依田一義の国際情勢情報32

米連邦捜査局(FBI)が米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題の再捜査を開始したと発表した後に実施された米世論調査では、同氏の支持率が若干低下し、最終盤の選挙戦は予断を許さない状況になりそうなことが示された。
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28日、「FBIは別件に絡み、以前の調査に関連すると思われる電子メールの存在を把握した」として、調査再開を明らかにしたコミーFBI長官の書簡が公表された。その前後に2回実施され30日に発表されたABC・ワシントンポスト調査によれば、クリントン氏支持者の7%も含め、投票を予定している有権者の約3分の1が今回の新たな電子メールの発覚により、クリントン氏に投票する可能性が低まったと回答した。
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同調査によると、投票予定者の支持率はクリントン氏が46%、共和党候補ドナルド・トランプ氏は45%。1週間前の同じ調査ではクリントン氏のリードが12ポイントあった。共和党支持者が徐々にトランプ氏支持へと傾いてきていることも差が縮まった一因。
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30日に公表された激戦州13州の投票予定者を対象にしたCBSトラッキング調査では、71%が考えを変えるつもりはないか、もしくは期日前投票を済ましたと回答した。
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激戦州の有権者の52%が新たに見つかった電子メールには「既に分かっている事実」しかないと予想すると回答したのに対し、48%が「クリントン氏の打撃になる新たな事実が明るみに出る」とみていると回答した。後者は大多数が共和党支持者だった。

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