依田一義の海外不動産情報23

ロンドン中心部の一等地の地価が9月末までの1年間に10.3%下落した。増税と欧州連合(EU)離脱選択で高級住宅が値下がりしたことが響き、少なくとも5年で最大の下落率となった。
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土地購入と建設費用の融資を銀行が渋っていることも地価下落を悪化させていると、仲介業者のナイト・フランクが16日のリポートで指摘した。開発業者も将来の住宅価格下落に備えて利幅を厚くしておく必要があるため、用地取得に高額を支払いたがらないとも分析した。
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ナイト・フランクの住宅開発共同責任者、ジャスティン・ゲーズ氏は電子メールで「建設業者は今の政治的な不透明感で背負うリスクが高まっているため、利幅を大きくしようとしている」と説明した。ロンドン中心部以外での「新しい住宅の需要は強い」という。

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依田一義の海外不動産情報⑨

英不動産業者サヴィルズ<SVS.L>は、ロンドン中心部の高級住宅地の住宅価格は今年9%下落し、2019年までは上昇は見込めないとの見方を示した。買い意欲は不動産税増税で既に冷え込んでいたが、英国の欧州連合(EU)離脱交渉を見極めたいと様子見ムードが広がっている。

サヴィルズによると、ナイツブリッジ、ベルグレイヴィア、メイフェアなどに代表されるロンドン中心部の高級住宅地の住宅価格は、ここ2年にわたって下落が続いている。高額不動産や、賃貸目的の物件、2戸目の住宅を対象に、不動産税が増税となったことが影響している。

さらにEU離脱が決まったことで、不動産を買い控える動きや、一段の値下がりを待つムードが広がり、需要が一層低迷しているという。

サヴィルズは、来年にも始まる英国のEU離脱交渉が一定の結論に達するまでの間は、価格上昇は見込まれないと指摘。2019年に価格が上昇するとすれば、上昇率は8%と予想。ただし、需要が上向くかどうかは、今後の税制や英EU離脱交渉の結果によるとの見方を示した。

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