依田一義の不動産情報156

今知っておくべき税金。賃貸にすると「3,000万円の特別控除」が使えなくなる理由

何らかの事情で自宅を移す時、それまで住んでいた自宅を売却するか、手放さず賃貸物件とするかは迷うところです。売却すると売却収入が見込め、譲渡所得が発生します。そしてこの譲渡所得には、所定の条件を満たすと、所得の計算上3,000万円もの特別控除が認められるのをご存じでしょうか。

ここでは、この3,000万円の特別控除の規定について確認したうえで、この特例がどのように適用されるのかを具体的にみてみましょう。賃貸と売却のいずれかでお悩みの方には参考になると思います。

■特別控除を受けられる条件は?

冒頭で紹介した通り、マイホームを売却した時はその所有期間に関係なく、売却によって得られた譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができるという特例があります。

ただしこの特例を受けるためには条件があり、国税庁のホームページに詳しく説明がありますので確認しましょう。
参考:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm

ここからは、実際に起き得るいくつかのケースについて、この特例が適用されるのかどうかを見ていきます。

1. 所有物件を賃貸する場合
まず、冒頭でも触れたような所有する自宅を売却せずに賃貸物件とした場合です。これについては適用されません。あくまでも売却に伴う譲渡所得についての特例だからです。ただし、売却時点で住宅ローンの残債が残っていてその金額を上回る売却金額が査定で見込めないような場合は、特別控除の適用はともかく、物件を一度賃貸に出すことを検討してみるべきでしょう。

2. 一時的に賃貸し、その後売却する場合
次は、一時的に賃貸物件とし、その後売却した場合です。

例えば、「会社の都合で遠方に転勤。今住んでいる家が空き家となるので一時的に賃貸。その後、転勤地へ自宅を引っ越すことになったため、家を売却する」というケースがあります。このような場合は、上述の3,000万円の特別控除は適用されるのでしょうか。

これは以下の規定が適用されます。

「(1)自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。」

例えば、平成28年に転勤したような場合は、その後、賃貸に出しても、空き家のままでも、2019年12月31日までであれば、3,000万円の特別控除が適用されます。

3. 親から相続した家を売却した場合
親から相続した家の売却についてはどうでしょうか。

この場合、相続人がすでに自宅を構えていて、相続した家の住み手がなく空き家状態になるケースが大半です。そうであっても、空き家の発生を抑制するための特例措置として、一定の条件を満たせば、相続した日の属する日から3年目の年の12月31日までに売れば、3,000万円の特別控除が適用されます。

こちらは国交省のホームページに「空き家の発生を抑制するための特例措置」として紹介されています。
参考:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html

ポイントは「耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限る」ということです。空き家の倒壊を防ぐ措置なので、注意すべき点でしょう。

居住用の自宅を賃貸にするか、売却するかは判断の難しいところです。賃貸に出した場合、借り手との契約が問題となり、その後の売却が難しくなることもあります。また、売却する場合でも、希望の価格で売れない可能性もあります。したがって、査定では賃貸に出した場合の借り手と賃貸収入の見込み、売却の場合の売却収入の両方の見込みを立てて、3,000万の特別控除の適用と合わせてどちらを選択するべきか検討するようにしましょう。

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依田一義のエネルギー情報145

「石炭ガス化複合発電」(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)は日本が世界をリードする発電技術の1つで、LNG(液化天然ガス)を燃料に利用する火力発電と同等の発電効率を発揮する。燃料が安い石炭を使ってCO2(二酸化炭素)の排出量を削減できる利点があり、国を挙げて実用化に取り組んでいる。
IGCCによる最先端の石炭火力発電設備を福島県内の2カ所に建設することが正式に決まった。1カ所は太平洋沿岸の広野町(ひろのまち)にある東京電力の「広野火力発電所」の構内で、既設の石炭火力発電設備に隣接して建設する。すでに貯炭場の工事を2015年4月から進めていて、5年後の2021年9月に営業運転を開始する計画だ。

もう1カ所は同じ太平洋沿岸のいわき市にある常磐共同火力の「勿来(なこそ)発電所」である。東京電力と東北電力が共同で運営する火力発電所で、現在運転中の5基のうち1基は日本で初めてIGCCを商用化した発電設備だ。既設のIGCCの発電能力は25万kW(キロワット)だが、2カ所に新設するIGCCでは54万kWに達する。

勿来発電所では既設の設備の改修工事が不要なことから、広野町よりも早く2020年9月に営業運転を開始できる見込みだ。1年前の2019年9月には試運転に入ることを想定している。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時点では最先端のIGCCが福島県で稼働している状況を世界に示して、震災からの復興をアピールする狙いがある。

ピーク時に最大2000人の雇用を創出

福島県に建設するIGCCの実証設備は国と県が推進する復興計画の一環で、官民連携で取り組む一大プロジェクトである。建設工事のピーク時には2カ所を合わせて1日あたり最大2000人規模の雇用を創出する。工事に先立って実施した環境影響評価から今後の発電設備の運用までを含めると、1600億円にのぼる経済波及効果が見込まれている。

さらに発電技術の点でも期待は大きい。国が策定した次世代火力発電のロードマップでは、IGCCを石炭火力の中核の技術に位置づけている。現在の石炭火力で最新鋭の「超々臨界圧」(USC:Ultra Super Critical)の発電効率が40%程度であるのに対してIGCCでは50%程度まで引き上げることが可能だ。発電効率が高くなる分だけ燃料費を低減できて、同時にCO2排出量の削減にもつながる。

福島県に新設するIGCCは石炭をガス化する時に酸素と窒素が混じった状態の空気を使う「空気吹きIGCC」と呼ぶ方式を採用する。勿来発電所で運転中のIGCCでも空気吹き方式を採用している。

このほかに空気から酸素を抽出してガス化の効率を高める「酸素吹きIGCC」がある。中国電力とJ-Power(電源開発)が広島県に建設中の「大崎クールジェンプロジェクト」のIGCCで採用している。発電能力は16.6万kWで、2017年3月に実証運転を開始する予定だ。

酸素吹き方式のほうが石炭の燃焼温度を上げて効率よくガスを発生させることができる半面、空気から酸素を抽出する設備が必要になるため発電所内の消費電力が大きくなる。発電所から送電できる電力の効率では相対的に空気吹き方式のほうが高い。

福島県に新設するIGCCは発電端効率(発電設備の出力ベース)が50%で、送電端効率(発電所から送電線への出力ベース)は48%になる見通しだ。勿来発電所で運転中のIGCC(10号機)の送電端効率40.5%と比べて7.5ポイント高くなり、大崎クールジェンで建設中の酸素吹きIGCCの40%を大きく上回る。

火力発電の効率は燃料の燃焼温度によっても差がつく。勿来10号機は石炭から発生させたガスを1200℃程度で燃焼させて発電するのに対して、新設のIGCCでは1500℃程度までガスの燃焼温度を高めて発電能力を引き上げる。2カ所の発電設備は三菱日立パワーシステムズが供給する。

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依田一義の不動産情報155

不動産賃貸仲介大手のハウスコムはこのほど、長期在留ビザを取得している外国人向けに賃貸パッケージ「グローバルサポートプラン」の提供を始めた。
同プランは、同社が家主と転貸借契約を結び、物件の貸主となって入居者と契約。外国人入居者が部屋探しと賃貸生活をスムーズに行えるよう、多言語コールセンターによる問い合わせ、24時間駆け付けサービス、家賃のクレジットカード支払いなどに対応する。また、来日前に本国から部屋探し、申し込みが行えるようにシステムを構築。来日後は契約手続きをするだけで、安心して来日できるという。対象は、6カ月以上長期在留ビザを取得している外国人。

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依田一義の不動産開発情報90

トーセイは、埼玉県越谷市のJR武蔵野線越谷レイクタウン徒歩13分の場所で開発中の戸建て分譲住宅「THEパームスコート越谷レイクタウン」において、女性発想の住まい企画「イロドリエ」を導入した。同企画は、家事や子育てなどを通じて家族の生活を支える「女性」の発想に着目することで、家族全員が心地よい住まいの形を提案するものだ。「越谷レイクタウン」は全68区画。現在販売中の7棟の販売価格は、土地面積150~169平方メートル(建物面積91~103平方メートル)で3590万~4590万円。

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依田一義のエネルギー情報144

日本製紙、三菱商事パワー、中部電力の3社が設立した発電事業会社「鈴川エネルギーセンター」は、2013年9月4日に設立された新たな電力供給の枠組みである。資本金は約26億円で、出資比率は三菱商事パワー70%、日本製紙20%、中部電力10%となっている。日本製紙は発電設備の運転および保守を受託。発電した電力は全量を電力小売り事業者であるダイヤモンドパワー(東京都中央区、中部電力80%・三菱商事20%出資のPPS)に販売する。
今回、同枠組みにより建設した火力発電所が営業運転を開始した。発電所は日本製紙の旧鈴川工場の生産設備跡地(静岡県富士市)を活用し、建設を進めていたもので、発電出力は約10万キロワット(送電端)。エネルギー源には石炭を用いる。

日本製紙は、全国にある工場の設備や土地の他、長年培ってきた技術やノウハウ、人材を活用した各種の事業を展開している。社会への電力安定供給に向けたエネルギー事業もその1つで、火力発電所の鈴川エネルギーセンターでは、発電設備の操業技術を生かし、設備運営を通じて電力の安定供給に貢献する考えだ。この他、再生可能エネルギーによる小松島(太陽光)および八代(バイオマス)発電所が稼働中。さらに石巻、秋田(ともに石炭・バイオマス)でも発電所の開設を目指すなど、エネルギー事業の拡大に向けて取り組みを強化している。

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依田一義の不動産開発情報89

JR東日本千葉支社は9月23日、総武本線銚子駅(千葉県銚子市)の駅舎を建て替えると発表した。10月から工事に着手する。
発表によると、新しい駅舎は木造2階建て。建築面積は576.84平方m、延床面積は703.88平方mになる。「銚子の人々が生み出している『にぎわい』のイメージ」を駅舎のデザインに取り込むとしており、外観は灯台を思い起こさせるような白に。内装は「醤油蔵」のイメージでデザインし、木材の仕上げの一部には千葉県産の「山武杉」を使うという。

工事の完成は2017年度の冬季を予定。千葉支社は「地域の特色を取り入れることで、千葉県を代表する観光地にふさわしい駅」にするとしている。

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依田一義の不動産開発情報88

サッポロホールディングス(HD)傘下のサッポロ不動産開発(東京)などが運営する商業ビル「銀座プレイス」が24日、東京・銀座にオープンする。地上11階、地下2階建てで、ビアホールや高級レストラン、日産自動車とソニーのショールームなどが入り、銀座の新たなランドマークになりそうだ。

銀座プレイスは、銀座4丁目交差点の一角に位置し、地上3階と7階のテラスからは、通行人や車両が行き交う交差点を一望できる。地下のビアホールは8月に一足早く開店した。

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依田一義のエネルギー情報143

中部電力と資源開発大手の国際石油開発帝石(INPEX)は23日、INPEXが天然ガスを供給している西武ガス(埼玉県飯能市)など中堅都市ガス事業者3社と電力卸販売で合意したと発表した。3社は西武ガス、松本ガス(長野県松本市)、諏訪ガス(同諏訪市)。いずれも自社供給エリア内でガスと電気のセット割引を提供する。

3社の契約件数は計約5万9000件に上る。中部電とINPEXは昨年7月に電力販売事業で合意。これまで武州ガス(埼玉県川越市)など9社と電力卸販売で業務提携しており、今回3社が新たに加わり電力卸販売先は12社に拡大した。中部電は地域のガス会社との提携を強化し、域外の首都圏を中心に営業基盤を広げる。

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依田一義の不動産開発情報87

サンケイビルとオリックスはこのほど、東京都港区赤坂で開発中のオフィスビルの名称を「エスゲート赤坂山王」に決めた。「エスゲート」はサンケイビルが展開する中規模ビルシリーズのブランド。今回が両社のオフィス開発ノウハウを生かした初の共同事業となる。地上10階地下1階建てで、基準階面積は約300坪。竣工は11月末を予定している。

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依田一義の不動産情報154

京都府が20日発表した府内の基準地価で、伏見稲荷大社(京都市伏見区)近くの調査地点が前年比で26.2%も高くなり、商業地の上昇率トップに躍り出た。近年急増している外国人観光客が、周辺の地域経済に活気を与えていることが要因となった。京都市内ではゲストハウスや一般住宅を提供する「民泊」などの増加が地価を押し上げる傾向もみられ、観光が京都の地価上昇をけん引する構図が鮮明になっている。
JR稲荷駅前にある伏見稲荷大社参道入り口。鳥居の手前にはためくのぼりが、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で外国人に人気の国内観光地3年連続1位に輝いたことを知らせる。
さまざまな国籍の人々が行き交う一帯には、中国語の看板を掲げた土産物店もあり、店内には戦国武将のよろいかぶとを模したフィギュアが並ぶ。男性店員(25)は「2年前に店を改装し、外国人をターゲットにした。売り上げは以前の何十倍にも増えた」と話す。
また、日本酒など特産品を扱う1909(明治42)年創業の商店で働く林和宏さん(74)も「ここ3年ほどで急激に外国人観光客が増え、食べ歩きを好む観光客を意識した店が増えている」と語り、近年の変化を振り返る。
伏見稲荷大社周辺の急激な地価上昇について、不動産鑑定士の森口匠氏は「商業地としては、もともと住宅地より少し価格が高い程度だったため、外国人観光客の増加に伴う上昇幅も大きくなった。売り手が少なく取引は出てきていないが、呼び値は相当高い」と分析する。
観光需要の影響は、ほかにもみられる。森口氏によると、ゲストハウスなどを含む市内の簡易宿所は675カ所(3月現在)と昨年1月比で41・3%も増えた。中京区や東山区、下京区、南区に多く、地価上昇率の高いエリアと一致する。
森口氏は「事務所ビルやマンションを転用するケースが多く、不動産の再利用につながっている。地価を押し上げる効果は高い」と指摘する。

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