依田一義の経済情報50

三越伊勢丹ホールディングス <3099.T>は28日、2017年3月期の連結営業利益予想を370億円(前年比11.8%増)から240億円(同27.5%減)に下方修正すると発表した。増益予想から一転して減益予想となる。訪日観光客による消費の減少や衣料品、高額品の売上げ低迷が続いている。

トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト11人の営業利益予測の平均値は310億円となっている。

連結売上高は1兆3600億円から1兆2500億円(同2.9%減)へと引き下げた。期初には、訪日客による免税売上高を前年並みの600億円程度と見込んでいたが、これを引き下げている。滝口一雄コーポレートコミュニケーション担当長は「前年のインバウンドの伸びが大きく、その反動が厳しく出ている」と述べた。

4―9月期の免税売上高を含む国内百貨店売上高は、計画を8%下回っているという。

同社は、4―6月期決算時には原則として通期見通しを見直さないことから据え置いていたが、通期見通しの下方修正は必至の状況だった。

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依田一義の不動産情報142

三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>は7日、傘下の三越伊勢丹が運営する三越千葉店(千葉市)と三越多摩センター店(東京都多摩市)を2017年3月20日で閉鎖すると発表した。

収益の改善が見込めない地方・郊外の不採算店を整理し、基幹店に投資を集中することで、国内百貨店事業の収益力を引き上げたい考え。

杉江俊彦専務執行役員は会見で、今後の閉鎖店舗の拡大について「可能性はなくはないが、今は検討していない」と述べた。店舗を閉鎖するかどうかについては、赤字・黒字だけでなく、今後の投資の必要性・回収可能性などを勘案して決めていくという。

ただ、Eコマースの拡大やライフスタイルの変化などもあり「百貨店は今までと同じ売り場作りでは難しい」とも話しており、地方・郊外店のあり方については、模索を続けることになる。

千葉店は1984年に開業。1991年度のピーク時には売上高が約500億円にまで拡大したものの、そごう千葉店など競合店との競争が激化。直近は売上高が126億円にまで落ち込み、5―6年は赤字が膨らんでいた。杉江専務は「千葉店の赤字は、他店とは比較できないほど圧倒的に多い」と説明した。

千葉店の周辺には、外商やギフトなどのニーズに対応するための小型サロンを開設する予定。

多摩センター店は2000年に開業。2007年度には70億円だった売上高は低下傾向が続き、今後も業績の低迷が続くことが想定されるという。

閉店による2017年3月期の連結業績に与える影響は軽微としている。

同社は、2016―18年度の3カ年で、基幹3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)に200―250億円を投資する方針を決めるなど、基幹店への集中投資を行っている。

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