依田一義の不動産情報140

JR京都駅周辺でホテルの大規模改装や新・増築が活発化している。改装はほぼ一巡し、多くのホテルが京都らしいデザインを採用するなどして競争力を強化。宿泊特化型ホテルの新・増築計画も相次いでおり、京都の玄関口で宿泊客の獲得競争が過熱しそうだ。
リーガロイヤルホテル京都(京都市下京区)は、2月から休業して行ってきた大規模改装が終わり、6日に公開した。京都の風情と現代的デザインをテーマに、竹林を表現した装飾などを内外装に導入した。客室はシングルルーム20室を廃して全室2人以上宿泊できるようにし、7室増の489室となった。8日に開業する。中村雅昭総支配人は「外国人の宿泊を伸ばし、客室単価の引き上げを目指す」と集客への自信を語った。
京都駅周辺ではここ数年、開業後30~40年以上たったホテルの大規模改装が集中している。2020年の東京五輪を見据え、客室や宴会場、設備をリニューアルしている。
京都新阪急ホテル(下京区)は畳の客室を新設し、新・都ホテル(南区)は約24億円を投じてロビーやレストランなどを改修。京都センチュリーホテル(下京区)は環境と健康を前面に3年間で全219室を改装。ホテル京阪京都(南区)は客室を1割増の320室に拡充した。ホテルグランヴィア京都(下京区)も開業20年を迎える17年度に全館改装に着手する予定。
ホテルの新・増築計画も多く、6日にはアパグループ(東京)が京都駅北側に新築する「アパホテル」の起工式を現地で開いた。市内で5棟目で、レストランを備えた計105室を整備する。出席した元谷一志社長は「関西国際空港への格安航空の就航などで外国人観光客はまだまだ伸びる」と述べ、京都でのさらなる展開に意欲を示した。
駅南側の宿泊特化型ホテル、エルイン京都(南区)も来年秋をめどに敷地内で76室の新棟を増築する。既存の512室は大半がシングルルームだが、新棟は全室でツインを導入。昨年に京都市が行った容積率緩和で建築が可能になった。既存の客室も営業を続けながら今年末から18年1月までに順次改装するという。
市が宿泊施設の増加を要望していることもあって、京都駅周辺ではほかにもホテルの新築計画があり、価格やサービス競争は今後も続きそうだ。

株式会社Z-ONE