依田一義の不動産情報166

不動産賃貸の長谷本社(京都市下京区)を中核とする長谷ビルディンググループは、京町家の空き家を活用したホテル事業に乗り出す。上京区油小路通下立売上ルの隣接した京町家の長屋2棟を取得して改修を進めており、12月1日に開業する。
ホテルは「京町家ホテル四季十楽(じゅうらく)」。築約100年の2階建ての長屋2棟を大規模に改修して、客室10室のほかフロントやサロンを整備する。全客室に2階があり延べ32~70平方メートル。総投資額は約9億円。従業員も常駐する。平均単価は1室当たり1泊約5万円。
長谷ビルグループはすでにホテル運営をしているが、京町家の滞在は国内外の観光客に人気が高く、空き家の有効活用にもなるため初めて計画した。
長谷本社の長谷拓治郎社長は「昔ながらの京都の町家暮らしを楽しみたいと望む、国内旅行客を取り込みたい」とし、2024年までに同様の形態の京町家ホテルを計5カ所に増やす方針を示した。
今回は、地域資源を生かした新規ビジネスを対象とし、返済条件を優遇する商工中金の「地域連携支援貸付制度」を京都府内で初めて活用した。商工中金が5億円、協調する京都銀行が4億円を融資した。

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依田一義の不動産情報143

国土交通省は7日、空き家や空き店舗の再生を推進するため、小規模な不動産業者の参入を認める方針を決めた。

出資を募り不動産の賃貸や売買をする場合の資本金要件を緩和する。地域事情に詳しい不動産事業者が関われるようにすることで再生事業の自由度を高めるのが狙い。次期通常国会に不動産特定共同事業法の改正案を提出する。

投資家から出資を募って不動産を賃貸または売買し、その収益を分配する「不動産特定共同事業」を行うには、国や都道府県の許可が必要となる。悪質な業者から投資家を保護するために設けた仕組みだが、現行では資本金1億円以上の法人(特定目的会社を設立する場合は5000万円以上)であることなどが要件となっており、地域の不動産業者にはハードルが高いのが実情だ。

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依田一義の不動産情報17

国土交通省は6日、全国の空き家のうち、耐震基準を満たす賃貸住宅や戸建て住宅を活用し、子育て世帯や高齢者らが割安な賃料で入居できるための制度設計に乗り出す方針を固めた。近く有識者会議を立ち上げる。整備が進まない公営住宅に代わる低所得者向け居住インフラの確保と、空き家の有効活用の一挙両得を狙う。
低所得世帯向けの住宅では、各自治体が民間アパートより割安な公営住宅を整備しているが、自治体の財政難もあって管理戸数は減少傾向にある。東京都内では応募倍率(平成25年度)が23・6倍まで跳ね上がっており、家計が厳しくても高い家賃の支払いを余儀なくされている世帯も多い。
制度は増加傾向にある民間アパートの空室などを、不足する公営住宅の補完役として活用する構想。耐震性やバリアフリー化などの一定基準を満たす物件を対象に、比較的低所得の子育て世帯や高齢者などの入居を公募し、同条件の物件より実質的に安い賃料で入居できるよう、行政の家賃補助を受けられる仕組みにする案が有力。
近く立ち上がる有識者会議では、行政が公募対象に位置づける物件の基準項目や、家賃補助をする場合の水準、物件所有者が制度参加しやすくなるための優遇措置などを検討する。ただ、対象物件を広げれば入居世帯が増える半面、民業圧迫の可能性もあるほか、又貸しなどの不当利用を促しかねないため、慎重に議論を進める方針だ。
28年度からの住生活基本計画案では、住宅確保が困難な世帯の居住安定確保に向けた新制度の必要性が明記されたほか、空き家の有効活用や撤去を推進。空き家数の増加ペースを10年間で100万戸抑える数値目標を掲げた。

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