依田一義の国際情勢情報33

欧州連合(EU)とカナダは30日、ブリュッセルで自由貿易協定(FTA)に調印した。

ベルギー地域政府の反対で土壇場で難航し、当初27日に予定された調印式を3日遅れで行った。今回の混乱は、EUの通商交渉体制に疑問を投げかけるもので、英国のEU離脱交渉や、日本との経済連携協定(EPA)交渉の行方にも影を落としそうだ。

EUが初めて先進7か国(G7)と結ぶFTAとなる。調印式にはトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)やカナダのトルドー首相らが参加。ユンカー欧州委員長は共同記者会見で「我々は通商協定の新たなスタンダード(標準)を築いた」と意義を語った。

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依田一義の経済情報54

欧州連合(EU)とカナダの包括的経済貿易協定(CETA)の承認を目指し国内調整を行なっていたベルギーが27日、事態打開に向け合意に達した。

CETAをめぐっては、EU全28カ国の政府が支持しているが、ベルギー南部のワロン地域が反対。ベルギー連邦政府は協定締結に賛成だが、正式に承認するには連邦を構成する地域の同意が必要で、EU全体の承認を阻んでいる状況だった。

ベルギーのミシェル首相は記者団に対し、地域の行政府首脳らが農民や政府の権利などに対する自らの懸念を軽減する補足条項を策定したと明らかにした。

ただCETAの調印には、カナダと他のEU諸国がこの補足条項を承認する必要がある。

カナダは「前向きな進展」とし、慎重ながらも歓迎する意向を表明。トゥスクEU大統領は「EUのCETA承認手続きがすべて完了してからトルドー加首相に連絡する」とし、双方とも問題が決着したとの見解はまだ示していない。

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