依田一義のエネルギー情報111

中部電力グループの中部プラントサービスが三重県の多気町(たきちょう)で木質バイオマス発電所を稼働させた。2015年3月に建設工事に着手した「多気バイオパワー」が予定通り1年3カ月で完成して、6月27日から営業運転に入った。

発電能力は6.7MW(メガワット)と大きく、年間に5000万kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると1万4000世帯分に相当する。人口1万5000人の多気町の総世帯数は約5600世帯で、その2.5倍に匹敵する電力量になる。

燃料は地域の森林で発生する間伐材のほか、道路工事などに伴って伐採する工事支障木を利用する計画だ。年間の使用量は6.5万トンを見込んでいる。三重県の面積のうち64%を森林が占めていて、県のほぼ中央に位置する多気町から見ると西側に森林地帯が広がっている。

中部プラントサービスは多気バイオパワーの運転開始に先立って、多気町の北から西にかけて隣接する松阪市に木質バイオマス燃料を調達する共同企業体「三重バイオマスJV」を4月に設立した。松阪市内で2014年11月に運転を開始した「松阪木質バイオマス発電所」(発電能力5.8MW)と共同で燃料を安定的に調達する狙いだ。

三重バイオマスJVは年間に15万トン程度の間伐材や工事支障木を調達して、木材の備蓄から乾燥、さらに木質チップの製造と輸送までを請け負う。多気バイオパワーの構内には木質チップの貯蔵庫があって、三重バイオマスJVから供給を受けた木質チップをフィーダでボイラーに送り込んで燃焼させる仕組みだ。ボイラーで475度の蒸気を作り出し、蒸気タービンを回転させて発電する。

多気バイオパワーは「多気クリスタルタウン工業ゾーン」の11万平方メートルのうち8800平方メートルの敷地に建設した。この一帯では液晶産業を中核に工業や商業を発展させる一方、地域の特性を生かした産業の創出に取り組んでいる。木質バイオマス発電所も新たな雇用を生み出す。

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依田一義のエネルギー情報110

京都の大手メーカーが、工場や店舗の電力を効率的に使うシステムや製品の販売に注力している。電力不足への懸念や再生可能エネルギーの普及などで、企業の省電力ニーズが一段と高まっていることに対応し、賢い電力消費をサポートする。
日新電機は、通常の電力や太陽光発電、ガスコージェネレーション(熱電併給)、蓄電池などの分散した電源を効果的に使用する工場向けのエネルギー管理システム(EMS)を開発し、4月に販売を始めた。電力の需要予測に沿って各電源の運用を10分単位で48時間先まで計画し、電気料金の低減や電力消費量の抑制につなげる。初年度で売上高20億円を計画する。
同社は「今後は太陽光発電の売電単価下落で、つくった電力を自家消費するニーズは増える」(新エネルギー・環境事業本部)とみて、中規模以上の工場への拡販を目指す。

■年100万円の削減効果

京セラは、店舗やオフィス向けのEMSを開発し、2015年度から本格販売している。空調や冷蔵ケースなどの電力を監視し、快適な室温を維持しながら機器の稼働を制御する。昨年の実証ではスーパー1店舗の電気代で最大年100万円の削減効果があったという。
さらに日本IBMと連携し、電力会社からの節電要請に応じて複数の商業施設や工場などの電力消費を自動調整するデマンドレスポンス(需要応答)の実証実験も重ねる。分散型電源を含めた高度な電力制御機能をEMSに追加する計画だ。
オムロンは、産業用太陽光発電システム向けに電気の出力を調整する屋外三相パワーコンディショナーを今春発売した。パワコンは住宅用を中心に手掛けてきたが、幅広い出力に対応する機器の需要が高まるとみて、産業用に本格参入した。容量別に3種類を用意し、3年間で3万台の販売目標を掲げる。

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依田一義の不動産情報100

閉校した元清水小(京都市東山区)のホテル活用で、所有者の京都市と公募で事業者に選ばれたNTT都市開発(東京)の基本協定書締結式が5日、中京区の市役所で行われた。今後、地元自治会を含む3者で施設運用などを協議し、2018年度の開業を目指す。
市の学校跡地活用事業で、築80年を超す旧校舎(4階建て、延べ約4200平方メートル)を初めてホテルとして改修する。客室は40室程度で、運営会社は国内企業を優先し、交渉を進めている。16年度中に両者で土地と建物の貸借契約を結ぶ方針。
式では門川大作市長とNTT都市開発の牧貞夫社長が協定書を交わした。牧社長は「京都の伝統産業や食材など多彩なコンテンツを生かし、歴史や文化を継承するホテルにしたい」と意欲を語った。門川市長は「従業員の安定雇用と京都の伝統産業の活性化を担う新たな宿泊事業のモデルにしてほしい」と期待を寄せた。

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依田一義の不動産情報99

レオパレス21は7月4日、スマートフォン(スマホ)による家電制御機器を展開しているグラモと共同で、「Leo Remocon」を開発し、10月完成物件から順次装備していくと発表した。
「Leo Remocon」を通じて、レオパレス21に標準で備え付けられている家電だけでなく、入居者の所有する赤外線リモコン対応家電をスマホから遠隔で操作したり、情報を表示できたりするようになる。
今後はセキュリティシステムを段階的に導入するなど、高度な住空間の提供を2社共同で目指すとしている。

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依田一義の不動産情報98

国税庁が1日発表した2016年分の路線価(1月1日時点)は、全国平均で前年比0.2%上昇となり、2008年以来、8年ぶりの上昇に転じた。前年は同0.4%下落だった。東京、大阪、名古屋など大都市圏が上昇をけん引している。

47都道府県のうち、上昇したのは14都道府県。昨年は10都府県だったが、新たに北海道、広島県、福岡県、熊本県が上昇に転じた。

上昇率が最も大きかったのは東京都(2.9%)で、次いで宮城県(2.5%)、福島県(2.3%)の順。東京都の前年の上昇率は2.1%だった。

都道府県庁所在地の最高路線価を見ると、上昇は25都市と前年の21都市から拡大。下落したのは5都市で、前年の12都市から大きく減少した。横ばいだったのは17都市だった。路線価のトップは東京都の銀座中央通りで、31年連続で最高となった。

上昇率のトップは大阪市の御堂筋で前年比22.1%上昇、次いで東京都の銀座中央通りの同18.7%上昇、京都市の市場通の同16.9%上昇の順となっている。

= 都道府県庁所在地都市の最高路線価 =

= 1平方メートルあたり、単位万円、カッコ内は前年比上昇率   =

1:東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り         3200(18.7%)

2:大阪市北区角田町 御堂筋               1016(22.1%)

3:名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り           840(14.1%)

4:横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り  781( 9.5%)

5:福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り            560(12.0%)

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依田一義の不動産情報97

アットホームの調査によると、5月の首都圏における新築戸建て住宅の平均成約価格は3435万円(前年同月比2.2%上昇)で、7カ月連続で上昇した。千葉県を除く全エリアで上昇している。また、前月比でも3カ月連続で上昇となった。東京23区の平均価格は4877万円(前年同月比7.6%上昇)で7カ月連続上昇。埼玉県は同6カ月連続上昇。また、神奈川県は同11カ月連続上昇となったが、千葉県では同13カ月ぶりに下落に転じた。

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