依田一義の経済情報15

東京証券取引所が6日発表した投資家別株式売買状況で、1~9月に外国人投資家が日本株を6兆1870億円売り越したことが分かった。1~9月としては東証の統計で追跡できる1982年以降で最大の売越額。背景には、年初からの急激な円高で企業業績に下押し圧力がかかったことや、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に対する外国人の期待感の低下があるとみられる。

1~9月の売越額としてこれまで最大だったのは87年の4兆1047億円で、29年ぶりに記録を更新した。ただ、現在は当時と比べて外国人の売買代金の規模が15倍程度に拡大しているほか、日本株の売買に占める外国人のシェアも10%台から約7割に高まっているという違いはある。

市場では「日本株に対する外国人の関心が低下している」(大手証券)との見方が強まっている。

円相場は年初の水準から対ドルで一時20円超も円高となり、外需関連を中心に企業業績の下方修正懸念が高まった。昨年までの株高を支えていた外国人のアベノミクスへの期待感後退を挙げる向きも多い。

日本株相場では、大きく売り越した外国人に代わって、上場投資信託(ETF)の買い入れ規模を7月に拡大した日銀や、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的年金の存在感が増している。

株式会社Z-ONE

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