依田一義の海外不動産情報13

中国華夏幸福基業投資開発は9月25日、推定建設費用450億ドル(約4兆5491億円)といわれるエジプトの新都市計画に、新たに200億ドル(約2兆218億円)を投じると発表した。

両国間では今年1月、エジプトの新都市構想開発を含む経済再建支援に関する合意が交わされており、エジプト中央銀行への10億ドル(約1兆99億円)の融資を筆頭に、14棟の新庁舎やアフリカ最大の規模となる5000席を設置した巨大コンファレンス会場の建設など、巨額の投資資金が中国からエジプトに流れこむ。

■人口の大都市密集に苦しむインド、ブラジルなどのモデルになるか?

エジプトの新都市構想は人口増加対策の一環として、2013年に発表された。首都カイロの人口は2013年当時すでに1800万人まで膨張していたが、2050年には4000万人に達すると予測されている。

そこでスエズ運河沿いに500万人が生活可能な新都市を建設し、カイロの人口密度を調節しようという目論みだ。敷地面積699平方キロメートルというエジプト軍所有の開発都市では初期段階の建設が開始されており、5年後には500万人を収容できる住宅地の完成を予定している。

当然ながら一都市を創造するための費用は莫大だ。他国からの支援を募ったエジプトに、救いの手を差し伸べたのが中国である。

政府系土建会社、アラブ・コントラクターのモフセン・ディンCEOは、「都市開発は20年前に着手されているべきだった」と、急増するエジプトの人口が予想以上に深刻化している事実を訴えると同時に、国民が生活しやすい新環境を探すことが困難であったことも認めている。

一方建設費用の大半を気前よく出資している中国の意図が、慈善行為にあるとは考えにくい。中国側からは「経済発展や国民の生活向上を目指すエジプトの取り組みを支援する」と表向きのコメントが発表されているが、経済再建に向け動きだしたエジプトを経済的に援助し、決定的な影響力を手中におさめるといった感が強い。

総人口数が9000万人を超えるエジプト市場が将来的に活性化すれば、事業分野でも中国に便宜が図られる可能性が強くなる。

現時点では「多くのカイロ住民が新都市への移動に拒絶反応を示している」と報じられているが、人口増加問題が世界中で悪化していることから、エジプトの新都市建設が成功をおさめれば、やはり大都市に人口が密集しているトルコやインド、ブラジルなどでも同様の動きが見られるかも知れない。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報12

三栄建築設計とプレサンスコーポレーションはこのほど、ASEAN近隣諸国における不動産の開発プロジェクトなどへの出資を目的とした新会社を設立すると発表した。中長期的に1000億円程度の案件を検討する。新会社は、9月下旬から10月初旬に設立予定。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報11

三井不動産と三井不動産レジデンシャルはこのほど、シンガポールに設立した共同出資会社「三井不動産アジア」を通じて、タイ・バンコクで新たに3物件・約2100戸の分譲住宅を販売すると発表した。地元住宅ディベロッパーの「アナンダ社」とパートナーを組む。これで、三井不動産グループのバンコクでの分譲住宅事業は、合計12物件・約1万100戸となる。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報⑩

三菱地所は、タイのバンコクで、現地デベロッパーAP社との第8号プロジェクト「RHYTHM Ekkamai」(総戸数326戸)の販売を9月3日に開始。8日に全戸完売した。地上32階建てで、都心からのアクセスも良く、生活するにも便利な人気のスクンビットエリアに位置している。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報⑨

英不動産業者サヴィルズ<SVS.L>は、ロンドン中心部の高級住宅地の住宅価格は今年9%下落し、2019年までは上昇は見込めないとの見方を示した。買い意欲は不動産税増税で既に冷え込んでいたが、英国の欧州連合(EU)離脱交渉を見極めたいと様子見ムードが広がっている。

サヴィルズによると、ナイツブリッジ、ベルグレイヴィア、メイフェアなどに代表されるロンドン中心部の高級住宅地の住宅価格は、ここ2年にわたって下落が続いている。高額不動産や、賃貸目的の物件、2戸目の住宅を対象に、不動産税が増税となったことが影響している。

さらにEU離脱が決まったことで、不動産を買い控える動きや、一段の値下がりを待つムードが広がり、需要が一層低迷しているという。

サヴィルズは、来年にも始まる英国のEU離脱交渉が一定の結論に達するまでの間は、価格上昇は見込まれないと指摘。2019年に価格が上昇するとすれば、上昇率は8%と予想。ただし、需要が上向くかどうかは、今後の税制や英EU離脱交渉の結果によるとの見方を示した。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報⑧

三井不動産は20日、台湾で2カ所目となるアウトレットモールを中部・台中に開発することを決め、借地契約を結んだ。台中港に面した約18ヘクタールの敷地に、日系などの約150店舗が入居する「三井アウトレットパーク台湾台中港(仮称)」を設ける。2018年の開業を目指す。同社は今年1月、台湾1カ所目のアウトレットモールを北部・新北で開業。休日4万人、平日は2万人超が訪れる人気施設になっている。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報⑦

米商務省が20日発表した8月の米住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比5.8%減の114万2000戸だった。減少は3カ月ぶりで、件数は市場予想の119万戸を下回った。

ただ着工件数の先行指標となる建設許可の件数は、シェアが最も大きい一戸建て住宅で持ち直しており、住宅需要は底堅さを保っていることを示した。

8月の許可件数は0.4%減の113万9000戸だった。市場予想は117万戸だった。内訳は一戸建て住宅が3.7%増の73万7000戸だった。集合住宅は7.2%減の40万2000戸だった。

着工件数は前月まで、2カ月連続で底堅く伸びていた。伸び率は、特に一戸建て住宅で過去数カ月の許可件数のペースを大幅に上回っており、8月は落ち込むことが予想されていた。

8月の落ち込みにより、着工件数は第2・四半期の平均をやや下回った。ただエコノミストらは住宅建設が第3・四半期の国内総生産(GDP)を押し上げる方向に働くとみている。住宅建設は第2・四半期のGDPをやや押し下げていた。

20-21日の日程で、連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。低インフレが懸念され、最近の経済指標も弱含んでいることから米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を据え置くとみられている。

雇用市場が引き締まり賃金が上昇していることは、住宅需要の押し上げ要因となっている。19日に発表された9月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は11カ月ぶりの高水準をつけた。現時点の販売や半年先までの販売見通し、潜在的な住宅購入者の動きを示す指数も上向きだった。

8月の住宅着工件数の内訳は、一戸建て住宅が6.0%減の72万2000戸で、昨年10月以来の低水準だった。一戸建ては許可件数が増えたため、来月は許可件数の持ち直しが見込まれる。中古住宅の在庫不足が一戸建ての市場を支えている。一戸建ての着工件数を地域別でみると北東部が13.8%減だった。南部も13.1%減った。西部と中西部は力強く伸びた。

変動が大きい集合住宅は5.4%減の42万戸だった。集合住宅は賃貸需要の強さに支えられ続けている。金融危機に伴う住宅市場の崩壊後、一部の人は住宅購入をためらっているからだ。家賃がピークに近づき、空室率が底打ちする中で、賃貸需要は勢いが落ちてくる可能性がある。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報⑥

英住宅大手バークレー・グループ・ホールディングス<BKGH.L>は2日、ロンドン南西部で進めていた高級集合住宅の建設を中止したと発表した。事業費は約2000万ポンド(約2700万ドル)。

理由は明らかにしていないが、英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う住宅市況の変調が背景にあるもよう。建設作業を中止したのは8月で、既に地下と地上階部分はほぼ完成しているという。

ロイターの取材に答えたアナリストは、市況が良くなるまで建設開始を先送りするのはよくある話だが、建設途中で計画をストップするのはまれだ、と指摘している。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報⑤

中国・上海市は値上がりが目立つ不動産市場の沈静化に向けた新たな融資制限を検討していない。同市政府の住建委員会が29日明らかにした。
.

上海市当局はマイクロブログに掲載した声明で、上海不動産市場の「健全かつ安定した発展を確保する」ため、3月25日に発表した貸し出し制限を今後も続けると表明。住建委は住宅購入向け融資を制限する新たな政策をめぐる最近の「うわさ」に対して声明を出した。
.

上海市が不動産価格の上昇に対応するため、住宅ローンや不動産開発業者への融資に制約を設ける可能性など、新たな抑制策を議論する準備を進めつつあると事情に詳しい複数の関係者が先週話していた。
.

事情に詳しい関係者が先週語ったところによると、北京と天津両市も新たな値上がり抑制策を検討している。両市は上昇を抑える措置を検討していることを否定する声明を出していない。

株式会社Z-ONE

依田一義の海外不動産情報④

米ゴールドマン・サックス・グループは、スウェーデンの年金運用機関アレクタによる米不動産入札でいったんは落札したものの、条件が折り合わず取引は白紙に戻り、ブラックストーン・グループが18億ドル(約1850億円)規模の同取引で最終的に勝者となった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
.

ゴールドマンは当初、アレクタが売却する米国と英国の不動産を落札し、同資産に関する追加調査のための短い時間を与えられた。しかし約1週間の間に意見の食い違いが生じ、アレクタは米不動産をゴールドマンではなく、ブラックストーンに売却することに合意したという。取引に関する情報は部外秘だとして関係者らは匿名を条件に話した。
.

ただ、アレクタの英国不動産については、ゴールドマンが購入を進めると関係者は語った。英不動産の評価は約4億5000万ドルだという。
.

ゴールドマンとアレクタ、ブラックストーンはコメントを控えた。この取引を仲介したジョーンズ・ラング・ラサールもコメントしなかった。
.

米国の不動産ポートフォリオは全米で22の物件が含まれており、小売り関係のビルやオフィスビルが中心。アレクタは4月に物件売却のためジョーンズ・ラングを起用していた。

株式会社Z-ONE