依田一義のエネルギー情報123

長崎県の西側に連なる五島列島は海洋再生可能エネルギーの宝庫で、3カ所の海域が国の実証フィールドに選ばれている。そのうちの1つ、久賀島(ひさかじま)の沖合で潮流発電の実用化プロジェクトが動き出す。九州電力グループの九電みらいエナジーを中心とするコンソーシアムが事業者になって2019年に実証運転を開始する予定だ。

潮流発電を実施する海域は久賀島と奈留島(なるしま)のあいだにある「奈留瀬戸」で、約2キロメートルの幅の海峡に強い潮流が発生する。奈留瀬戸の海底に商用レベルの潮流発電機を設置して実用化を目指す。1基で2MW(メガワット)の発電能力がある世界最大級の潮流発電機を設置する計画だ

潮流発電機はアイルランドのOpenHydro(オープンハイドロ)社が開発した「Open-Centre Turbine」を採用する。円筒形のタービンの中央が空間になっていて、その周囲を10枚以上の羽根(ローター)が回転して発電する仕組みだ。すでに欧米の7つの海域で導入実績がある。

実際に海底に設置する場合には基礎構造物の上にタービンを搭載する。タービンの直径は16メートルもあり、全体の重量は1200トンにのぼる。巨大なタービンが潮流を受けながら、1分間に10~16回転して電力を作ることができる。

奈留瀬戸のプロジェクトでは2016~2018年度の3年間かけて発電機の設計・製作と設置工事の準備を進めていく。2019年度に入ってから発電機を海底に設置して実証運転を開始する。実証運転は2019年度内に終了して、発電機を回収したうえで性能や耐久性を検証することになる。

1基で2000世帯分の電力に

潮流は潮の満ち引きによって約6時間ごとに向きを変えながら、ほぼ一定の速さで流れ続ける。この潮汐力を利用して発電するため、天候の影響を受ける風力発電よりも安定した電力を供給できる特徴がある。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は40%程度を期待できる。陸上風力の20%や洋上風力の30%と比べて発電効率が高い。

2MWの発電能力で設備利用率が40%になると、年間の発電量は700万kWh(キロワット時)を見込める。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると約2000世帯分に相当する電力を供給できる。潮流の強い海域で多数の発電機を設置できれば、離島の電力源として有効だ。

国内では瀬戸内海と九州の北西部の海峡に強い潮流が発生する。潮流発電には1.5メートル/秒以上の流速が望ましい。五島列島の島のあいだにある海峡では3メートル/秒を超える場所が複数あり、久賀島沖の奈留瀬戸もその中の1カ所だ。

政府は島国の日本にとって有望な海洋再生可能エネルギーを発展させるために、2014年度から実証フィールドを選定して導入プロジェクトを支援してきた。潮流発電は長崎県の久賀島沖を含めて4カ所が選ばれている。このうち商用レベルの発電機を設置して実証に取り組むのは久賀島沖が初めてだ。

久賀島がある五島市は海洋再生可能エネルギーの開発で先頭を走っている。浮体式の洋上風力発電でも日本で初めての実証プロジェクトに取り組み、2016年3月に2MWの洋上風力発電所が商用運転を開始した。潮流発電と洋上風力発電の導入量を拡大して地域の活性化を図るのと同時に、地元の住民や漁業関係者が海洋再生可能エネルギーと共生できる離島の環境づくりを目指す。

五島市で導入可能な潮流発電のポテンシャルは年間に9億kWhを超える。一般家庭の25万世帯分に相当する規模で、五島市の総世帯数(2万世帯)をはるかに上回る。久賀島沖で実施する潮流発電の実証運転が成果を上げれば、離島の未来に新たな可能性が開ける。

株式会社Z-ONE

依田一義の不動産情報114

みやぎ生協(仙台市)とコンビニ大手のファミリーマート(東京)は27日、宮城県七ケ宿町に、スーパーとコンビニの一体型店舗を来春オープンすると発表した。24時間営業のコンビニの利便性に加え、生協が仕入れる生鮮品を扱い、高齢者も利用しやすい店舗を目指す。同生協がコンビニと一体化した店舗を出店するのは初めて。
店舗の名称は「ファミリーマート+COOP七ケ宿店(仮称)」。店舗面積は約260平方メートルで、コンビニ部分が6~7割、残りがスーパーとなる予定。町役場近くに整備される「賑(にぎ)わい拠点エリア」の中核施設に位置付けられ、町が建設し、生協が運営する。
同生協とファミマは27日、仙台市内のホテルで町と包括提携協定を結んだ。店舗を地域の防犯拠点とし、スタッフの地元採用などで協力することを確認した。
協定締結後の記者会見で、同生協の宮本弘理事長は「地方では高齢者を中心に買い物難民が発生している。利用しやすい店舗を運営し、住みやすい街づくりに貢献したい」と話した。
ファミマの中山勇社長は「コンビニは飽和状態と言われるが、まだ成長の余地がある。ただ、人口が少ない地域ではコンビニ単独では難しい。生協のようなスーパーと連携し、新たなコンビニ像をつくりたい」と意欲を述べた。
七ケ宿町の人口は1522人(6月30日現在)。高齢化率は46%に上る。

株式会社Z-ONE

依田一義のエネルギー情報122

水中に生息する藻類からバイオ燃料を生産する研究を進めている自動車部品大手デンソーが熊本県天草市五和町に建設していた藻の大規模培養実証施設が完成し、27日、現地で開所式があった。2018年度をめどに実用化を目指す。
施設は昨年夏、天草市と立地協定を結び建設を進めていた。廃校した中学校を活用し、敷地面積は約2万平方メートル。同種施設では国内最大級という。
軽油などの代替燃料になる油分を含む藻類「シュードコリシスチス」を培養。藻から精製可能な量は将来的に年間約2万リットルを見込む。藻の油分は光合成で得られるクリーン燃料で、実用化が進めば二酸化炭素(CO2)排出削減が期待されるという。生産コストをいかに抑えるかが実用化への課題となる。

株式会社Z-ONE

依田一義のエネルギー情報121

ベアリング大手のNTNは、風力・水力発電装置事業に本格的に乗り出す。従来は部品供給にとどまっていたが、独自の軸受け技術を生かし、地域コミュニティーで使う小型の風車や水車に狙いを絞り、発電効率の高い発電装置をつくる。
同社初の商品として、太陽光と風力の2種の再生エネで発電する「ハイブリッド街路灯」を7月から売り出した。羽根の片側だけ厚みを持たせ、先端部を本体側に少し曲げることで気流の乱れを防ぎ、風力発電で課題になる風切り音がほぼ出なくなった。軸受けの改良で、風向きに関係なく羽根が回り、効率的に発電できる。公園や商業施設向けに売り込む。
NTNは自動車や産業機械に使うベアリングで世界大手。風力発電所の大型風車で使う主軸の軸受けでも世界大手を誇ってきた。だが電気自動車の普及が進むと、同社が手がけるドライブシャフトなどの部品が不要になる危機感があった。蓄積した軸受けの技術を生かし、発電装置そのものに取り組む。10年後に売上高500億円をめざす。(新田哲史)

株式会社Z-ONE

依田一義の不動産情報113

アットホームの調査によると、6月の首都圏における新築戸建て住宅の平均成約価格は3418万円(前年同月比1.9%上昇)で、8カ月連続で上昇した。東京都下を除く全エリアで上昇している。ただ、前月比では4カ月ぶりに下落となった。東京23区の平均価格は5072万円(前年同月比11.0%上昇)で8カ月連続上昇し、初めて5000万円を超えた。埼玉県は同7カ月連続上昇。また、神奈川県は同12カ月連続上昇、千葉県では再び上昇したが、東京都下は同5カ月ぶりに下落に転じた。

株式会社Z-ONE

依田一義の不動産開発情報57

明和地所は7月30日から、東京都杉並区と横浜市中区で新築分譲マンションの販売を開始する。
杉並の物件は、京王井の頭線高井戸駅から徒歩8分の「クリオ杉並高井戸」。地上7階建て・総戸数27戸で、専有面積は37~84平方メートル。第1期販売は9戸で、価格は3800万円台~6700万円台。
横浜市営地下鉄ブルーライン桜木町駅から徒歩1分の「クリオ横濱桜木町」(総戸数28戸)は、全3LDK(63~80平方メートル)の住戸プラン。第1期は24戸販売し、価格は6100万円台~9400万円台。

株式会社Z-ONE

依田一義の不動産開発情報56

東急不動産は、同社が2014年から参画し、大船駅北第二地区市街地再開発組合が横浜市栄区笠間二丁目で施行している「大船駅北第二地区第一種市街地再開発事業」において、横浜市から7月25日に権利変換計画の認可を受けたと発表した。
大船駅から徒歩1分の立地。2階部分にペデストリアンデッキを設けることで、駅からの直接アクセスを可能とした。
物件は地上21階地下2階建て・総戸数253戸。販売開始時期は2018年3月。

株式会社Z-ONE

依田一義の不動産開発情報55

東京セキスイハイムは、千葉県袖ケ浦市で全155区画の大型戸建て分譲「スマートハイムシティ袖ケ浦」の販売を8月から始める。商業施設、分譲マンション、公園などの建設が進む市施行の袖ケ浦駅海側特定土地区画整理事業地区内に開発する。
開発面積は4万3175平方メートル。2016年6月末に造成が完了した。

株式会社Z-ONE

依田一義の不動産開発情報54

今回新たに、不動産開発および販売を行う大京が建設を進めるのが、広島県広島市中区加古町(かこまち)の「ライオンズ広島加古町」(地上15階建、総戸数138戸)である。

「ライオンズ広島加古町」は、市街地からそれほど離れておらず利便性と、閑静な住環境の両面を兼ね備えたマンションで、共同住宅として日本で初めて、全住戸が「BELS」による第三者認証を取得し、省エネ性能に優れると認証を受けたことが特徴だ。

「BELS(Building Energy-efficiency Labeling System、建築物省エネルギー性能表示制度)」とは、ビルの省エネ性能を評価する制度である。建築物の設計仕様をもとに、空調からエレベーターまで含めた一次エネルギー消費量を計算して、建物の種類によって基準となる「標準的な建物」のエネルギー消費量と比較する。この標準に対してエネルギー消費量がどれだけの割合で少ないかを星の数で分かりやすく示す。

「ライオンズ広島加古町」は、全住戸において、標準のエネルギー消費量に対して、15%以上の削減率を実現しており、星4つ以上を実現している。さらに同マンションはCO2排出を抑制する建造物として認定された「低炭素建築物認定マンション」や、建築物としての燃費性能を示す指標である「エネルギーパス認証」Sランクも取得しており、高い省エネ性能を備えているマンションであるといえる。

株式会社Z-ONE

依田一義の不動産情報112

東京カンテイが発表した6月の中古マンション価格(70平方メートル換算、売り希望価格)によると、首都圏は、前月比0.6%上昇の3473万円となった。6カ月連続の上昇。東京都が24カ月連続上昇、神奈川県、埼玉県も小幅ながら上昇した。特に千葉県は、他県に比べて大きく2.2%上昇し、3月に記録した直近1年間での最高値を上回り1876万円となった。ただ都心6区のうち、横ばいだった千代田・中央・港区が弱含みとなり、価格水準が高い行政区を中心に頭打ち感が鮮明となってきた。

株式会社Z-ONE