依田一義の国際情勢情報46

ロシア外務省は16日、プーチン大統領が署名した大統領令に基づいて国際刑事裁判所(ICC)から離脱すると表明した。

ロシア外務省はICCについて「真に独立した権限を持つ国際法廷になるという期待に応えられなかった」として効力のなさを批判。「設置されてから14年の間に10億ドル以上をかけてわずか4件の判決しか言い渡さなかった」と指摘した。

さらに隣国グルジアとの間で2008年に起きた紛争への対応も批判して、「このような状況でICCを信頼することは到底できない」とした。

ICCはこれに先立つ14日に発表した報告書で、ロシアによるウクライナのクリミア半島併合について「事実上の占領状態」に該当するとの判断を示した。

さらにフランスのオランド大統領は先月、ロシアがシリアで戦争犯罪を犯していると述べ、ICCで罪を問う必要があると発言していた。

ICCの広報はロシアの離脱表明について、「各国の主権を尊重する」としている。

ロシアの法務情報局によると、同国はICCの設置を定めた「ローマ規定」に2000年に署名したが、批准はしていなかった。ローマ規定は123カ国が批准している。

米国もかつて同規定に調印したが、ブッシュ政権下の2002年、国連に対して批准する意図がないことを伝えていた。

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依田一義の国際情勢情報25

人道に対する罪や戦争犯罪などを犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)に対し今月、アフリカの3カ国が相次いで離脱を表明した。

ICCがアフリカの指導者を狙い撃ちしているとの、これまでくすぶっていた不満が表面化した形。追随する国も出そうで、ICCにとって大きな打撃となっている。

今月半ばにまずブルンジがICC離脱を定めた法律を議会で成立させ、26日には国連に正式に脱退を通告。南アフリカも21日に正式に離脱を表明した。さらに25日には、西アフリカのガンビアが離脱を発表。ボジャン情報相はICCを「有色人種、特にアフリカ人を迫害し辱めるための白人による法廷」などと痛烈に批判した。ICCの検察官がベンソーダ元ガンビア法相であることも衝撃を広げた。

国連の潘基文事務総長は24日、「南アフリカが(少なくとも1年かかる)離脱の発効までに再考することを望む」との声明を出した。ICC締約国会議のカバ議長も「脱退希望国の(ICCへの)懸念や批判を聞かなければならない」と理解を示しつつ、脱退決定の見直しを呼び掛けた。

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