依田一義のエネルギー情報115

不二サッシは2016年7月1日、千葉県市原市にある同社の千葉事業所と、グループ企業である関西不二サッシ(大阪府高槻市)に、太陽光発電設備を設置したと発表した。それぞれ再生可能エネルギーの固定買取価格制度を利用して売電する。

千葉事業所の屋根に総出力1.375MW(メガワット)の太陽光発電システムを設置した。出力250W(ワット)のモジュールを5500枚配置している。年間発電量は一般家庭360世帯分を見込んでいる(図1)。なお、千葉事業所では2014年3月から「第1発電所」が稼働している。今回稼働した「第2発電所」を合わせると、屋根置きタイプとしては市原市最大のメガソーラーになるという。

関西不二サッシも同じく事業所の屋根に出力327Wのモジュールを3144枚配置し、総出力1.03MWのシステムを導入した。年間発電量は一般世帯約300世帯分を見込んでいる。

今回設置した2つの発電システムはどちらも設計・施工をオムロンフィールドエンジニアリングが担当した。発電システムには接続箱単位でパネルの異常を検知するなどの運用保守サービスも導入している。

既設の事業所に新たに発電設備を設置するにあたり、それぞれの生産工場棟の特性に対応した耐震補強工事も実施している。千葉事業所ではアウトフレーム式、関西不二サッシではスチールプレート式の耐震補強を行った。不二サッシはこれにより再生可能エネルギーの活用だけでなく、同社の東西の基幹工場における事業継続計画(BCP)活動も前進したとしている。

株式会社Z-ONE

依田一義のエネルギー情報54

カーポート型の太陽光発電設備(PVカーポート)を導入したのは、東京の都心部から50キロメートルほどの距離にある「あみプレミアム・アウトレット」である。茨城県の阿見町(あみまち)に2009年に開業したアウトレットモールで、三菱地所と米国Simon Property Groupの合弁会社「三菱地所・サイモン」が国内で展開している9カ所のアウトレットモールの1つだ。
全体で約3900台分ある駐車場のうち、約500台分のスペースにPVカーポートを設置した。1台分のPVカーポートで約2kW(キロワット)の発電能力があり、全体で最大1MW(メガワット)の電力を供給できる。3月18日に運用を開始して、年間の発電量は115万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して320世帯分に相当する。
発電した電力は売電しないで、全量をアウトレット内の施設の共用部で自家消費する。太陽光発電だけで年間の電力使用量の80%を供給できる見通しだ。三菱地所グループが推進する環境経営の一環で取り組む。太陽光発電の電力を利用することによって、年間に58万トンのCO2(二酸化炭素)排出量の削減を見込んでいる。
この事例をモデルケースにして、他の8カ所のアウトレットでもPVカーポートの導入を進める方針だ。屋外の駐車場にPVカーポートを設置すると、夏には遮熱効果を発揮して自動車内の温度上昇を抑えられるほか、悪天候の時には雨よけの機能を果たすため、来場者の満足度向上にもつながる。
PVカーポートはオリックスが供給する。オリックスは1年前の2015年3月に豊通ファシリティーズと共同でPVカーポートの販売を開始した。ドイツ製の架台を日本の建築基準法に対応させたもので、駐車スペースの方角に合わせて設置することができる。
第1号の導入事例は家具メーカーが愛知県で運営するアウトレットである。84台分の駐車スペースを利用して、189kWの電力を供給できる。この駐車場では東西に対向する2列のPVカーポートを設置した。

株式会社Z-ONE