依田一義の不動産情報142

三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>は7日、傘下の三越伊勢丹が運営する三越千葉店(千葉市)と三越多摩センター店(東京都多摩市)を2017年3月20日で閉鎖すると発表した。

収益の改善が見込めない地方・郊外の不採算店を整理し、基幹店に投資を集中することで、国内百貨店事業の収益力を引き上げたい考え。

杉江俊彦専務執行役員は会見で、今後の閉鎖店舗の拡大について「可能性はなくはないが、今は検討していない」と述べた。店舗を閉鎖するかどうかについては、赤字・黒字だけでなく、今後の投資の必要性・回収可能性などを勘案して決めていくという。

ただ、Eコマースの拡大やライフスタイルの変化などもあり「百貨店は今までと同じ売り場作りでは難しい」とも話しており、地方・郊外店のあり方については、模索を続けることになる。

千葉店は1984年に開業。1991年度のピーク時には売上高が約500億円にまで拡大したものの、そごう千葉店など競合店との競争が激化。直近は売上高が126億円にまで落ち込み、5―6年は赤字が膨らんでいた。杉江専務は「千葉店の赤字は、他店とは比較できないほど圧倒的に多い」と説明した。

千葉店の周辺には、外商やギフトなどのニーズに対応するための小型サロンを開設する予定。

多摩センター店は2000年に開業。2007年度には70億円だった売上高は低下傾向が続き、今後も業績の低迷が続くことが想定されるという。

閉店による2017年3月期の連結業績に与える影響は軽微としている。

同社は、2016―18年度の3カ年で、基幹3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)に200―250億円を投資する方針を決めるなど、基幹店への集中投資を行っている。

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依田一義の不動産情報141

外国人に人気の賃貸物件の特徴とは?

2016年はリオオリンピック、4年後の2020年はいよいよ東京オリンピックです。

2020年に開催予定の東京オリンピックに向けて、政府は訪日外国人を4,000万人、インバウンド消費額を 8兆円まで増やすことを新たな目標に掲げました。また、そのための建設ラッシュを見据え、外国人労働者を受け入れる方向で定住や永住を勧めているほか、看護や介護などの分野でも外国人労働力を必要としています。

今後ますます増加が見込まれる外国人労働者ですが、保証人や敷金などの問題もあって外国人が住みたいと思える物件が非常に少ないというのが実情です。そこで今回は、「外国人に人気の物件」の特徴について考えてみたいと思います。

■人気物件1 保証人や敷金・礼金などが不要な物件

日本の賃貸契約では、敷金、礼金、更新料などを不動産会社に支払う必要があります。ところで日本以外の国々では、どのような仕組みになっているのでしょうか。調べてみると、日本の「敷金」にあたる制度は、欧米諸国などでもごく一般的に存在していました。アメリカでは「security deposit(セキュリティ・デポジット)」という名前で広く知られています。セキュリティ・デポジットは部屋を破損したり、家賃を滞納したりした場合などの支払いに使用され、退去時に残金は返却されます。

一方で、「更新料」は世界的に見ても日本独自のシステムでした。また、「礼金」が制度化している国はほとんど見当たりませんでした。外国人専門の賃貸不動産物件情報サイトでは、礼金のことを「Key money」と表現して、「鍵と引き換えに払う権利金」という説明になっています。

連帯保証人が必要な点も、外国人が部屋を借りづらい理由の一つでしょう。最近は日本でも「敷金・礼金なし」「保証人不要」の物件が見られるようになりましたが、そういったケースはまだ珍しく、入居時の初期費用を抑えたい外国人にとって、こうしたシステムが大きな足かせになっています。

礼金や仲介手数料などがかからず保証人も必要がない部屋は、外国人にも理解しやすく需要が高いでしょう。

■人気物件2 家具・家電付きの部屋

家具・家電付きの部屋も、外国人の人気が高いポイントです。生活に必要な家具・家電を備えた物件は、入居したその日からすぐに生活できます。退居時に不要になった家具や家電の処理費や運搬費も抑えられる点が評価されているようです。実際、外国人向けの賃貸情報サイトでは必ずと言っていいほど「家具・家電付き」が検索条件に入っています。

これに加えて、水道・光熱費込み、ネット環境も整備されていれば、一層引き合いが高まると考えられます。

例えば、空室が続く古びた和室であっても、家具を和モダン風に統一して畳や襖を新しいものに変えると、外国人には珍しい茶室のような和室に変身します。日本人なら避けてしまうような古い物件も、日本文化が味わえる貴重な物件として価値を見出してくれるかもしれません。訪日外国人がわざわざ高いお金を出して温泉宿に泊まり、和風バックパッカーズホテルが人気なのは、「日本文化を味わいたい」という欲求が少なからずあるからでしょう。古物件がもつ「味わい」を生かした低予算のリノベーションは、空室を満室に変える可能性を秘めています。

■人気物件3 首都圏の10万円以内の物件

入居時の初期費用と同じぐらい重要視されるのが、毎月の家賃です。

一般賃貸の場合、首都圏で築10年以内、6万円以下の物件は人気が高く、周辺環境においても、最寄り駅から10分以内で病院やコンビニ、スーパーが揃っている物件は、特に需要が高いとされています。留学生を受け入れている、大学や専門学校の近くにある物件も、人気が見込まれます。この傾向は日本の顧客と何ら変わりありません。

■繁華街やデザイナーズマンション、ルームシェアも人気

都内在住の外国人が住みたい街に挙がってくるのは「新宿」「渋谷」「秋葉原」「六本木」「浅草」など、人が多く、24時間営業の店があり、繁華街がある街が注目されています。一般的に日本人の場合、住まい選びの際に「喧噪」を嫌う傾向があるようですが、海外では24時間営業の店や繁華街がある方が、治安が良いとみなされるようです。

このほか、建築家の設計した個性的な部屋が魅力のデザイナーズマンション、眺望良好の高級ホテルをイメージさせるコンシェルジュ・トレーニングジム・プール付きタワーマンション、庭付き・駐車場付きの一戸建て、ルームシェアに対応した物件などにも人気が集まります。各国大使館やインターナショナルスクールが点在する麻布・広尾には、外資系企業駐在員などを借主とする外国人向け高級物件が多数あります。

■外国人専門の保証サービスを活用してリスク回避

上述の「人気物件の特徴」の一つに「保証人不要」を挙げましたが、実際のところオーナーの立場からすれば、保証人不要というのはかなりのリスクを伴った問題です。保証人の問題だけでなく、外国人に物件を貸すとなると「言葉が通じない入居者に、どう対応したらいいのか」 「家賃を滞納された場合は?」 「与信管理が難しい」「騒音問題など周辺に迷惑をかけたりしないか?」など、次から次へと不安が出てくるのではないでしょうか。

しかし最近は、そのような不安を解決してくれる、外国人入居者専門の保証機関も存在しています。こうしたサービスをフル活用することで、上記のようなリスクはかなり軽減できるようになりました。

今回は、訪日外国人に人気の賃貸物件の特徴について紹介しました。

日本は、18歳人口が2018年に100万人を切ると言われています。賃貸住宅のメインターゲットとなっている大学生や、都市部の若年層人口が減ってしまえば、供給過剰による空室率の上昇、家賃相場の下落が起こるかもしれません。

せっかく投資した物件を、万年空室の「負の資産」とさせないためにも、外国人を意識した賃貸経営を検討してみてはいかがでしょうか。

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依田一義の海外不動産情報⑥

英住宅大手バークレー・グループ・ホールディングス<BKGH.L>は2日、ロンドン南西部で進めていた高級集合住宅の建設を中止したと発表した。事業費は約2000万ポンド(約2700万ドル)。

理由は明らかにしていないが、英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う住宅市況の変調が背景にあるもよう。建設作業を中止したのは8月で、既に地下と地上階部分はほぼ完成しているという。

ロイターの取材に答えたアナリストは、市況が良くなるまで建設開始を先送りするのはよくある話だが、建設途中で計画をストップするのはまれだ、と指摘している。

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依田一義の不動産開発情報76

JR東日本は9月6日、田町駅と品川駅の間に新設する「品川新駅」(仮称)の概要を公表した。山手線と京浜東北線の駅として、2020年春の暫定開業、24年の本開業を目指す。
田町駅から約1.3キロ、品川駅から約0.9キロ付近の品川車両基地跡地内に新設する。ホーム形態は、山手線と京浜東北線の線路別島式2面4線。
駅は地上3階(高さ約30メートル)・地下1階、総床面積は約7600平方メートル。デザインは建築家の隈研吾氏が手がけ、2014年から作業に着手。日本の折り紙をモチーフとした大屋根に、障子をイメージした膜や木などの素材を活用、日本の「和」を感じさせる駅にするという。
駅の東西には大きなガラス面を、またコンコース会には約1000平方メートルの大きな吹き抜けを設け、街との一体的な空間を創出。改札内には約300平方メートルのスペースを設け、さまざまなイベントを行う。
「グローバルゲートウェイ品川」を目指す品川開発プロジェクトの一環。「世界中から先進的な企業と人材が集い、多様な交流から新たなビジネス・文化が生まれるまちづくり」を目指し、国際交流拠点となる新しい街の中核施設として新駅を位置付ける。

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依田一義の不動産情報140

JR京都駅周辺でホテルの大規模改装や新・増築が活発化している。改装はほぼ一巡し、多くのホテルが京都らしいデザインを採用するなどして競争力を強化。宿泊特化型ホテルの新・増築計画も相次いでおり、京都の玄関口で宿泊客の獲得競争が過熱しそうだ。
リーガロイヤルホテル京都(京都市下京区)は、2月から休業して行ってきた大規模改装が終わり、6日に公開した。京都の風情と現代的デザインをテーマに、竹林を表現した装飾などを内外装に導入した。客室はシングルルーム20室を廃して全室2人以上宿泊できるようにし、7室増の489室となった。8日に開業する。中村雅昭総支配人は「外国人の宿泊を伸ばし、客室単価の引き上げを目指す」と集客への自信を語った。
京都駅周辺ではここ数年、開業後30~40年以上たったホテルの大規模改装が集中している。2020年の東京五輪を見据え、客室や宴会場、設備をリニューアルしている。
京都新阪急ホテル(下京区)は畳の客室を新設し、新・都ホテル(南区)は約24億円を投じてロビーやレストランなどを改修。京都センチュリーホテル(下京区)は環境と健康を前面に3年間で全219室を改装。ホテル京阪京都(南区)は客室を1割増の320室に拡充した。ホテルグランヴィア京都(下京区)も開業20年を迎える17年度に全館改装に着手する予定。
ホテルの新・増築計画も多く、6日にはアパグループ(東京)が京都駅北側に新築する「アパホテル」の起工式を現地で開いた。市内で5棟目で、レストランを備えた計105室を整備する。出席した元谷一志社長は「関西国際空港への格安航空の就航などで外国人観光客はまだまだ伸びる」と述べ、京都でのさらなる展開に意欲を示した。
駅南側の宿泊特化型ホテル、エルイン京都(南区)も来年秋をめどに敷地内で76室の新棟を増築する。既存の512室は大半がシングルルームだが、新棟は全室でツインを導入。昨年に京都市が行った容積率緩和で建築が可能になった。既存の客室も営業を続けながら今年末から18年1月までに順次改装するという。
市が宿泊施設の増加を要望していることもあって、京都駅周辺ではほかにもホテルの新築計画があり、価格やサービス競争は今後も続きそうだ。

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依田一義の不動産情報139

銀行や信用金庫の不動産向け融資が急増している。日銀によると、今年4~6月期の新規貸出額は前年同期比22.0%増の3兆1271億円に達し、バブル期の1989年に記録した4~6月期のピーク(2兆7679億円)を27年ぶりに更新した。日銀が今年2月にマイナス金利政策を導入したことで、運用難に陥った資金が不動産市場に流入しているためだ。

新規貸出額は都市銀行や地方銀行など145行と、265信用金庫の合算。不動産向けは年度末にかけて膨らむ傾向があり、今年1~3月期は15.7%増の4兆4113億円と、全四半期を通じて過去最高となった。4~6月期は1~3月期に比べて総額は減ったが、伸び率では上回り、増加ペースは加速している。

みずほ証券の石沢卓志上級研究員は「マイナス金利政策の影響で借入金利が低下し、不動産関連企業が資金を調達しやすくなった」と指摘する。融資案件では、東京五輪・パラリンピックを控えた首都圏の再開発や、不動産投資信託(REIT)向けが増加。賃貸住宅を建てた土地は相続税の評価額が下がるため、節税目的の個人向けアパート融資も伸びた。

バブル期には、不動産向け融資の拡大が地価高騰を招いた。その後のバブル崩壊で融資が不良債権化し、金融システム不安につながった。

日銀は「今のところバブル的な状況ではない」(幹部)との立場を崩していない。ただ、大都市の一部では不動産価格の上昇傾向が強まっており、石沢氏は「今年後半には局所的にミニバブルが発生する可能性がある」と注意喚起する。

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依田一義の不動産情報138

東京カンテイは8月31日、7月の中古マンション価格天気図(70平方メートル換算、売り希望価格)をまとめた。
7月は地方圏の下落が目立ち、特に東北、四国、九州地方では下落県が多くなっている。
価格が上昇傾向にあることを示す「晴れ」は13地域と、前月から1地域減少したが、依然7カ月連続で最多を記録している。一方で、やや下落傾向にあることを示す「小雨」が7地域から11地域に増加し、徐々に「天候悪化」のトレンドへと変化していることが分かる。
天候が悪化した地域は6月の12から14地域に増加。47都道府県のうち前月比で価格が下落した地域も20から24に増加した。

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依田一義の不動産情報137

パルコは31日、大津市の「大津パルコ」の営業を2017年8月末で終了すると発表した。

土地と建物は今年10月末で大阪市の不動産会社に売却し、営業終了後は新たな商業施設になる見通しだ。大津パルコは1996年11月に若者向けファッション中心の商業ビルとして開業し、ピーク時の99年2月期には約105億円の売上高があった。近年は周辺にショッピングモールなどが進出して競争が激化。カジュアル衣料や生活雑貨などを主体に立て直しを図ったが、2016年2月期の売上高は約36億円に落ち込んでいた。

パルコは「千葉パルコ」(千葉市)の閉店を決めるなど、不振店の整理を進めている。

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依田一義の不動産開発情報75

家電量販のヨドバシカメラは31日、JR大阪駅前に複合ビル「ヨドバシ梅田タワー(仮称)」を建てると発表した。大阪市内では最大規模となる約1千室のホテルや小売店などが入り、2019年秋の完成を予定。大阪駅前に新たなにぎわいが生まれそうだ。
新ビルは地下4階地上34階建てで、延べ床面積は10万5千平方メートル。建設地はヨドバシがJR大阪駅前に所有するビル「ヨドバシ梅田」(地下2階地上13階)の隣で、二つのビルは2階と地下1階でつながる。

ホテルは9階から34階に入る。大阪市によると、市内のホテルで客室数が最も多いのがリーガロイヤルホテルの984室。新ホテルは市内で最大規模となる。ホテル運営を委託する専門事業者は未定という。他には、地下1階から地上8階に小売店や飲食店などのテナントが入る予定だ。

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依田一義のエネルギー情報136

太平洋に面した仙台港の近くに、宮城県が運営する「仙塩(せんしお)浄化センター」がある。1978年に稼働した県内で最大の処理能力がある浄化センターで、1日に20万立方メートルにのぼる下水を処理している。

大量の下水を処理する工程で生まれるバイオガス(消化ガス)はセンター内の施設で燃料に利用しても余るため、従来は焼却してきた。この余剰バイオガスを使って新たに発電事業を開始する計画だ。公募で選ばれた新潟県の大原鉄工所がバイオガス発電設備を建設・運営する。大原鉄工所は新潟市の浄化センターなどにバイオガス発電設備を導入した実績がある。

仙塩浄化センターでは1台あたり50kW(キロワット)の発電能力がある発電機7台を導入する。合計で350kWになり、年間の発電量は144万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間300kWh)に換算して400世帯分に相当する。2016年11月から設計・建設に着手して、2018年度内に運転を開始する予定だ。

発電した電力は固定価格買取制度を通じて売電する。バイオガス(メタン発酵ガス)による電力の買取価格は1kWhあたり39円(税抜き)に設定されていて、年間に5600万円の売電収入を得られる見通しだ。買取期間の20年間の累計では11億円を超える。

このうち宮城県はバイオガスを発電事業者に提供して約2億円の収入を想定している。従来は単に焼やして処分していたバイオガスが再生可能エネルギーに生まれ変わり、自治体に新たな収入をもたらしてくれる。

下水バイオガスから水素を製造する試みも

仙塩浄化センターには仙台市をはじめ、周辺の市と町を含めて6つの自治体から下水が送られてくる。下水は水と汚泥に分けたうえで、水は塩素で殺菌して海や川に放流する一方、汚泥は発酵させて容量を減らしてから焼却する方法が一般的だ。この過程で発酵に伴って大量のバイオガスが発生する。

仙塩浄化センターでは年間に245万立方メートルのバイオガスが発生する。そのうち7割を汚泥の焼却炉などの燃料に利用している。余った3割(約80万立方メートル)のバイオガスを発電用に供給する計画だ。

宮城県は県内7カ所で浄化センターを運営している。バイオガス発電を実施するのは仙塩浄化センターが初めてで、今後は他の浄化センターにも広げていく可能性がある。その一方でバイオガスから水素を製造することにも取り組んでいく。

国土交通省が推進する下水の汚泥から水素を製造する実証プロジェクトの一環で、7カ所の浄化センターを対象に実現可能性を調査する。燃料電池を利用した発電事業や水素ステーションを併設して燃料電池自動車に水素を供給する事業の採算性についても検証する予定だ。

すでに福岡市の「中部水処理センター」では国土交通省の実証プロジェクトの第1号として、下水バイオガスから水素を製造して燃料電池自動車に供給する設備が2015年11月に稼働している。生物由来のバイオガスから作った水素は製造段階と利用段階を通して二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンなエネルギーになる

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