36

西日本鉄道が福岡市・天神に所有する「福岡ビル」と、隣接する商業ビル「天神コア」「天神ビブレ」を一体的に再開発するため、ビブレの地権者に対して土地の売却・貸借の優先交渉権を求める文書を提示したことが分かった。地権者の大半は応じる意向で、早ければ4月にも交渉が始まる。天神中心部で、新たな大型再開発計画が動きだす。
天神ビブレは、商店街を再開発して1976年に建てられた。地権者は旧商店主など41者。空調や電気設備の老朽化が進み、機器の交換だけでも数億円はかかることから、地権者たちは昨年、ビルの今後の方針について協議。不動産開発業者に各地権者が権利を売却か賃借し、建て替えてもらう方針を決めた。
西鉄は本社の入る福岡ビルを10年以内に建て替える方針で、倉富純男社長は自社が建物を区分所有するコアと、ビブレも合わせた「一緒の建て替えがベスト」との考えを表明している。ビブレ地権者が建て替え方針を示したことを受け、西鉄の開発担当者は地権者たちと意見交換。一体開発に前向きな地権者が多く、優先交渉権の獲得へ動いた。
西鉄が今月上旬に提示した文書は、福岡ビルやコアと一体的な建て替えをすることを前提に、西鉄と各地権者が2年間の個別交渉を行うとしている。地権者によると、現時点では数人が優先交渉権の付与に反対しているものの、残りは同意する見込みという。
福ビル、コア、ビブレが並ぶブロックは、福岡市が進める都心再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の中核をなす「天神1丁目南ブロック」(約3・1ヘクタール)にある。3棟の敷地を合わせると約8600平方メートル。国や市が容積率や航空法による高さ制限を緩和しており、従来より大型のビルを建設することができる。
隣接地で福岡地所が2020年完成を目指す大型オフィスビルに続く再開発計画は、周辺のビル建て替えにも影響を与えそうだ。

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