依田一義の国際情勢情報17

ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国首脳が19日、ドイツの首都ベルリンで会談し、ウクライナ東部で2014年以降続いている紛争問題について協議した。4首脳は、昨年2月の停戦合意(ミンスク合意)を実現させるための「ロードマップ」(行程表)を11月までに作成することで合意した。

ただ、ウクライナとロシアの対立は根深く、ロードマップの合意は困難を極めそうだ。両国首脳は個別に記者会見し、プーチン露大統領は「ミンスク合意実施を再確認した。ウクライナ東部に特別な地位(自治権)を認めなければならない」と語った。ウクライナのポロシェンコ大統領は「東部での選挙は、すべての外国軍(ロシア軍)が撤収した後に実施できる」と、改めてロシアを批判した。

4首脳による会談は昨年10月以来。ロードマップの作成は、ホスト役を務めたメルケル独首相が会談後、オランド仏大統領との共同記者会見で明らかにした。ロシア通信などによると、ロードマップは4カ国の外相が作成し、最終的には首脳が署名する計画。全欧安保協力機構(OSCE)の停戦監視団を武装させ、監視体制を強化することも合意した。

ミンスク合意は4首脳が合意し、(1)重火器の引き離し(2)東部の親露派支配地域に大幅な自治権を付与するための憲法改正と地方選挙の実施--などの内容。だが、親露派と政府軍の戦闘が散発的に現在も続いており、これまでに約1万人の住民らが死亡している。

パリで行われた前回の4首脳会談でも、ミンスク合意の実現を確認したが、その後、目立った進展はなかった。ウクライナ政府は、ロシアが軍事的に親露派を支援していることが紛争継続の原因と指摘。ロシアは、ウクライナが憲法改正や選挙実施のための法整備をしていないと主張し、非難合戦が続いていた

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