依田一義の国際情勢情報38

米大リーグのワールドシリーズ(7回戦制)は2日、クリーブランドで第7戦が戦われ、シカゴ・カブス(ナ・リーグ)がクリーブランド・インディアンス(ア・リーグ)を延長十回、8―7で下し、対戦成績を4勝3敗として優勝を果たした。カブスのワールドシリーズ制覇は3度目。前回優勝したのは1908年と、実に108年ぶりの優勝となった。

試合は八回までカブスが6―3でリードしていたが、ここから粘るインディアンスが同点に追いついて延長戦にもつれ込んだ。逆転を狙うインディアンスだったが降雨による17分間の中断の後試合が再開すると十回にカブスが攻勢に出る。ゾブリストとモンテロのタイムリーで2点を勝ち越すと、その裏のインディアンスの攻撃を1点に抑えて接戦を制した。

シリーズMVP(最優秀選手)にはゾブリストが選ばれた。

今回カブスは対戦成績1勝3敗からの逆転で優勝。これは1985年のカンザスシティー・ロイヤルズ以来の記録だ。また最後の2連戦を敵地で勝利したのは、79年のピッツバーグ・パイレーツ以来初めてとなる。

ワールドシリーズ決勝で敗れたインディアンスは、3度目となる68年ぶりの優勝にあと一歩届かなかった。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報37

国家安全保障局の谷内正太郎局長が8~10日の日程でロシアを訪れ、同国政府高官と北方領土問題など政治・安全保障分野に関する協議を行うことが固まった。

12月15日に行う安倍晋三首相とプーチン大統領の会談に向け、詰めの調整を行う。日本政府関係者が明らかにした。

谷内氏は首相の外交ブレーン。訪ロ時には大統領最側近の1人であるパトルシェフ安全保障会議書記らと会談する方向で、日ロ安保協力のほか、北朝鮮やシリアの情勢などについても意見を交わすとみられる。

首相とプーチン大統領は、11月20日にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に会談。12月15日には首相の地元、山口県長門市で再び会い、領土問題や両国間の協力強化について話し合う。

日ロ間では経済・民生分野の協力に関してもハイレベル協議が続く予定で、首脳会談前の調整がヤマ場を迎える。ロシア経済分野協力担当相を兼ねる世耕弘成経済産業相が2日からモスクワを訪問。15日には東京で閣僚級の「貿易経済政府間委員会」が開催される。岸田文雄外相も12月の首脳会談前の訪ロを予定している。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報36

台湾の野党・国民党の洪秀柱主席が30日、中国・南京入りした。11月1日には北京で中国共産党の習近平総書記(国家主席)との会談に臨む見通し。国共トップ会談は、今年5月に台湾で独立志向が高い民進党の蔡英文政権が発足してからは初めて。

中国は「一つの中国」原則の受け入れを避けている蔡政権との対話を停止。中台関係が冷え込む中、習氏の台湾政策についての発言が注目される。洪氏は31日に南京で、国民党の創始者である孫文の墓「中山陵」を参拝した後、北京に移動。11月2、3の両日、「両岸平和発展フォーラム」に出席する。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報35

韓国の朴槿恵(パククネ)大統領(64)が演説草稿など機密文書を渡していた友人の会社経営、崔順実(チェスンシル)氏(60)が30日、滞在先の欧州から帰国した。

検察の特別捜査本部は31日にも崔氏を事情聴取する見通しで、疑惑の渦中の人物に捜査のメスが入る。朴政権は30日、首席秘書官4人と側近秘書官3人、李元鐘(イウォンジョン)大統領秘書室長の計8人を更迭したが、事態収拾につながる気配はない。

崔氏は30日、弁護士を通じ、「国民をがっかりさせたことを謝罪する。捜査には積極的に応じる」と述べた。

崔氏には、朴氏から側近の秘書官を通じて演説草稿や機密扱いの公文書が渡っていたことが韓国メディアの報道で明らかになり、朴氏は国民への謝罪記者会見に追い込まれた。文書流出は、機密文書の漏えいを禁じた大統領記録物法に違反する疑いがある。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報34

米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏が国務長官在任中の公務に私用のメールサーバーを使っていた問題をめぐり、連邦捜査局(FBI)が新たに調査しているメールは、10月初めに見つかっていたことが分かった。司法省は数千に及ぶこれらのメールを保存しているとみられるコンピューターについて、すでに捜査令状を取得しているという。

新たなメールは、クリントン氏の側近フーマ・アベディン氏の元夫が未成年者に性的なメッセージを送ったとされる事件の捜査で、当局が調べていた元夫のコンピューターから見つかった。

FBIのコミー長官は今年7月、クリントン氏の私用メール問題に関する捜査を打ち切ると発表していたが、大統領選が終盤戦に入った10月28日になって、新たなメールを調べていると議会に通知。選挙戦の行方を左右しかねない展開として注目を集めている。

複数の捜査当局者らの話から31日までに明らかになったところによると、捜査当局は10月初め、アベディン氏の元夫が所有する複数のコンピューターを押収した。このうち1台に保存されているメールのリストアップ作業を始めた直後、データの中にアベディン氏のメールが交じっていることが判明。当局者らは急きょ、これらのメールについても改めて捜査令状を取った。

コミー長官は10月半ばの時点で、クリントン氏の私用メール問題に影響を及ぼすメールが見つかった可能性があるとの報告を受けていた。当局者らによれば、司法省幹部らが状況説明を受けたのは約1週間前。コミー長官は27日に詳細な説明を聞き、議会に報告することを決めたという。

捜査当局者らによると、クリントン氏関連のメールの一部はFBIが過去の捜査で入手していたメールの複製とみられるが、その数は不明。一方で、FBIがクリントン氏のメールサーバーを入手する前の段階で削除されたメールが含まれている可能性もあるという。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報33

欧州連合(EU)とカナダは30日、ブリュッセルで自由貿易協定(FTA)に調印した。

ベルギー地域政府の反対で土壇場で難航し、当初27日に予定された調印式を3日遅れで行った。今回の混乱は、EUの通商交渉体制に疑問を投げかけるもので、英国のEU離脱交渉や、日本との経済連携協定(EPA)交渉の行方にも影を落としそうだ。

EUが初めて先進7か国(G7)と結ぶFTAとなる。調印式にはトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)やカナダのトルドー首相らが参加。ユンカー欧州委員長は共同記者会見で「我々は通商協定の新たなスタンダード(標準)を築いた」と意義を語った。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報32

米連邦捜査局(FBI)が米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題の再捜査を開始したと発表した後に実施された米世論調査では、同氏の支持率が若干低下し、最終盤の選挙戦は予断を許さない状況になりそうなことが示された。
.

28日、「FBIは別件に絡み、以前の調査に関連すると思われる電子メールの存在を把握した」として、調査再開を明らかにしたコミーFBI長官の書簡が公表された。その前後に2回実施され30日に発表されたABC・ワシントンポスト調査によれば、クリントン氏支持者の7%も含め、投票を予定している有権者の約3分の1が今回の新たな電子メールの発覚により、クリントン氏に投票する可能性が低まったと回答した。
.

同調査によると、投票予定者の支持率はクリントン氏が46%、共和党候補ドナルド・トランプ氏は45%。1週間前の同じ調査ではクリントン氏のリードが12ポイントあった。共和党支持者が徐々にトランプ氏支持へと傾いてきていることも差が縮まった一因。
.

30日に公表された激戦州13州の投票予定者を対象にしたCBSトラッキング調査では、71%が考えを変えるつもりはないか、もしくは期日前投票を済ましたと回答した。
.

激戦州の有権者の52%が新たに見つかった電子メールには「既に分かっている事実」しかないと予想すると回答したのに対し、48%が「クリントン氏の打撃になる新たな事実が明るみに出る」とみていると回答した。後者は大多数が共和党支持者だった。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報31

イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は任期をさらに3年間延長する可能性は低く、早ければ11月3日に意向を表明するもようだ。英紙が伝えた。

カーニー総裁は5年の任期をあと3年間延長するかどうかの判断を年内に示すことを明らかにしていた。3日に会見が予定されている。

サンデー・タイムズ紙によると、カーニー総裁は同氏を招聘したオズボーン前財務相との関係が緊密で、メイ現政権に対して不満を抱いている。

クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は30日、BBCの番組に対し、カーニー氏起用は「素晴らしい」判断だったと述べた。

29日付タイムズ紙は、カーニー氏が個人的な事情から、18年に退任し、カナダに帰国することを考えていると伝えていた。タイムズ紙によると、18年よりも前の退任も提案されたが、強硬な反対があったという。

イングランド銀はタイムズ紙報道に対するコメントを控えた。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報30

深刻な経済危機や治安悪化に直面する南米ベネズエラで26日、マドゥロ大統領の退陣を求める大規模なデモが全土であった。マドゥロ氏の罷免(ひめん)を求める国民投票の手続きを選管当局が急きょ延期したことから、野党勢力が抗議を呼びかけたもので、地元メディアは数十万人が参加したと報道。野党連合の民主統一会議(MUD)は「120万人が集まった」としている。

野党側は平和的なデモを呼びかけたが、政府は同国北部のミランダ州で「銃撃により警官1人が死亡した」と発表。一方、野党指導者のエンリケ・カプリレス氏は「各地で計120人以上のデモ参加者が負傷した」と明らかにした。地元NGOは200人以上が逮捕されたとしている。

MUDのトレアルバ事務局長は「国民投票の権利の侵害に抗議する」として、28日にストライキを行うよう全国民に呼びかけた。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報29

トルコ軍は26日、シリア北部アレッポ県で親トルコの反体制派がシリア軍所属とみられるヘリコプターに空爆されたと発表した。ロイター通信が報じた。シリア軍の関与が事実ならば、トルコが今年8月に軍事介入して以降、シリア軍が親トルコの反体制派を攻撃するのは初めて。アサド政権はトルコの介入を「侵略行為」と非難しており、両国の緊張がさらに高まる恐れがある。

トルコ軍の発表によると、アレッポの北35キロのアフタリン周辺で26日、円筒形の容器に火薬や金属片を詰めた「たる爆弾」が反体制派の拠点に投下され、戦闘員2人が死亡、5人が負傷した。

トルコ軍は過激派組織「イスラム国」(IS)と少数民族クルド人民兵の掃討を名目にシリア北部で軍事介入を始めた。戦車部隊や特殊部隊が越境して反体制派を支援しているが、当初の活動地域はアサド政権の支配地域から離れていたため、政権側は静観していた。

親トルコ派は東西約80キロにわたって国境地帯を制圧した後、アレッポ北方に南下し、政権側支配地域まで約10キロに迫っている。政権側の包囲下にあるアレッポの反体制派と共にシリア軍を挟撃する可能性もあり、政権側は懸念を強めている。

株式会社Z-ONE