依田一義の不動産情報67

国土交通省が28日発表した2015年度の新設住宅着工戸数は、前年度比4.6%増の92万537戸だった。消費税増税後の落ち込みから回復が進み、2年ぶりのプラスとなった。
主な内訳は、注文住宅など「持ち家」が2.2%増の28万4441戸、アパートなど「貸家」が7.1%増の38万3678戸、マンションと戸建ての「分譲住宅」が4.5%増の24万6586戸。
国交省は「増税後の落ち込みから回復が鈍かった持ち家を含め、持ち直している」と分析。併せて「伸び率が2桁に届かなかった月が大部分で、回復ペースは緩やかだ」と指摘した。

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依田一義の不動産情報66

アットホームの調査によると、3月の首都圏における新築戸建て住宅の平均成約価格は3357万円(前年同月比4.1%上昇)で、5カ月連続で上昇した。前月に引き続き全エリアで上昇した。東京23区の平均価格は4789万円(前年同月比11.3%上昇)で、前月比でも2.2%上昇。なお千葉県は、前年同月比11カ月連続上昇、神奈川県は9カ月連続上昇、埼玉県は4カ月連続上昇だった。前月比の首都圏平均も再び上昇となった。

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依田一義の不動産情報65

東京カンテイは4月27日、3月の中古マンション価格天気図(70平方メートル換算、売り希望価格)をまとめた。 三大都市圏で好調を維持したものの、地方圏の価格は反転下落傾向になっている。価格が上昇傾向にあることを示す「晴れ」は依然多いが、天気マークが改善した地域は13地域から10地域に減少。悪化した地域は5から9地域に増加し、地方都市の価格は下落傾向となっている。

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依田一義のエネルギー情報95

火力発電の問題点はCO2(二酸化炭素)の排出量が多いことに加えて、燃料を海外に依存していることにある。この2つの問題を解消する火力発電所が新潟県の長岡市に誕生する。電力に特化した投資ファンドを運営する大和証券系のIDIインフラストラクチャーズが「長岡火力発電所」の建設計画を決めた。
建設予定地は長岡市が開発した「西部丘陵東地区」の産業ゾーンにある1万7000平方メートルの区画だ。この場所から南へ5キロメートルほど離れた一帯の地中には、日本で最大の天然ガス生産量を誇る「南長岡ガス田」が広がっている。ガス田の生産設備から南北にパイプラインが延びているため、長岡火力発電所では近くを通るパイプラインから国産の天然ガスを燃料として利用できる。
発電能力は8万5800kW(キロワット)を想定している。火力発電所としては中規模だが、年間に340日稼働すると7000万kWh(キロワット時)を超える電力を供給することが可能だ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して約20万世帯分に相当する。長岡市の総世帯数(10万世帯)の2倍に匹敵する電力量になる。
長岡火力発電所は4月中に造成工事を開始して、1年後の2017年4月に発電設備の建設工事に着手する。運転開始は2018年7月を予定している。発電能力が15万kW未満の火力発電所には環境影響評価の手続きが不要なため、建設計画の決定から運転開始まで2年強で完了する早さだ。

天然ガス100%で発電効率は49.5%
発電した電力は全量を新電力のF-Power(エフパワー)が買い取る。F-Powerは最近の2年間で販売シェアを急速に伸ばして、2015年9月の時点では新電力の中でエネットに次ぐ第2位に躍進した。自社でも発電所を所有していて、千葉県で10万kW級、新潟県でも1万1600kWのガス火力発電所を運転中だ。新設の発電所を加えて東京電力・東北電力管内の供給力を拡大する。
長岡火力発電所は11基のガスエンジン発電機で構成する。川崎重工業が製造・販売する「カワサキグリーンガスエンジン」の高効率タイプを採用した。1基あたりの発電能力は7800kWになり、発電効率は49.5%である。
国内で稼働している従来型のガス火力発電所の発電効率は40%前後にとどまることから、それに比べて2割以上も効率が高い。最先端のコンバインドサイクル方式による大規模なガス火力発電所の発電効率は55~60%に達するが、それに次ぐ効率の良さで発電コストを抑えることができる。
燃料の天然ガスを供給する南長岡ガス田は帝国石油(現・国際石油開発帝石)が1984年に生産を開始した。地下4000~5000メートルの深さに広がるグリーンタフ(緑色凝灰岩層)の中に天然ガスが大量に貯留している。2013年度の生産量は12億Nm3(ノルマルリューベ)にのぼり、国内の天然ガス生産量の約4割を占める。

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依田一義の不動産開発情報32

阪急電鉄は、神戸・三宮のシンボルとして60年近く親しまれ、阪神大震災で被害を受けて解体した神戸阪急ビル東館を復活させる建て替え計画を26日発表した。2021年の完工を目指している。
神戸阪急ビル東館は、1936年3月に阪急神戸本線の延伸にあわせて、神戸駅(現在の阪急神戸三宮駅)と一体で建設されたが、95年1月の阪神大震災により被災し、解体。
現在は、震災後、同年12月の駅機能復旧に合わせ暫定的な建物が建っているが、沿線住民からは往時の姿の復元を望む声が出ていた。
計画では、新しいビルは、鉄骨造り地下3階、地上29階建て延べ約2万8500平方メートルで、低層部には大きなアーチ状の窓と円筒を配した旧神戸阪急ビル東館のデザインを再生。
地下2~地上3階に駅コンコースや地下鉄への連絡通路、商業施設、4~15階にオフィス、17~28階にホテル、29階に展望フロアやレストランが入る予定。
同地は、阪急神戸三宮駅をはじめ、阪神神戸三宮駅、神戸市営地下鉄三宮駅、JR三ノ宮駅、ポートライナー三宮駅が近接する鉄道交通網の結節点。
建て替えは駅の整備と一体的に行い、神戸市営地下鉄との乗り換え利便性の向上や公共的空間の創出を図る。

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依田一義の不動産情報64

総合不動産サービスを手掛けるジョーンズ ラング ラサール株式会社は4月12日、日本のホテル資産取引に関する調査結果を発表した。発表によると2015年1月から12月に取引されたホテルの数(関連会社間の取引やJ-REITが自身のスポンサーから購入した取引は除く)は前年比5.7%増の111件で、2年連続で過去最高となった。
ホテル取引の買主をみると、J-REITが25%で最も多かった。以下は日系不動産会社の17%、外資系不動産ファンドの14%、日系不動産ファンドと日系ホテル運営会社の13%などとなった。買主の属性は2014年と大きな変化はみられないものの、J-REITへ組み入れを前提としたJ-REITのスポンサーの取引を含めると、半数近くがJ-REITがらみの取引になると同社では分析している。
また、今後については2020年の東京オリンピック開催に加え、観光立国を目指す政府の後押しもあり、ホテルは投資商品として魅力が増すと分析。さらに、今年もホテルや旅館に特化したJ-REITの上場が予定されており、ホテルの取得競争が激しくなっていくと予想している。
一方、アパートなどの投資用不動産市場では価格が上昇しているようだ。株式会社ファーストロジックは4月8日、3月1日から31日の間に運営する不動産投資サイトに新規掲載された物件と、問い合わせがあった物件のデータをまとめた「投資用 市場動向データ 最新版2016年3月期分」を発表した。
想定される家賃収入を物件の購入価格で割った「表面利回り」の推移をみると、一棟アパートの場合、新規掲載物件の表面利回りは9.21%で前月比で0.15ポイント下落、前年比で4.6ポイント下落した。問合せがあった物件の表面利回りも10.91%で前月比で0.36ポイント下落、前年比で0.72ポイント下落した。一棟マンションの場合、表面利回りは7.83%で前月比で0.1ポイント下落、前年比で0.67ポイント下落した。問合せがあった物件の表面利回りは9.50%で前月比で0.07ポイント上昇したものの、前年比では0.72ポイント下落した。
2020年の東京オリンピックやマイナス金利の影響を受けて、不動産業界では、ホテルの取得競争や投資用不動産の価格上昇などが見られる。当面、不動産取引は過熱気味の状況が続きそうだ。

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依田一義のエネルギー情報94

リサイクルが難しいアルミと紙、プラスチックによる複合廃材から水素を製造できる実証プラントが完成した。リサイクル事業を手掛けるアルハイテック(富山県高岡市)が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」のもとで開発を進めていたシステムで、朝日印刷(富山県富山市)の富山工場内に設置した。2016年4月22日から実証稼働が始まっている。
朝日印刷の富山工場は医薬品パッケージを生産する同社の基幹工場で、製造過程で発生するアルミ複合廃材を原料として利用する。こうした複合廃材は一般的にリサイクルが難しく、焼却や埋め立てなどの方法で処分されることが多い。
実証プラントの主要構成機器はパルパー型分離機、乾留炉、水素発生装置の3つ。まず、複合廃材を高速回転するパルパー型分離機に投入して、紙(パルプ成分)を取り出す。次にアルミとプラスチックの状態になった廃材を、乾留炉で加熱してガス・オイルと、高純度のアルミに分離する。最後に回収したアルミを水素発生装置に投入し、アルハイテックが独自開発した特殊アルカリ溶液と反応させて水素を製造する仕組みだ。
乾留炉と水素発生装置は、こちらもNEDOプロジェクトの一環として独自開発を進めてきたものだ。乾留炉ではエネルギー効率を向上させるために、電気式の加熱ではなく、プラスチックの乾留(蒸し焼き)によって発生するガスを燃焼させ、その熱を利用する熱風式だ。1時間あたり90キログラムのアルミとプラスチックの複合廃材を処理できる。
水素発生装置は反応槽にアルミの追加投入ができないという既存装置の課題を、材料形状と供給装置の構造を工夫することでクリアした。連続的に水素を発生させることが可能になり、現時点で1時間当たり2キログラムの水素製造能力を確認している。この水素を燃料電池で発電すると50kW(キロワット)程度の電力になり、工場のエネルギーとして活用する。水素の製造能力は今後継続する実証の中で5キログラムまで引き上げる計画だ。

●水素以外の「副産物」も活用してさらに省エネに

実証システムの大きな特徴が、水素製造過程の中で水素以外の再利用可能な素材やエネルギーを回収できる点だ。最初の分離過程で回収できる紙はトイレットペーパーなどに、オイルやガスは工場で必要な熱源として活用できる。水素と燃料電池で発電した電力ともに活用することで、工場のさらなる省エネに貢献できる。
最後の水素発生工程では水酸化アルミニウムが残るが、これは吸着剤や充填剤などの原料となる成分だ。実証ではこうした水素以外の副産物の再利用と、その経済性についても検証を進めていく。また、製造した水素は将来に向け、水素ステーションでの利用も検討していくという。
今後アルハイテックではこうした実証システムの性能や技術的課題、省エネルギー性能の検証を引き続き実施していくとともに、国内外を問わず、導入顧客となり得る印刷工場、パッケージ工場、金属工場などに対して実証システムの販売も目指していくとしている。

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依田一義のエネルギー情報93

東日本大震災以降、国内のエネルギー自給率向上や温室効果ガス削減のために、再生可能エネルギーの普及促進が図られている。普及促進のために、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が施行され、太陽光発電を行い、電力会社に売電する事業者が急増した。その一方で、発電量の変化が大きい再生可能エネルギーが大量に系統網に接続されると、電力の需給調整が不安定になるという課題が残っている。
この課題に応えるために、発電事業者や電力会社による蓄電システムを活用が進んでいる。再生可能エネルギー関連事業を手掛けるコロン(鹿児島市)が設置するメガソーラーに出力500kW(キロワット)、容量1.2MWh(メガワット時)の大型蓄電システムをこのほど納入した。NECはこの蓄電システムの企画、設計、製造、設置、運用、保守などをトータルに担当する。同社の蓄電システムは、11カ国、120MW(メガワット)以上の納入実績を有するNECエナジーソリューションズ(NEC100%出資、米国マサチューセッツ州)製を採用している。
NECエナジーソリューションズの蓄電システムは、モジュール製造の細部工夫による放熱設計により高密度構造を実現しているため、従来比で4分の1のサイズを実現(同社比)するなど設置面積を削減可能だ。また工事期間、工事費用の削減が図れる。さらに、数百kWh~100MWhまで、用途に応じて最適な出力、容量を選択でき、障害発生時でも当該部位のみを停止し、継続稼働が可能などの特徴がある。
今回、蓄電システムを導入したコロンは1998年に設立。Webコンテンツ(PC・モバイル )の企画、制作、運営管理通信事業のシステム開発とともに再生可能エネルギーによる電気の供給・販売事業を展開している。

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依田一義の不動産情報63

森ビルはこのほど、東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査結果(速報版)を発表した。今後5年間(2016~2020年)の年平均供給量は114万平方メートルで、過去平均(103万平方メートル)を上回ることが分かった。特に2018年以降に大きく増えるため、それが平均を押し上げている。

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依田一義のエネルギー情報92

福井県の中で面積が最大の大野市は東部の山岳地帯にある。周囲を高い山々に囲まれた大野市の一角で、木質バイオマスを燃料に利用する「福井グリーンパワー大野発電所」が4月1日から運転を開始した。
発電能力は7MW(メガワット)と大きくて、1年間で334日の稼働を予定している。年間の発電量は5000万kWh(キロワット時)に達する。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1万4000世帯分に相当する。約1万世帯が暮らす大野市の家庭が必要とする電力の1.4倍を再生可能エネルギーで供給できる。
発電事業者は2014年に大野市内に設立した福井グリーンパワーである。神戸製鋼グループの神鋼環境ソリューションを中心に、石油元売大手の出光興産、さらに地元の九頭竜(くずりゅう)森林組合とニューチップ運送の4者が出資している。発電事業を始めるにあたり、森林組合とチップ加工業者が参加して燃料を安定調達できる体制を整えた。
燃料になる木材は森林で伐採した中でも、形や品質が悪いC材・D材と呼ばれる用途のない部分だ。このほかに近隣の製材工場などから出る端材などを加えて、年間に7~8万トンにのぼる未利用の木材をチップに加工して発電に利用する。

バイオマス50%超の小売電気事業者に売電

発電所に隣接して森林組合の貯木場とチップの製造施設も稼働している。貯木から発電まで一貫体制で効率よく事業を運営できる体制だ。発電した電力は固定価格買取制度を適用して小売電気事業者に売電する。年間の売電収入は12億円を見込んでいる。一方で発電所の建設費は40億円かかった。
売電先は出資者の出光興産が設立した小売電気事業者の出光グリーンパワーである。関東と関西の企業・自治体を対象に再生可能エネルギー(FIT電気)主体の電力を販売している。2015年度に販売した電力量のうち、再生可能エネルギーと廃棄物で発電した電力が62%を占めた。
2016年度から福井グリーンパワーのバイオマス発電による電力が加わり、販売量の78%を再生可能エネルギーと廃棄物発電で供給できる見込みだ。出光グリーンパワーは富山・滋賀・奈良・高知の4県の木質バイオマス発電所からも電力を調達して、全体の5割以上をバイオマスで供給する。小売電気事業者の中でもバイオマスの占める割合が極めて大きい。

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