依田一義のエネルギー情報139

政府は7日、福島市で官民会合を開き、新たなエネルギー産業を育成し、モデル拠点とする「福島新エネ社会構想」をとりまとめた。構想には風力発電の送電網の増強や、再生可能エネルギーを使った大規模な水素製造などが盛り込まれた。会合は年1回程度で継続され、福島の復興を後押しする。

会合には各省庁や県、民間企業の担当者が出席し、官民連携の重要性を再確認。高木陽介経済産業副大臣は「復旧や住民の帰還はマイナスからゼロにすること。新エネルギーでプラスにしていく。福島から新しい流れを起こし、『福島は元気だ』といわれるように一丸となる」と述べた。

構想では、再生可能エネルギーの導入拡大のため、阿武隈山地と沿岸部の風力発電の送電網を増強。風力・太陽光発電事業者、東京電力、東北電力が送電施設を運営する事業体を新たに設立する。来年度中に設計を終え、増強工事に着手する計画。

また、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、世界最大の1万キロワット級の再生可能エネルギーを用いた大規模な水素製造を実現。輸送、貯蔵技術を組み合わせた利用システムを確立し、福島でつくられた水素を東京五輪で活用するとした。事業を具体化するため、今年度中に有識者や民間企業などでつくる検討会を設置する。

政府は来年度の概算要求には省庁にまたがる総額754億円の関連予算を盛り込んだ。このうち、次世代の水素輸送、貯蔵技術など水素供給網を構築する実証に55億円が充てられるなど、水素エネルギー関連に194億円。風力発電施設の送電網を増強に100億円など、再生可能エネルギー導入拡大には464億円が計上されている。

株式会社Z-ONE

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