神社巡り

依田一義の神社・お寺巡り

「丙」の恵方参り

恵方参りとは?
恵方参りは現在でいう初詣の時に行われていたもので、江戸時代には盛んだった。
『年中行事大辞典』加藤 友康ほか編、吉川弘文館)によれば、「正月の初詣での際、その年の恵方にあたる方角にあたる寺社を選んで参詣し、当年の幸福を祈願すること」
明治5年12月2日まで、日本ではいわゆる旧暦が使われていた。改暦にともない、明治5年は12月3日から12月31日までの28日間は存在せず、翌日、明治6年1月1日になった。改暦以前は、月の満ち欠けのリズムに合わせた「太陰太陽暦」の正月と、太陽の動きによって1年を24等分した「二十四節気」の立春は、ほぼ同時期に訪れていたため、節分の行事は、新年を祝う風習と重なっていることが多い。旧年の災厄などを禊ぎ祓え、新しい年の招福を願う行事が、節分と立春、つまり正月の風習として伝わっているのだ。
今でも暦をめくると、冒頭にある「方位吉凶図」で、歳徳に当たる方角が「歳徳神」の位置する方位が「恵方」であり、1年中大吉方位とされる。2016(平成28)年は、巳(み)と午(うま)の間の丙方(ひのえかた)、つまり、「南南東」というわけだ。 そこで今年は千葉県館山にある安房神社に参拝してきたのでご紹介致します。

都心から約2時間で行ける千葉の内房先端近くにある安房国一宮安房神社、主祭神 は、天太玉命 (アメノフトダマノミコト) 日本の全ての産業創始の神。
『上の宮』の主祭神・天太玉命は、遠い神代の昔、天照大御神のお側近くにお仕えになられた神様で、中臣氏と共に朝廷の祭祀(お祭り)を司った斎部氏(忌部氏)の祖神に当たられます。
天照大御神が弟神・スサノオノミコトのあまりにも乱暴な振る舞いにお怒りになり、天の岩屋にお籠もりになられてしまった時には、中臣氏の祖神・天児屋命(アメノコヤネノミコト)と共に力をあわせて、大御神の御出現を願うためのお祭りを行なわれますが、当社御祭神は、それ以外にも御自身の率いる忌部の神々を指揮され、このお祭りを行なうために必要不可欠な鏡や玉、神に捧げる幣帛や織物、威儀物としての矛や楯といった武具、社殿の造営などを司られており、こうしたことから、日本における全ての産業の総祖神として崇敬されております。
当神社のご由緒は、神代の時、安房神社の創始は、今から2670年以上も前に遡り、神武天皇が初代の天皇として御即位になられた皇紀元年(西暦紀元前660年)と伝えられております。神武天皇の御命令を受けられた天富命(下の宮御祭神)は、肥沃な土地を求められ、最初は阿波国(現徳島県)に上陸、そこに麻や穀(カジ=紙などの原料)を植えられ、開拓を進められました。その後、天富命御一行は更に肥沃な土地を求めて、阿波国に住む忌部氏の一部を引き連れて海路黒潮に乗り、房総半島南端に上陸され、ここにも麻や穀を植えられました。 この時、天富命は上陸地である布良浜の男神山・女神山という二つの山に、御自身の御先祖にあたる天太玉命と天比理刀咩命をお祭りされており、これが現在の安房神社の起源となります。
時代が下り養老元年(717年)になると、吾谷山(あづちやま)の麓である現在の場所に安房神社が遷座され、それに伴い、天富命と天忍日命をお祭りする「下の宮」の社殿も併せて造営されました。

平安時代には、『延喜式』の「神名帳」に記載された式内社(しきないしゃ)となり、その中でも特に霊験著しい名神大社(みょうじんたいしゃ)として、国家から手厚い祭祀を受けておりました。またこの時代には、「安房国一之宮」としても、広く一般庶民からの崇敬も集めています。因みに現在においても、安房国の一之宮で有ることには変りありません。 明治時代になると、新たな社格制度が制定され、当社は「官幣大社」(かんぺいたいしゃ)という最高位の社格を賜り、昭和20年の大東亜戦争(太平洋戦争)終結まで、国家の管理下に置かれることとなっていました。 しかし終戦時に、GHQによる「神道指令」によって、当社を含め、それまでの社格制度は全て廃止されてしまいます。昭和21年には、戦後発足した神社本庁(じんじゃほんちょう=全国の大多数の神社を包括する団体)によって、神社の由緒や活動状況を考慮して、特に優れたお宮に定められる「別表神社」(べっぴょうじんじゃ)の指定を受けることとなりました。それ以降、氏子の皆様は勿論のこと、日本全国の多くの崇敬者の皆様に支えられて、現在に至っております。


ご利益
当神社の主祭神の天太玉命 (アメノフトダマノミコト)は、日本の産業創始の神様です。
『古語拾遺』によると、高皇産霊神の孫と言われており、天孫降臨の時に宮中での神鏡の守護神として、また祭祀を司る重要な神として、天児屋命とともに地上に遣わされました。 天太玉命は、あらゆるモノを生み出す、優れた力をお持ちの神で、ものつくり、企業隆昌、事業繁栄、商売繁盛、技術向上、学業向上などに、特にご利益があり、多くの中小企業、個人商店などには、特に強いお力添えをなさって下さいます。また、天照御大神が天岩戸にお隠れになられた時に、天太玉命は、素早い行動力と、統率力を発揮されたことから、積極性を身に付けたり、組織のリーダーとしての資質も授けられるとされています。また神の霊力が高いゆえに心願成就・必勝祈願などにも大変強いと言われております。
境内には強い氣を感じるご神木を感じて、御祈祷を受けて水取りをするのがおすすめです。