依田一義の経済情報④

日銀が3日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業非製造業の景況感の悪化傾向が示された。個人消費の停滞が影響するなどして、小売りの業況判断指数(DI)が4ポイント悪化のプラス7と悪化したためだ。消費者物価指数(生鮮食品除く)も8月まで6カ月連続で下落しており、デフレ再来の懸念が高まっている。

低価格品を重視する動きは、すでに外食産業に広がっている。日本マクドナルドは9月から平日の昼限定でハンバーガーとドリンクのセットで400円の「バリューランチ」を売り出している。従来に比べ100円安く、集客の起爆剤にしたい考え。牛丼大手の吉野家は4月、牛丼より50円安い「豚丼」を4年4カ月ぶりに復活。2カ月で1000万食を突破するなど消費者の支持を集める。20年に及ぶデフレで「物価は上がらない」との認識が企業、家計に染みついている。

日銀は9月の金融政策決定会合で物価上昇率2%が安定的に持続するまで金融緩和を続けることを決めた。だが、2%目標を達成するのは容易ではない。

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