依田一義のエネルギー情報144

日本製紙、三菱商事パワー、中部電力の3社が設立した発電事業会社「鈴川エネルギーセンター」は、2013年9月4日に設立された新たな電力供給の枠組みである。資本金は約26億円で、出資比率は三菱商事パワー70%、日本製紙20%、中部電力10%となっている。日本製紙は発電設備の運転および保守を受託。発電した電力は全量を電力小売り事業者であるダイヤモンドパワー(東京都中央区、中部電力80%・三菱商事20%出資のPPS)に販売する。
今回、同枠組みにより建設した火力発電所が営業運転を開始した。発電所は日本製紙の旧鈴川工場の生産設備跡地(静岡県富士市)を活用し、建設を進めていたもので、発電出力は約10万キロワット(送電端)。エネルギー源には石炭を用いる。

日本製紙は、全国にある工場の設備や土地の他、長年培ってきた技術やノウハウ、人材を活用した各種の事業を展開している。社会への電力安定供給に向けたエネルギー事業もその1つで、火力発電所の鈴川エネルギーセンターでは、発電設備の操業技術を生かし、設備運営を通じて電力の安定供給に貢献する考えだ。この他、再生可能エネルギーによる小松島(太陽光)および八代(バイオマス)発電所が稼働中。さらに石巻、秋田(ともに石炭・バイオマス)でも発電所の開設を目指すなど、エネルギー事業の拡大に向けて取り組みを強化している。

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依田一義のエネルギー情報143

中部電力と資源開発大手の国際石油開発帝石(INPEX)は23日、INPEXが天然ガスを供給している西武ガス(埼玉県飯能市)など中堅都市ガス事業者3社と電力卸販売で合意したと発表した。3社は西武ガス、松本ガス(長野県松本市)、諏訪ガス(同諏訪市)。いずれも自社供給エリア内でガスと電気のセット割引を提供する。

3社の契約件数は計約5万9000件に上る。中部電とINPEXは昨年7月に電力販売事業で合意。これまで武州ガス(埼玉県川越市)など9社と電力卸販売で業務提携しており、今回3社が新たに加わり電力卸販売先は12社に拡大した。中部電は地域のガス会社との提携を強化し、域外の首都圏を中心に営業基盤を広げる。

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依田一義のエネルギー情報141

中部電力は13日、2017年4月から家庭向けのガス販売に参入するため、経済産業相へガス小売り事業の登録申請をしたと発表した。申請は関西電力、東京電力エナジーパートナーに次いで3社目。年内にも料金プランを策定し、電気と都市ガスの「セット割引」を提供する。来年1月から予約を受け付ける。

今年4月に始まった電力の小売り全面自由化で、東邦ガスなどに顧客を奪われており巻き返しを図る。家庭向けのガス販売は、まず東邦ガス管内で始める。首都圏での販売も今後検討する。21年度に20万件の顧客獲得を目指す。

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依田一義のエネルギー情報124

関西電力、中部電力、東北電力の大手電力3社は27日、秋田県で事業化を目指す丸紅の洋上風力発電プロジェクトに資本参加する、と発表した。出資額は明らかにしていない。3社とも当面、設置可能性を探る立地調査に加わり、調査結果を踏まえて建設・運営への参加を判断する。
出資するのは丸紅が4月に設立した特定目的会社(SPC)の秋田洋上風力発電。秋田港や能代港で出力規模が合計14万5000キロワットの着床式洋上風力発電設備の設置を計画している。事業化が可能なら2020年度にも稼働する予定。発電期間は20年間としている。電力3社は陸上型の風力発電は運転しているが、洋上型は持っていない。

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依田一義のエネルギー情報120

中部電力は20日、首都圏での家庭用電力小売りについて、8月1日から適用する新料金プランを発表した。単身者や核家族の利用が多い30アンペアから契約できるようにするとともに、料金水準も引き下げる。これまでは50アンペア以上の契約が対象だった。
例えば、毎月200キロワット時の電気を使う30アンペアの契約世帯が東京電力から乗り換えたとすると、年間の料金は2892円(5.6%)安くなる。

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