依田一義の国際情勢情報⑧

米国とロシアは12日、シリア内戦での長期的停戦の実現に向けた関係国による外相会合を、今週末に英国とスイスで開催すると発表した。

米露両国は先週、前回のシリア停戦合意が破綻したことを受け、停戦交渉を公式に停止。その後、シリア北部アレッポ(Aleppo)東部の反体制派掌握地域では、ロシア軍の空爆支援を受けた政府軍が大規模な攻勢を開始し、甚大な被害が出ていた。

米露の発表によると、新たな外相会合がスイス・ローザンヌ(Lausanne)で15日、英ロンドン(London)で16日に実施される。

ローザンヌの会合ではジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)露外相に加え、トルコと湾岸諸国の外相らが参加する見込み。ロンドンでは、ケリー長官が英仏独の外相との協議に臨むとみられる。

株式会社Z-ONE

依田一義の国際情勢情報③

事実上停戦が崩壊したシリア情勢をめぐり、ロシアの国営スプートニク通信は2日までに、外務省報道官の話として、米国がシリア政権に対して直接行動に出れば中東地域全体に大きな悪影響を及ぼすとの警告を発した。アサド大統領が追放されれば権力の空白が生じ、「あらゆるたぐいのテロリスト」がその空白を埋めると予想されるためだという。

シリアでは米国、ロシア主導の停戦合意が崩壊した9月22日以降、450人以上の死者が出ているとされ、過去5年間に及ぶ内戦の中でも最悪の事態に陥っている。

反体制派団体「アレッポ・メディア・センター(AMC)」の活動家によれば、ロシア軍の支援を受けるアサド政権軍が市場や病院、モスク(イスラム教礼拝所)など、人の集まる場所を狙って攻撃を仕掛けている。

米国のケリー国務長官は最近、シリア市民団体との会合で、米国の介入強化を求める声に共感を示したことが、CNNの入手した録音テープで明らかになった。

株式会社Z-ONE