依田一義の経済情報72

10月の米鉱工業生産統計では製造業生産を示す指数が前月比で上昇した。製造業の伸びは2カ月連続。前年同月比では4カ月連続マイナス。
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米連邦準備制度理事会(FRB)の16日発表によると、10月の製造業生産指数は前月比0.2%上昇、伸び率は前月と同じだった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.3%上昇だった。温暖な気候で公益事業部門の生産が落ち込み、全体の鉱工業生産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値)は10月に前月比変わらずとなった。
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4キャストのシニアエコノミスト、デービッド・スローン氏は「製造業が停滞していると懸念していたが、ある程度の成長を取り戻している。製造業の見通しは緩やかに改善されている」と述べた。
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前月の全体の鉱工業生産指数は前月比0.2%低下と、速報値の0.1%上昇から下方修正された。エコノミスト予想では10月は0.2%上昇が見込まれていた。
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公益事業生産は2.6%低下、前月は3%の落ち込みだった。鉱業は2.1%上昇と、2014年3月以来の大幅な伸び。石炭生産の拡大を反映した。石油・ガス掘削は9%上昇と、2010年1月以来で最大の伸びだった。
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鉱工業設備稼働率は75.3%と、前月の75.4%を下回った。
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製造業のうち自動車・同部品の生産は0.9%上昇。自動車・部品を除く製造業の生産は前月比で0.1%上昇(前月0.2%上昇)した。

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依田一義の経済情報70

内閣府が14日発表した2016年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増と、3四半期連続のプラス成長だった。

今後1年間この成長ペースが続くと仮定した年率換算では2.2%増で、15年1~3月期(5.0%増)以来の高い伸びとなった。

物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.2%増、年率0.8%増だった。

実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度は内需がプラス0.1%、外需がプラス0.5%。台風の影響などで個人消費が小幅な伸びにとどまる一方、輸出はアジア向けを中心に好調に推移し、外需主導の成長となった。

石原伸晃経済財政担当相は談話で、「経済の現状は、このところ弱さも見られるが、雇用・所得環境の改善が続いており、緩やかな回復基調が続いている」と指摘。先行きに関しては「経済対策などの効果もあって、緩やかな回復に向かう」との見方を示した。

実質GDPを需要項目別に見ると、GDPの約6割を占める個人消費は前期比0.1%増と、3期連続のプラスながら伸びは小幅にとどまった。新機種投入のあったスマートフォン需要が好調だった半面、台風の相次ぐ上陸など天候不順が響き飲料、ガソリンは低迷した。

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依田一義の経済情報69

中国人民元<CNY=CFXS>が10日、ドルに対して6年ぶり安値を更新した。ドルがオーバーナイトで全般的に上昇したことが背景。

人民元はドルに対して6.7980元で取引を始めた。この日の基準値は6.7885元に設定された

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依田一義の経済情報68

日本工作機械工業会が10日発表した10月工作機械受注額(速報値)は、前年比8.9%減の938億8600万円となった。前月比では8.7%減だった。

このうち、内需は前年比7.1%減(前月比9.2%減)の413億4400万円。外需は前年比10.3%減(同8.4%減)の525億4200万円だった。

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依田一義の経済情報67

内閣府が10日発表した9月の機械受注統計(季節調整値)によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額は前月比3.3%減の8437億円となり、2カ月連続で縮小した。

製造業、非製造業とも振るわなかった。基調判断は「持ち直しの動きに足踏みが見られる」とし、4カ月ぶりに下方修正した。

民需のうち製造業は5.0%減、非製造業は0.9%減と、それぞれ2カ月連続のマイナス。製造業では自動車や鉄鋼業が伸びたが、前月は好調だった食品製造業や造船業などの受注が落ち込んだ。非製造業は、情報サービス業や通信業などの需要の弱さが目立った。

官公需、外需などを加えた受注総額は0.9%増の2兆808億円。外需の拡大などにより3カ月ぶりに増加した。

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依田一義の経済情報66

中国税関総署が公表した10月の中国輸出(ドル建て)は前年同月比7.3%減、輸入は1.4%減でともに予想を下回った。最近の景気改善の持続性に疑問符が付く格好となった。

貿易収支は490億6000万ドルの黒字で、9月の419億9000万ドルから拡大した。予想は517億ドルの黒字だった。

1─10月の輸出は前年同期比7.7%減、輸入は7.5%減だった。

ロイターがまとめたアナリスト予想は、10月輸出が前年比6.0%減、輸入は1.0%減。

9月は輸出が10%減、輸入は1.9%減だった。

キャピタル・エコノミクスの中国担当アナリスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏は「中国経済は現在拡大期にあり、もう1、2四半期は輸入を支えるとみられる。だが、これまでの刺激策の効果が薄らぐため、景気拡大はそれほど長くは続かないだろう」と分析した。

商品(コモディティ)の輸入は減速し、10月の鉄鉱石輸入は2月以来の低水準を記録。銅の輸入は21カ月ぶり低水準となった。石炭輸入は9月から約12%減少した。

米国向け輸出は5.6%減少。9月は8.1%減だった。欧州連合(EU)向けは8.7%減となり、前月から若干改善した。

東南アジアからの輸入は18.4%増加、オーストラリアからの輸入も16.3%増加し、ここ数カ月の水準から大幅に改善した。

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依田一義の経済情報65

内閣府が9日発表した10月の景気ウオッチャー調査によると、3カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断指数(季節調整値)は前月比3.0ポイント上昇の49.3となり、4カ月連続で改善した。前月まで天候不順の影響で力強さを欠いていた小売りなどが伸びた。

指数は2015年12月以来の水準に回復。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きが見られる」から「持ち直している」に引き上げた。

景況感は、家計関連、企業関連、雇用関連のいずれも改善した。家計関連では「天候に恵まれて来客数が多く、生活雑貨、飲食店などは好影響を受けている」(東北の商店街)との報告が寄せられた。一方、「野菜の高騰などにより、客の節約志向が高まっている」(北海道のスーパー)と、消費の伸び悩みを懸念する声も上がった。

2~3カ月先の見通しを示す先行き判断指数は1.5ポイント上昇の51.4となり、好不況の分かれ目となる50を10カ月ぶりに上回った。

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依田一義の経済情報64

3日の外国為替市場で円が急伸。米大統領選挙の結果をめぐる不透明感が高まったことで安全と見なされる円が買われた。
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円はほぼ全面高となり、メキシコ・ペソは下落。コモンウェルス銀行とロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)によれば、クリントン財団が調査対象になっているとのFOXニュースの報道で不安に拍車が掛かった。
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ロンドン時間午前6時51分現在、円は0.6%高の1ドル=102円70銭。一時は10月4日以来の高値となる102円55銭を付けた。メキシコ・ペソは0.4%安の1ドル=19.4415ペソ。

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依田一義の経済情報63

内閣府が2日に発表した10月消費動向調査によると、消費者態度指数(2人以上の世帯・季節調整値)は、前月から0.7ポイント低下昇し42.3となった。3カ月ぶりの悪化となった。

内閣府は消費マインドは「持ち直しの動きが見られる」として、前月から据え置いた。

「暮らし向き」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」「収入の増え方」は、すべて悪化した。

1年後の物価見通しについては、「上昇する」との回答が1.0ポイント減少して73.8%と2カ月ぶりに減少した。

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依田一義の経済情報62

マークイットが発表した10月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は53.5と、速報値の53.3から上方改定され、2014年1月以来の高水準となった。

50が景気の拡大・悪化の分かれ目となる。物価上昇圧力が高まっていることも浮き彫りとなった。

9月は52.6だった。

内訳では、生産指数が54.6と、前月の53.8から上昇。2014年4月以来の高水準だった。

IHSマークイットのシニアエコノミスト、ロブ・ドブソン氏は「第4・四半期は好スタートを切った。特に、広範な分野で成長が加速していることがうかがえるのは喜ばしい」と述べた。

新規受注指数は2年半ぶりの高水準。

産出価格は16カ月ぶり高水準の50.8と、昨年8月以降初めて50を上回った。前月は49.9だった。

調査会社キャピタル・エコノミクスのスティーブン・ブラウン氏は「物価圧力がやや高まった。これがコアインフレの持続的な高まりに十分かどうかが問題だ。ECBも歓迎する数字だが、一段の緩和策を押しとどめるに十分ではないと考えている」と述べた。

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