依田一義の国際情勢情報34

米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏が国務長官在任中の公務に私用のメールサーバーを使っていた問題をめぐり、連邦捜査局(FBI)が新たに調査しているメールは、10月初めに見つかっていたことが分かった。司法省は数千に及ぶこれらのメールを保存しているとみられるコンピューターについて、すでに捜査令状を取得しているという。

新たなメールは、クリントン氏の側近フーマ・アベディン氏の元夫が未成年者に性的なメッセージを送ったとされる事件の捜査で、当局が調べていた元夫のコンピューターから見つかった。

FBIのコミー長官は今年7月、クリントン氏の私用メール問題に関する捜査を打ち切ると発表していたが、大統領選が終盤戦に入った10月28日になって、新たなメールを調べていると議会に通知。選挙戦の行方を左右しかねない展開として注目を集めている。

複数の捜査当局者らの話から31日までに明らかになったところによると、捜査当局は10月初め、アベディン氏の元夫が所有する複数のコンピューターを押収した。このうち1台に保存されているメールのリストアップ作業を始めた直後、データの中にアベディン氏のメールが交じっていることが判明。当局者らは急きょ、これらのメールについても改めて捜査令状を取った。

コミー長官は10月半ばの時点で、クリントン氏の私用メール問題に影響を及ぼすメールが見つかった可能性があるとの報告を受けていた。当局者らによれば、司法省幹部らが状況説明を受けたのは約1週間前。コミー長官は27日に詳細な説明を聞き、議会に報告することを決めたという。

捜査当局者らによると、クリントン氏関連のメールの一部はFBIが過去の捜査で入手していたメールの複製とみられるが、その数は不明。一方で、FBIがクリントン氏のメールサーバーを入手する前の段階で削除されたメールが含まれている可能性もあるという。

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依田一義の国際情勢情報32

米連邦捜査局(FBI)が米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題の再捜査を開始したと発表した後に実施された米世論調査では、同氏の支持率が若干低下し、最終盤の選挙戦は予断を許さない状況になりそうなことが示された。
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28日、「FBIは別件に絡み、以前の調査に関連すると思われる電子メールの存在を把握した」として、調査再開を明らかにしたコミーFBI長官の書簡が公表された。その前後に2回実施され30日に発表されたABC・ワシントンポスト調査によれば、クリントン氏支持者の7%も含め、投票を予定している有権者の約3分の1が今回の新たな電子メールの発覚により、クリントン氏に投票する可能性が低まったと回答した。
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同調査によると、投票予定者の支持率はクリントン氏が46%、共和党候補ドナルド・トランプ氏は45%。1週間前の同じ調査ではクリントン氏のリードが12ポイントあった。共和党支持者が徐々にトランプ氏支持へと傾いてきていることも差が縮まった一因。
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30日に公表された激戦州13州の投票予定者を対象にしたCBSトラッキング調査では、71%が考えを変えるつもりはないか、もしくは期日前投票を済ましたと回答した。
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激戦州の有権者の52%が新たに見つかった電子メールには「既に分かっている事実」しかないと予想すると回答したのに対し、48%が「クリントン氏の打撃になる新たな事実が明るみに出る」とみていると回答した。後者は大多数が共和党支持者だった。

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