依田一義の不動産担保ローンの活用方法

CIC(貸金業法指定信用情報機関)によると、201512月の不動産担保ローン残高は1233億円に上る。住宅ローン(14964億円)と比べるとその規模は小さく感じるが、マイカーローン(64億円)や借り換えローン(947億円)と比較すると存在感の大きさが分かる。とはいえ、まだまだ一般的ではない不動産担保ローン。その概要や活用方法を紹介したい。

 

■他の借り入れと何が違うのか

 

不動産担保ローンとは、不動産を担保に銀行などの金融機関からお金を借り入れることだ。フリーローンやカードローンなど他の借り入れと何が違うのだろうか。まずは特徴を確認しよう。

 

【特徴1】高額な借り入れが可能 

担保価値の68割程度が目安といわれ、借り入れ上限は1億程度とする金融機関が多い。不動産価格によっては高額な借り入れも可能だ。

 

【特徴2】低金利で借り入れ

不動産担保ローンの金利は310%程度と低め。不動産担保ローンは通常大きな金額を長期間借り入れるため、金利によって総返済額はかなり変わるため金利は重要な要素だ。なお、金利は固定金利、期間限定固定金利、変動金利と金融機関によって異なる。借り入れ時だけでなく長い目で金利を選択したい。

 

【特徴3】総量規制の対象外

総量規制とは、借り入れ総額が年収の3分の1までに制限される仕組みのこと。住宅ローンや自動車ローン、そして不動産担保ローンはこの規制の対象外となり、年収による制限はない。そのため複数の借り入れをまとめることができ、高額な借り入れも可能となる。

 

そのほか、原則として用途が限定されない。20年~35年の長期借り入れが可能、といった特色がある。続いて活用方法についても見ていきたい。

 

■不動産担保ローンの活用法とは

 

不動産担保ローンが向いているのはどんなケースだろうか。

 

【既に複数の借り入れがある人】

限度額の大きい不動産ローンなら、複数の借り入れをまとめることも可能だ。低い金利でまとめられれば返済額が抑えられるうえに、返済管理も容易になる。

 

【会社員、もしくは返済の見通しを持っている人】

借り入れ金額が大きく、かつ返済期間が長いため安定した収入のある人が向いているだろう。例えば、継続した収入が見込める会社員、手を付けたくないだけで一定の預貯金を持っている人などだ。ビジネス資金として利用する場合は堅実な事業計画のもと利用したい。

 

【手持ち不動産の売却か賃貸収入を考えている人】

不動産を売却予定だが買主が見つかるまでのつなぎ融資が欲しい、高く賃貸に出するためリフォームをしたいがその資金がない、などの場合にも有効だ。立地がよく、将来的に売却もしくは賃貸収入が見込める場合は活用度が高い。ただし、借り入れ後すぐに返済が始まるので一定額のキャッシュは確保しておくべきだろう。

 

そのほか、子どもの大学進学資金や手術費用など一過性の支出にも向く。ただし、支出が長期におよぶ場合は返済が難しくなる可能性が高いことを覚えておこう。

 

活用方法は多くあるが、不動産担保ローンは抵当権の設定が必要となる。つまり、もし返済ができない場合は不動産の所有権は銀行などのものになってしまう。そのため利用の際は慎重な姿勢が求められる。気を付けるべき点についても触れておこう。

 

■理解しておきべき注意点は

 

不動産を持っていても必ず融資が受けられるわけではない。住宅購入時のローンが残っているため抵当権があったり、立地、与信状況によっては融資を受けられない可能性もある。それを理解したうえで、以下の注意点を見てほしい。

 

【仮審査と事前審査】

不動産担保ローンには審査が必要となる。通常「事前審査」「本審査」「契約」という流れで借り入れを行う。金融機関にもよるが、場合によっては1ヶ月程度かかる場合も。当然、審査の結果借り入れが受けられないこともある。できれば複数の金融機関に仮審査の申し込みをしておくと良いだろう。

 

また、金利は借り入れ実行日の金利が適用されることとなるので、申し込みから契約までの金利の動きには注意しておこう。

 

【諸経費が発生する】

不動産担保ローンでは、借り入れ時、諸経費が発生する。事務手数料、印紙税、登記費用などだ。事務手数料は借入金額に応じて1.5%~2.16%程度の金融機関が多く借入額によって費用の額が変わることに注意しよう。

 

返済時の経費として繰上げ返済手数料繰上げ返済手数料も考慮しておこう。無料の金融機関もあるが、繰り上げ返済額の約3%を手数料としている銀行も存在する。

 

【年齢リスク】

返済期間が長いため、通常年齢要件がある。完済時の年齢が75歳~80歳までという上限が多い。年齢が上がれば上がるほど返済期間は短くなり、不動産担保ローンのメリットを享受しにくくなる。

 

【不動産を失うリスク】

何といっても一番のリスクは不動産を失うことだろう。もちろん、順調に返済していければ問題ないのだが、不測の事態が起こらないとも限らない。基本的には返済が厳しくなったら早めに相談することだ。もし不動産を手放すことになっても、強制執行ではなく任意で売却するほうがより高く売却できるといわれている。最悪のケースは家を失ったうえに借金が残ってしまうことだ。それを防ぐためには、無理に返済を続けるよりも「より高く」売るための方策を練ったほうが得策だろう。

 

以上、不動産担保ローンの仕組みや注意点を解説したが、不動産担保ローンも差別化が進んでいる。銀行によっては不動産は本人名義でなくとも「家族名義なら可」であったり、インターネットだけで申し込みができたりするなど、内容や特色が異なる。金利や借入金額だけ重視するのではなく、商品性も十分理解して利用することが求められる。よりご自身のニーズに合った商品を探し、手持ちの資産(不動産)を上手く活用してほしい。

 

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依田一義の不動産開発情報⑥

旭化成不動産レジデンス(東京)は17日、1953年に販売した日本初の分譲マンション「宮益坂ビルディング」(東京都渋谷区)の建て替えが決まり、4月から解体作業を始めると発表した。老朽化が進み、近年は事務所・店舗としての使用以外は2世帯しか住んでいなかったが、商業施設などが入る地上15階、地下2階建ての最新マンションに生まれ変わる。建て替えは63年ぶりで2019年に完成する予定。 

 

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依田一義の不動産開発情報⑤

オフィス仲介大手の三鬼商事が10日、1月末時点での都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィス平均空室率を発表。それによれば、空室率は前月比0.02ポイント低下して4.01%であり、これで9ヶ月連続の低下となった。

 

大型成約があった一方で、大型解約もあったことが影響して改善幅が小幅となったが、東京都心のオフィスの不足感は強まりをみせている。景気の先行きに対して不安感を示す向きはあるものの、今後の業務内容拡大にそなえてオフィスを移転・増床する動きも多い。3.3平方メートルあたりの平均賃料は同0.55%上昇して1万7790円であり、前月よりも98円上がった。こうして前月を上回るのはこれで25ヶ月連続のこととなる。平均募集賃料は前年同月よりも4%上昇している。こうした状況に関して三鬼商事は、2月は大型新規ビルの供給がないため、空室率の改善傾向は続くのではないかとの見通しを示している。ただし、2016年はオフィス供給量が増加するものの、需給のバランスは大きく崩れないのではないかとの見方がなされている。

 

そして東京以外の都市でも、オフィス平均空室率は低下している。大阪のオフィス平均空室率は同0.18ポイント低下の7.27%。1月はビジネス地区以外からの移転などにより、大型空室の一部に成約が進んだほか、中小規模の成約の動きも活発だった。解約の動きが小規模に止まったこともあり、全体の空室面積が約4000坪減少した。

 

名古屋は同0.16ポイント低下して7.18%。1月は新築ビルへの移転にともなう大型解約の動きがあったものの、分室の開設や館内増床などにともなう成約の動きが活発にみられたことや、10月に竣工した「大名古屋ビルヂング」に成約が進み、同ビルが満室稼働となったことが改善に大きく影響した。

 

こうして大阪、名古屋ともに東京と同様にオフィス空室率は低下となったが、3.3平方メートルあたりの平均賃料の上昇は、東京と比べると鈍い。大阪は同3%低下の1万1111円であり、名古屋は同2%増の1万796円となっている。

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依田一義の不動産開発情報③

国土交通省によると、2015年の新設住宅着工戸数は909299戸で、前年比1.9%増となった。

前年は5年ぶりに減少したが、再び増加。持家が減少したものの、貸家と分譲住宅が増加したことが持ち直しの要因だ。

内訳は持家が283366(前年比0.7%)、貸家が378718(4.6%)、分譲マンションが115652(4.7%)、分譲戸建てが123624(1.4%)

 

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依田一義の不動産開発情報②

不動産経済研究所の調査によると、1月の首都圏における新築分譲マンションの供給戸数は1494(前年比11.0%)で、2カ月連続して前年を下回った。

前月に同研究所が予測した数値とほぼ同水準だった。

初月契約率は58.6%で、前年を16.3ポイント下回った。好不調の目安となる70%ラインを大幅に下回る結果で、50%台の低水準は20087月以来のこと。同研究所では、「価格の高止まり」を要因に挙げている。

 

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依田一義の不動産開発情報

(株)東京カンテイは15日、20161月の三大都市圏の分譲マンション賃料月別推移を発表した。

同月の首都圏分譲マンションの1平方メートル当たりの平均賃料は2,567円(前月比2.3%下落)。5ヵ月ぶりに2,600円を割り込んだ。

都県別では、単価の高い東京都が3,128円(同1.2%下落)と弱含みで推移。一方、神奈川県は1,997円(同0.4%上昇)、埼玉県1,600円(同1.5%上昇)、  千葉県1,568円(同2.3%上昇)となった。

また、近畿圏の平均賃料は1,784円(同0.2%下落)と1,700円台で推移。中部圏は1,574円(同0.3%上昇)と3ヵ月連続の上昇となった。

 

 

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マーケット情報

2/01  1月のOPEC加盟国の原油生産量が日量3260万バレル(昨年123231万バレル)と過去最高を更新。

欧米による経済制裁の解除を受けたイランとサウジやイラクも増産。($31.62)

2/02  中国国家統計局発表の1月製造業購買担当者景況指数は(PMI)は3年ぶりの低水準。($29.88)

2/03  外国為替市場では(低調な米経済指標を受けて)ドル安が急ピッチで進行。ドル建てで取引される原油に割安感が生じ反発。($32.28)   

2/04  ($31.72)

2/05  1月の雇用統計は非農業部門就業者数が前月比151000人増と前月から伸びが鈍化し、市場予想(ロイター通信調べ)の19万人増も下回った。

米景気の先行き懸念。($30.89)

 

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仲介手数料を節約?「貸主物件」とは

このレシピを実行して86400円※貯まる!

 

【材料】

・賃貸契約時の仲介手数料

 

Point

①賃貸物件の取引態様は媒介・代理・貸主の3種類

②仲介手数料は最大で家賃1ヵ月分+消費税と規定されている

③不動産会社が貸主なら仲介手数料は不要

 

※例 家賃8万円の場合 賃貸契約の際、不動産会社が貸主の場合は、仲介手数料は不要

 

■不動産会社の取引態様を確認

 

賃貸をする際の入居時費用は少しでも抑えたいですよね。入居時の費用で大きいのが敷金、礼金、そして仲介手数料です。

仲介手数料は、成約時に不動産会社に支払う手数料のことです。今回はこの仲介手数料についてみていきましょう。

ところで、不動産を賃貸する際、不動産会社の取引態様を確認していますか?取引態様とは、その不動産取引において不動産会社がどのような立場なのかを示すものです。

媒介(仲介ともいう)・代理・貸主の3つの種類があり、法的規制などが異なります。不動産会社は取引ごとに取引態様を明示しなければならず、日々目にする不動産の広告などにも必ず明記されています。実はこの取引態様が仲介手数料に大きく関わってくるのです。

 

まずは、各取引態様の内容をみていきましょう。

 

媒介とは、不動産会社が物件の貸主(大家さん)と借主(入居者)の間に入り、物件の紹介や契約などを行う形態で、最も一般的な取引態様です。

 

代理とは、貸主から代理人として物件を預り、契約などを代行する形態をいいますが、こちらは件数としてはかなり少ないようです。

 

そして、貸主とは、物件の所有者と直接契約を行う形態をいいます。不動産会社が貸主ということは、その物件を不動産会社自身が所有しているということになり、契約は直接大家さんである不動産会社と結ぶことになります。

 

■仲介手数料がかからないのは…

 

さて、このなかで仲介手数料が一切かからないお得な取引態様はどれでしょうか?

 

それは不動産会社が貸主の場合です。通常、媒介や代理の場合は仲介手数料がかかり、国土交通省の告示では、

仲介手数料は最大で家賃1ヵ月分の1.08(家賃1ヵ月分+消費税)以内と定められています。つまり、家賃8万円の物件の場合、

仲介手数料は最大86400円かかることになります。

しかし、不動産会社が貸主の場合はそもそも仲介する者がいないので、仲介手数料はかかりません。

媒介に比べて、不動産会社が貸主であるケースに出会うチャンスは少ないですが、もしも出会ったらラッキーというわけです。

賃貸物件を探すときに、不動産会社が貸主である物件をさがすというのも、入居時費用を節約する一つのポイントといえるでしょう。

 

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マイナス金利、業界に〝追い風〟吹くか 日銀・金融緩和策 ローン金利、更に低水準へ

日本銀行が発表した「マイナス金利」の追加金融緩和策が、不動産業界に〝追い風〟をもたらすか注目されている。

業界が「有力な融資先」として金融機関に選別されることが予想され、また、住宅ローン金利の引き下げも想定されるからだ。

今回のマイナス金利は、需要側(一般消費者)、供給側(事業者)双方への好材料となりそうな気配だが、今後の動向などについて専門家らに話を聞いた。

129日の日銀によるマイナス金利導入発表後、その日のうちに不動産関連株は値上がりを見せ、東証リート指数は21日以降、1800ポイント台の水準となっている。

不動産業界への好気配を市場が即座にキャッチした格好だ。

その後、株価は全体的に乱高下を繰り返している状況だが、今回の「マイナス金利」が不動産業界へ好影響を及ぼすのではないかと指摘されている要因は、

業界特有の「レバレッジ効果」だ。特にディベロップメント事業においては、資金の借り入れによりその効果が何倍にも引き上がる効果があるため、

金融機関にとっては有力な融資先となり、業界にとっても低金利の資金調達によりこれまで以上のレバレッジ効果が期待できることとなる。

その好循環で更に業界へと資金が流れることになり、これはJリートの世界でも同様だ。

 

専門家の見方は冷静

 

ただ、専門家は比較的冷静な見方をしている。マクロ経済が専門の富士通総研・米山秀隆上席主任研究員は、

「有望な新規開発案件が残っていれば融資先としての可能性はある。ただ、オリンピックまでの開発案件の多くは既に仕入れが終わっている状況だ。

資材や用地取得価格が高止まりの中、新プロジェクトを考える事業者、そして金融機関にとって魅力的な開発と映る事案が出てくるかどうかは不透明」と話す。

ただ、融資先を模索する金融機関にとっては、不動産業界は一つの大きな選択肢であることに変わりはなく、更に住宅ローン金利が引き下げ方向に向かうことは

「一般消費者の住宅取得能力が上がることになる」(米山氏)ため、業界にとっては好材料となる。マンション動向に詳しい不動産経済研究所の松田忠司企画調査部主任研究員は、

「マンション業界に資金が流れれば用地取得も積極化し、近年敬遠され気味だった郊外エリアでの供給が増える可能性もある」と指摘する。

そして、「消費増税を前にしたこのタイミングで、住宅ローン金利が下がる傾向になることは一般消費者の大きなメリットになる」としている。

今回のマイナス金利政策は、一般消費者にとっては「住宅ローン金利の引き下げ期待」といった形で表れる。

金融機関が住宅ローン金利を決める際の一つの大きな指標となる「10年国債利回り」が低下するためだ。

129日には金融機関などによる国債購入の買い優勢の影響で価格が上昇し、金利は0.095%となり史上初の0.1%台を割り込む結果となった。

住宅ローンの金利はこれまでも「史上空前の低金利」とされてきたが、国債利回りがこれまで以上に低水準となることから、住宅ローンは更なる低金利のステージへと入ることが予想される。

 

10年固定は1.05%

 

 21日の住宅金融支援機構の発表では、長期固定型住宅ローン「フラット35」の2月適用金利(融資率9割以下)を前月比0.06%下回る1.48%とした。

また、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行は、主力の10年固定型住宅ローンの金利(最低水準)1.05%とした。

みずほ銀行を除く3行が1月と比べて0.05ポイント引き下げたが、日銀の今回の発表が129()の月末午後だったことを考えると、

2月の各金融機関の住宅ローン金利にはまだまだ反映されていないことが予想される。3月以降は更なる引き下げも期待されるところだ。

 

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