依田一義の不動産情報160

工務店のリヴ(京都府向日市)が全国でも珍しい木造高層ビルの建設事業に力を入れている。今月上旬に阪急洛西口駅前(同市)に完成した本社ビルを皮切りに、さらに3棟を京都府内で計画する。政府は2020年の東京五輪を機に、国産木材の利用を促進する方針を掲げており、先進例として注目される。
完成した本社ビルは5階建て、延べ床面積約千平方メートル。シェアオフィスや子育て支援スペースなどもある。1階は鉄筋コンクリート造り、2~5階は木造の2×4(ツーバイフォー)工法で建設した。木材は石こうボードでくるみ、耐火性を向上させた。
総工費は約2億円。同社は工務店のため大工職人を活用し、さらに自社設計や住宅用資材を導入したことで経費を大幅に削減した。1坪当たりのコストは鉄筋コンクリートより20万円ほど安い76万円で済んだという。
今後も木造の大型施設の受注建設に注力する方針で、京都市下京区で商業用ビル、伏見区で介護施設、長岡京市でホテルの計画があるという。
同社は「工務店のノウハウを生かし、ゼネコンとも競合せず、建設できた。林業振興にもつながるため、年2~3棟のペースで建設したい」と意気込む。
政府も東京五輪の関連施設整備で、積極的に国産木材を活用する方針。今後は木造施設の規制緩和や整備が進むと見られているが、京都府内では木材の供給面で課題もある。同社は「本社ビルは全て府内産材で建設する予定だったが、一部は他県産に頼らざるを得なかった」と京都産木材の流通の少なさを指摘する。
府は増量に向けて大型木材加工場の整備を掲げるが、実現していない。同社は「京都の木を地産地消できるのが望ましく、早く供給体制を整えてほしい」と求めている。

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