依田一義の経済情報70

内閣府が14日発表した2016年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増と、3四半期連続のプラス成長だった。

今後1年間この成長ペースが続くと仮定した年率換算では2.2%増で、15年1~3月期(5.0%増)以来の高い伸びとなった。

物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.2%増、年率0.8%増だった。

実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度は内需がプラス0.1%、外需がプラス0.5%。台風の影響などで個人消費が小幅な伸びにとどまる一方、輸出はアジア向けを中心に好調に推移し、外需主導の成長となった。

石原伸晃経済財政担当相は談話で、「経済の現状は、このところ弱さも見られるが、雇用・所得環境の改善が続いており、緩やかな回復基調が続いている」と指摘。先行きに関しては「経済対策などの効果もあって、緩やかな回復に向かう」との見方を示した。

実質GDPを需要項目別に見ると、GDPの約6割を占める個人消費は前期比0.1%増と、3期連続のプラスながら伸びは小幅にとどまった。新機種投入のあったスマートフォン需要が好調だった半面、台風の相次ぐ上陸など天候不順が響き飲料、ガソリンは低迷した。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報35

中国国家統計局は19日、今年7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値が、物価変動を除いた実質で前年同期比6・7%増となったと発表した。

成長率は今年1~3月期(6・7%増)から3期続けて同じ水準だった。横ばいにとどまったのは、インフラ(社会基盤)投資など公共部門に負うところが大きいが、輸出の不振など力強さに欠ける面も多かった。

成長率は、政府が今年の目標とする「6・5~7・0%」の範囲に、3四半期続けて収まった。

都市部の公共工事や企業の設備投資を示す1~9月期の「固定資産投資」は8・2%増と、1~6月期(9・0%増)を下回ったものの、公共投資が堅調で伸び率は高水準を維持した。国営企業の投資は21・1%増だったが、民間企業は2・5%増にとどまった。マンション建設など1~9月期の「不動産開発投資」は5・8%増と、1~6月期(6・1%増)から低下した。

1~9月期の鉱工業生産は6・0%増と、1~6月期(6・0%増)から横ばいだった。政府が鉄鋼や石炭の過剰生産設備の解消を進めていることが影響した。

株式会社Z-ONE