依田一義の海外不動産情報⑨

英不動産業者サヴィルズ<SVS.L>は、ロンドン中心部の高級住宅地の住宅価格は今年9%下落し、2019年までは上昇は見込めないとの見方を示した。買い意欲は不動産税増税で既に冷え込んでいたが、英国の欧州連合(EU)離脱交渉を見極めたいと様子見ムードが広がっている。

サヴィルズによると、ナイツブリッジ、ベルグレイヴィア、メイフェアなどに代表されるロンドン中心部の高級住宅地の住宅価格は、ここ2年にわたって下落が続いている。高額不動産や、賃貸目的の物件、2戸目の住宅を対象に、不動産税が増税となったことが影響している。

さらにEU離脱が決まったことで、不動産を買い控える動きや、一段の値下がりを待つムードが広がり、需要が一層低迷しているという。

サヴィルズは、来年にも始まる英国のEU離脱交渉が一定の結論に達するまでの間は、価格上昇は見込まれないと指摘。2019年に価格が上昇するとすれば、上昇率は8%と予想。ただし、需要が上向くかどうかは、今後の税制や英EU離脱交渉の結果によるとの見方を示した。

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依田一義の不動産情報153

シャープは9月21日、売却した本社地区のビル2棟のうち、田辺ビルを買い戻す方向でNTT都市開発と一致し、月内の契約締結に向けて協議していると発表した。

シャープは今年3月、経営再建に向けた合理化の一環として、大阪市阿倍野区の本社ビルをニトリに、道を挟んで向かい合う田辺ビルをNTT都市開発に合計188億円で売却。本社は堺市に移したが、田辺ビルはリースの形で継続使用していた。

だが、シャープ社長に就任した鴻海精密工業グループ副総裁の戴正呉氏は大阪本社地区を買い戻す意向を表明。NTT都市開発と交渉を進め、シャープが買い戻す方向で一致した。

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依田一義の海外不動産情報⑧

三井不動産は20日、台湾で2カ所目となるアウトレットモールを中部・台中に開発することを決め、借地契約を結んだ。台中港に面した約18ヘクタールの敷地に、日系などの約150店舗が入居する「三井アウトレットパーク台湾台中港(仮称)」を設ける。2018年の開業を目指す。同社は今年1月、台湾1カ所目のアウトレットモールを北部・新北で開業。休日4万人、平日は2万人超が訪れる人気施設になっている。

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依田一義の海外不動産情報⑦

米商務省が20日発表した8月の米住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比5.8%減の114万2000戸だった。減少は3カ月ぶりで、件数は市場予想の119万戸を下回った。

ただ着工件数の先行指標となる建設許可の件数は、シェアが最も大きい一戸建て住宅で持ち直しており、住宅需要は底堅さを保っていることを示した。

8月の許可件数は0.4%減の113万9000戸だった。市場予想は117万戸だった。内訳は一戸建て住宅が3.7%増の73万7000戸だった。集合住宅は7.2%減の40万2000戸だった。

着工件数は前月まで、2カ月連続で底堅く伸びていた。伸び率は、特に一戸建て住宅で過去数カ月の許可件数のペースを大幅に上回っており、8月は落ち込むことが予想されていた。

8月の落ち込みにより、着工件数は第2・四半期の平均をやや下回った。ただエコノミストらは住宅建設が第3・四半期の国内総生産(GDP)を押し上げる方向に働くとみている。住宅建設は第2・四半期のGDPをやや押し下げていた。

20-21日の日程で、連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。低インフレが懸念され、最近の経済指標も弱含んでいることから米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を据え置くとみられている。

雇用市場が引き締まり賃金が上昇していることは、住宅需要の押し上げ要因となっている。19日に発表された9月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は11カ月ぶりの高水準をつけた。現時点の販売や半年先までの販売見通し、潜在的な住宅購入者の動きを示す指数も上向きだった。

8月の住宅着工件数の内訳は、一戸建て住宅が6.0%減の72万2000戸で、昨年10月以来の低水準だった。一戸建ては許可件数が増えたため、来月は許可件数の持ち直しが見込まれる。中古住宅の在庫不足が一戸建ての市場を支えている。一戸建ての着工件数を地域別でみると北東部が13.8%減だった。南部も13.1%減った。西部と中西部は力強く伸びた。

変動が大きい集合住宅は5.4%減の42万戸だった。集合住宅は賃貸需要の強さに支えられ続けている。金融危機に伴う住宅市場の崩壊後、一部の人は住宅購入をためらっているからだ。家賃がピークに近づき、空室率が底打ちする中で、賃貸需要は勢いが落ちてくる可能性がある。

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依田一義の不動産情報152

東京都心部の高額物件が好調を持続する一方、世田谷といった人気エリアで売れ行きが鈍るケースが出てきた。苦戦を強いられているはずの郊外部では予想以上の反響がある物件も。「平均値で語れるマーケットではなくなった」との声が上がるように、首都圏マンション市場は新たな局面を迎えつつある。

全戸の販売価格が2億円を超える「プラウド六本木」(東京都港区)。35戸中、22戸で契約が決まった。野村不動産ホールディングスの山本成幸執行役員は「3億円までの物件はスピード感をもって売れている」と話す。住友不動産の「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」(新宿区)は、目の前に赤坂御用地の緑が広がる立地環境が注目され、販売戸数に対し30倍を超える問い合わせがあった。希少性が高い場所の高額物件の引き合いは依然として根強い。

しかし、不動産経済研究所(同)がまとめた8月の市場動向によると、首都圏全体の発売戸数に占める東京都区部の比率はリーマン・ショックの直後である平成20年10月以来の低水準。億ションが先導する市場にあおられる形で手が届きにくい価格帯を形成してきたのが要因だ。

例えば世田谷区。大手不動産会社の担当者は「駅に近い物件は3・3平方メートル単価が400万円でも売れ行きは好調。しかし、駅から徒歩20分圏で本来の実力を大幅に上回る300万円以上に設定したような物件は、急速に売りにくくなっている」と指摘する。

郊外は逆の意味で、潮目が変わりつつある。「ファインシティ東松戸モール&レジデンス」(千葉県松戸市)の販売センターでは休日ともなると販売スタッフが対応に追われ続ける。松戸市は子育てがしやすい自治体の代表格。徒歩2分の東松戸駅は3路線が乗り入れるなど交通の利便性が高く、最多価格帯は3400万円台と購入しやすい点が若いファミリー層の購買意欲をかきたてる。

郊外物件は、建築費の高騰に伴って市場価格との乖離(かいり)が生じていたが、デベロッパーの見方は「適正価格の物件を投入すれば新築でも売れる」で一致する。

こうした中、東京五輪関連の受注活動が一段落した結果、建築費が落ち着くとの見通しも強まってきた。建築費がさらに下がっていけば、「個性的で顧客を引きつけるプロジェクトが増え、郊外型が人気を取り戻していく」との見方も出ている。

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依田一義の不動産情報151

20日に発表された平成28年基準地価の最高地点は、11年連続で東京都中央区銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」。1平方メートル当たり3300万円はリーマン・ショック前の20年7月時点(3千万円)を上回った。訪日外国人旅行客の増加を見込んだ再開発や店舗需要が旺盛で賃料上昇が続く。

同ビルは昭和59年から調査対象で、平成2~3年に過去最高の3800万円に達した。バブル崩壊後は大手町などのビジネス街に首位を明け渡したが、18年に返り咲いた。

今回の基準地価では銀座以外にも訪日客需要が見込める地点の上昇が顕著だ。道頓堀などがある大阪・ミナミ、赤い鳥居がネットで訪日客の評判を呼んでいる京都・伏見は軒並み上昇率が25%を超えた。

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依田一義の不動産情報150

先進29カ国で構成するIEA(国際エネルギー機関)が世界のエネルギー投資動向を「World Energy Investment 2016」にまとめて9月14日に発表した。このレポートで2015年の総投資額が1.8兆ドル(約180兆円)にとどまり、前年から8%も減少したことが明らかになった。

投資額の内訳を見ると、全体の50%を石油・ガス・石炭が占めるものの、火力発電と合わせて前年から6ポイント低下した。代わって再生可能エネルギーが1ポイント増の17%、電力ネットワークが2%増の14%、省エネルギーに対する投資額も2ポイント増の12%へ伸びている。世界のエネルギー産業がCO2(二酸化炭素)の削減に向けて、構造変革(エネルギーシフト)を進めていることを示す結果だ。

再生可能エネルギーの発電設備に対する投資額は2900億ドル(約29兆円)で、2011年から2015年にかけて横ばいの状態が続いている。2015年の投資額のうち風力と太陽光が3分の1ずつを占めた。IEAによると洋上風力の投資額が伸びている。

発電設備に対する投資額は横ばいながら、投資がもたらす再生可能エネルギーの発電量は格段に増えている。2011年と比べて2015年に投資した発電設備の発電量は33%も拡大する。太陽光をはじめ発電設備のコストが低下して、同じ投資額でも発電能力の大きい設備を建設できるようになったためだ。この傾向は今後も続いていく。

蓄電池の投資額は6年間で10倍に拡大

再生可能エネルギーの発電設備が拡大するのに伴って、電力ネットワークの投資も増えている。2015年の全世界の投資額は2600億ドル(約26兆円)で、前年から14%増の大幅な伸びを示した。投資額のうち55%はネットワークの新設、35%は古いネットワークの更新に、残り10%が再生可能エネルギーの発電設備をネットワークに統合する分野に使われた。

その中でも特に伸びているのは電力ネットワークの増強に必要な蓄電池に対する投資である。2010年から2015年の6年間で10倍に拡大して10億ドル(約1000億円)を超えた。それでも電力ネットワークの投資額に占める割合は0.4%に過ぎず、今後さらに増えていくことは確実だ。

一方で原子力発電所の建設に対する投資は流動的である。2015年に建設を開始した原子力発電所の規模は約900万kW(キロワット)だった。そのうち7割以上を中国が占めている。2010年までは中国を筆頭に建設プロジェクトが拡大してきたが、福島第一原子力発電所の事故を契機に全世界で縮小傾向が始まった。

世界各国でCO2削減の動きが広がり、2015年には石油・ガスの開発投資にも急ブレーキがかかった。投資額は5830億ドル(約60兆円)と巨大ながら、前年から25%も減っている。さらに2016年にも24%の減少が見込まれていて、2017年以降も減り続ける可能性が大きい。IEAによると3年連続で石油・ガスの開発投資が減少したことは過去に1度もない。

石油・ガスから再生可能エネルギーを中心とする新しい産業構造にシフトしていけば、発電設備が排出するCO2は減っていく。2015年に全世界で運転を開始した発電設備のCO2排出係数は平均で420kg-CO2/MWh(CO2換算キログラム/1000キロワット時)だった。従来の発電設備の平均値(530kg-CO2/MWh)から20%も少なくなっている。

ただしIEAの分析では2014年に新設した発電設備と比べるとCO2排出係数は上昇している。2015年は中国を中心に石炭火力発電が増加したために、全世界の再生可能エネルギーの拡大効果を相殺してしまった。

日本国内のCO2排出係数は2014年度の時点で平均579kg-CO2/MWhだった。2015年度は火力発電の減少によってCO2排出係数が低下することは確実だが、それでも全世界の平均値を上回る見込みだ。CO2排出係数を引き下げるためには、省エネルギーの効果で国全体の発電量を減らしながら、火力発電を縮小する方策が最も有効である。

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依田一義の不動産情報149

東京カンテイ(http://www.kantei.ne.jp/)の調査によると、8月の首都圏・分譲マンション賃料は前月比0.3%上昇の2661円(1平米当たり、以下同)と僅かながら引き続き上昇した。都県別で見ると、東京都では平均築年数が18.3年から17.6年と若返った影響もあって、プラス2.5%の3223円と上昇した。また、神奈川県(2045円、同0.1%上昇)、埼玉県(1611円、同0.3%上昇)でも強含んだ。一方、千葉県ではマイナス0.8%の1546円と3カ月ぶりに下げたものの、1500円台半ばの賃料水準は維持している。

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依田一義の不動産情報148

不動産経済研究所が14日発表した8月の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築マンション発売戸数は前年同月比24.7%減の1966戸となり、9カ月連続で減少した。東京都内の発売戸数が大きく落ち込み、全体の水準を押し下げた。

契約率は66.6%と、好不調の目安とされる70%を3カ月連続で下回った。1戸当たりの平均価格は3.6%低下の5662万円。不動産経済研は発売戸数の減少について「価格が高止まりしており、販売業者が大型物件を中心に発売を先送りする動きが続いたため」とみている。

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依田一義の不動産開発情報86

アパグループは9月13日、同社が最上級ブランドと位置付ける「THE CONOE」シリーズの第4弾「THE CONOE西麻布」の起工式を行った。
東京都港区西麻布4丁目、東京メトロ日比谷線広尾駅徒歩11分に立地。敷地面積868平方メートル、地上6階地下1階建て・総戸数16戸。
専有面積は82~157平方メートル、平均120平方メートル超。竣工は18年5月。

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