依田一義のエネルギー情報142

来年4月から始まるガス販売の完全自由化に向け、関西電力が、LPガス小売り大手の岩谷産業など5社と業務提携することが分かりました。

来年4月に自由化される、家庭向けの都市ガス販売事業への参入を決めている関西電力は、LPガスの国内販売トップシェアを誇る岩谷産業と業務提携を行うと発表しました。

関西電力は、ガス機器の保守管理など、岩谷産業が持つ専門的なノウハウを生かす狙いです。

【関西電力・岩根茂樹社長】
「我々、顧客基盤を非常に有していると思ってますので、我々自身が非常にチャレンジし甲斐のある分野だと思っています」

関西電力は通信大手のKDDIなど4社とも提携することを決めていて、ガスと電気のセット販売などで自由化初年度は20万件の契約を目指すとしています。

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依田一義のエネルギー情報141

中部電力は13日、2017年4月から家庭向けのガス販売に参入するため、経済産業相へガス小売り事業の登録申請をしたと発表した。申請は関西電力、東京電力エナジーパートナーに次いで3社目。年内にも料金プランを策定し、電気と都市ガスの「セット割引」を提供する。来年1月から予約を受け付ける。

今年4月に始まった電力の小売り全面自由化で、東邦ガスなどに顧客を奪われており巻き返しを図る。家庭向けのガス販売は、まず東邦ガス管内で始める。首都圏での販売も今後検討する。21年度に20万件の顧客獲得を目指す。

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依田一義のエネルギー情報140

外食大手ワタミの100%子会社であるワタミファーム&エナジー(以下、ワタミF&E)は、パワーシェアリング(以下、PS社)と共同で、バーチャルパワープラント実証事業(VPP実証事業)を開始した。同社の宅配サービス「ワタミの宅食」の営業所に蓄電池を設置し、需給調整の実験を行っている。今後は、ワタミグループの事業拠点はじめ、電気の供給先となる拠点に蓄電池の設置を拡大し、「VPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)」の構築を目指す。

FITの開始以降、再生可能エネルギーの導入が進んでいる。一方、気象条件などで発電量が変動する再生可能エネルギーを、いかに安定供給し、有効に活用していくかが喫緊の課題となっている。こうした中、複数の小規模な分散電源や電力の需要抑制を統合することによって、あたかも1つの発電所のように制御を行うことのできるVPPに注目が集まっており、国内でも多くの実証試験が始まっている。

今回、ワタミF&Eが取り組むVPP実証事業は、同社が小売電気事業者として電気を供給している「ワタミの宅食」の営業所に、PS社が蓄電池を設置。インターネットを利用した遠隔制御により蓄電・放電管理を行うというもの。再生可能エネルギーの発電状況に合わせて、蓄電・放電するとともに、昼夜の電力購入タイミングを動かす(ピークシフト)ことで電気料金の低減を狙う。

このVPP実証事業を通し、ワタミF&EはPS社と共同で蓄電池の需給管理のノウハウを蓄積し、今後は電気の供給先となる拠点に蓄電池の設置を拡大させていく計画だ。これにより、再生可能エネルギーの効率的な供給および消費を促すとともに、既存の送配電システムでも欧米のように再生可能エネルギー(FIT電気)比率を高められると見込んでいる。

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依田一義のエネルギー情報139

政府は7日、福島市で官民会合を開き、新たなエネルギー産業を育成し、モデル拠点とする「福島新エネ社会構想」をとりまとめた。構想には風力発電の送電網の増強や、再生可能エネルギーを使った大規模な水素製造などが盛り込まれた。会合は年1回程度で継続され、福島の復興を後押しする。

会合には各省庁や県、民間企業の担当者が出席し、官民連携の重要性を再確認。高木陽介経済産業副大臣は「復旧や住民の帰還はマイナスからゼロにすること。新エネルギーでプラスにしていく。福島から新しい流れを起こし、『福島は元気だ』といわれるように一丸となる」と述べた。

構想では、再生可能エネルギーの導入拡大のため、阿武隈山地と沿岸部の風力発電の送電網を増強。風力・太陽光発電事業者、東京電力、東北電力が送電施設を運営する事業体を新たに設立する。来年度中に設計を終え、増強工事に着手する計画。

また、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、世界最大の1万キロワット級の再生可能エネルギーを用いた大規模な水素製造を実現。輸送、貯蔵技術を組み合わせた利用システムを確立し、福島でつくられた水素を東京五輪で活用するとした。事業を具体化するため、今年度中に有識者や民間企業などでつくる検討会を設置する。

政府は来年度の概算要求には省庁にまたがる総額754億円の関連予算を盛り込んだ。このうち、次世代の水素輸送、貯蔵技術など水素供給網を構築する実証に55億円が充てられるなど、水素エネルギー関連に194億円。風力発電施設の送電網を増強に100億円など、再生可能エネルギー導入拡大には464億円が計上されている。

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依田一義のエネルギー情報138

NTNは2016年9月6日、福島県須川市で同年6月から実施している小水力発電機の実証試験の様子を公開した。同社では新規事業の一環として、日本の各地に広がる農業・工業用水路に設置しやすい小型の小水力発電機の開発を進めている。須川市での実証試験は間もなく終了し、同年12月から販売を開始する予定だ。
実証試験の場所は、須川市にある「新安積疏水(しんあさかそすい)」。日本三大疎水の1つである「安積疏水」から、新たな開拓地に水を引く幹線水路として1951年に開通した水路だ。

今回の実証試験では普段農業用水路として利用されている部分に、約100m(メートル)にわたって10台小水力発電機を直列に設置した。実施については政府や自治体への申請の他、水路を管理する安積疏水土地改良区、周辺の農業従事者の協力を得た。

NTNが開発を進めている小水力発電機は流水でプロペラを回し、それと連動する発電機で発電するというシンプルな構成だ。翼径は60/90/120cm(センチメートル)の3種類を用意する。発電出力の参考値は翼径90cmのモデルで流速が2m/s(メートル秒)の場合で1.0kW(キロワット)。販売時は翼径の種類の他、発電機のグレードなどのカスタムも可能としている。

1台1時間、合計3人で設置可能

NTNが同社の小水力発電機の大きなメリットの1つとするのが、設置コストの低さだ。小水力発電機の重量は130~150kg(キログラム)。移動式クレーン車1台と3人の作業者のみで、1台当たり1時間程度で設置できるという。

設置手順は以下の通り。まず発電機とプロペラ水車を支える2本を梁(はり)を、水路をまたぐように取り付ける。この梁は水路左右の基礎部分を挟むようにして固定する仕組みで、水路に対して何か工事を加える必要はない。

梁を設置した後は、移動式クレーン車で発電機とプロペラ水車の部分をつるし、梁の上に置くだけ。設置のために一時的に用水路の水流をせき止める必要もない。

用水路で小水力発電を行う場合、水路をせき止めて水位の落差を作り、水が落ちるエネルギーを使って発電する方式もある。こうした方法の場合、設置にある程度の工事費用が掛かる。NTNの開発する小水力発電機は、こうした落差形成のためのコストが必要ない。規模によって異なるが、人件費などを含め5~10万円程度で設置できるという。

小水力発電機を設置できる水路の幅と水深は、翼径+10cmが目安になるとしている。翼径が60cmであれば、70cmの幅と水深を持つ水路であれば設置できる。販売する際は、設置する水路の幅に梁の長さを合わせ製作し、提供する。なお、設置後の日々のメンテナンスは不要だという。また、水車の回転を阻害しないよう水路内のゴミをろ過する除塵スクリーンもオプション製品として用意する。

さらなる直列設置を可能に

小水力発電機は複数台を水路に直列に並べて設置することで、全体の出力や発電量を増やすことができる。しかし、流れの上流にある水車が回転すると、下流によどみが生まれる。このよどみによって、下流の水車の回転効率が落ちると、全体の発電効率が下がってしまう。そこでNTNでは実証試験の中で、なるべくよどみが生まれない水車の形状と、最適な水車と水車の距離も検証した。

まず、水車の形状ではギアボックス部分に砲弾型のカバーを採用した。これにより水車の後方に生まれる水のよどみやうねりを少なくできるという。

実証試験では水車と水車を10メートル間隔で設置していた。しかし実証を続ける中で、こうした砲弾型のカバーの採用などにより、実際には数m程距離を縮めても問題ないことが分かってきたという。設置できる間隔が短くなれば、水路長に対してより多くの小水力発電機を設置できる。NTNでは2016年12月の販売に向け、今後もギアボックス部分の形状などの改良を続けていくとしている。

1日1世帯分の電力を発電

では一体どれくらいの電力を発電できるのか。3カ月にわたる実証試験の結果、翼径60cmの水車では1日当たり4.3kWh(キロワット時)、同90cmの水車では1日当たり12.0kWhを発電できることが分かった。90cm水車であれば、1日当たり約1世帯分以上の使用電力量を発電できる計算だ。これはNTNが事前にシミュレーションしていた通りの性能だという。

ターゲットはエネルギーの地産地消

小水力発電機は系統接続し、再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)を利用して発電した電力を売電することも可能だ。2016年度の小水力発電の買取価格は1kWh当たり税別34円。今回の新安積疎水の実証試験のデータに基づいて簡単に試算すると、90cm水車の場合は1日当たり408円、1カ月当たり約1万2000円、年間14~15万円程度の売電収入になる。

NTNではより効率を高めるべく改良を続けた上で、小水力発電機を1台当たり130〜150万円程度で販売する予定だ。売電用途での利用も可能だが、NTNが主な用途として想定しているはエネルギーの地産地消だ。

NTN 執行役員 新エネルギー商品事業部 事業部長の石川浩二氏は「日本には約40万kmの用水路があるといわれているが、その多くはまだ活用されておらず、再生可能エネルギー源として大きなポテンシャルがある。また、既にある用水路を使い、小水力発電機を独立電源として活用したいというニーズはあると考えている。販売前だが既に複数の引き合いがある」と語った。

このように独立電源として利用して利用するケースを想定し、パートナー企業と提携し蓄電池をセットにした提案も検討する方針だ。また、農業用水路だけでなく、工業用水や排水路、下水道などでの利用も提案していくとしている。

NTNは2018年度までの中期経営計画において、新規事業の創出を掲げている。その1つがエネルギー事業だ。今回開発した小水力発電機は2016年7月に販売を開始した風力と太陽光で発電する「ハイブリッド街路灯」に続く、第2弾の製品となる。小水力発電機は2025年までに売上高50億円を目指す方針だ。また、2017年春をめどに、再び新安積疎水で小水力発電機の実証試験を再開する予定で、今後も製品改良を続けるとしている。

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依田一義のエネルギー情報137

産業技術総合研究所(産総研)が新しい太陽電池モジュールを開発した目的は、太陽電池の安全性と信頼性を向上させながら、設置できる場所を広げることにある。そのために燃えにくくて、割れない、しかも軽量で簡単に設置できることを目指した。

工夫した点は太陽電池モジュールを構成する部材だ。市販の太陽電池モジュールは結晶シリコン(Si)の上に半導体を作って発電する方式が主流になっている。従来は合成樹脂のEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)を封止材に使って太陽電池を保護したうえで、表面を強化ガラスでカバーする構造が一般的である。

これに対して新開発のモジュールは封止材に耐久性のあるシリコーンゴムのシートを採用した。信越化学工業が太陽電池モジュール用に開発したもので、太陽電池の素材になるシリコンを化学反応させてシリコーンを製造する。シリコーンはゴムに近い性質があるため、柔軟で燃えにくいことが特徴だ。ただしEVAと比べて製造コストが高い難点がある。

産総研と信越化学工業は太陽電池モジュール全体のコストと重量を抑えるために、外側のアルミフレームで太陽電池を固定する方法に代えて、アルミ合金板を裏面の素材に使って太陽電池を固定する方法を採用した。封止材に耐久性の高いシリコーンを使うことで、モジュールの表面も厚いガラスではなくて薄い高分子フィルムに置き換えた。試作したモジュールは同じサイズの従来型と比べて重さが約2分の1に軽くなった。

鋼球を落としてもシリコーンが衝撃を吸収

封止材のシリコーンや表面材の高分子フィルムは燃えにくいため、裏面材のアルミ合金と組み合わせてモジュール全体の難燃性を高めることができる。木製の火種を使って建築基準法に基づく燃焼・飛び火試験を実施したところ、従来型のモジュールと比べて新開発のモジュールは火種の影響が小さかった。

従来型のモジュールでは表面のガラスが割れたほか、EVAによる封止材や裏面のバックシートまで燃焼した。一方の新モジュールは火種の灰などが表面に付着した程度で、シリコーンの封止材、高分子フィルムの表面材、アルミ合金の裏面材に大きな変化は生じなかった。

さらに衝撃に対する強度を調べる鋼球落下試験も実施した。重さが225グラムの鋼球を高さ1メートルからモジュールの表面に3回落下させて、太陽電池の出力を測定する試験だ。従来型のモジュールは太陽電池を構成するセルの一部が割れて、出力は87%まで低下した。

新モジュールには破損がほとんどなく、出力も99%で影響は小さかった。シリコーン封止材が鋼球落下の衝撃をやわらげる効果があったと産総研では評価している。太陽電池モジュールの破損状態を評価するために、外部から電流を加えてセルの発光状態を観測するエレクトロルミネセンスの画像を比較しても両者の違いが明確に出た。

このほかに荷重試験や高温・高圧試験(温度85℃、湿度85%)を実施した結果、新モジュールは88キログラムの荷重に耐えられる強度があり、3000時間にわたる高温・高圧状態でも出力が低下しなかった。今後さらに信頼性を評価する各種の試験を続けながら、モジュールの構造や部材の最適化を進める予定だ。

軽量で難燃性と耐衝撃性が高いことから、電気自動車の屋根に搭載する太陽電池モジュールや、住宅の建材と一体型になった太陽電池モジュールの製品化を想定している。

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依田一義のエネルギー情報136

太平洋に面した仙台港の近くに、宮城県が運営する「仙塩(せんしお)浄化センター」がある。1978年に稼働した県内で最大の処理能力がある浄化センターで、1日に20万立方メートルにのぼる下水を処理している。

大量の下水を処理する工程で生まれるバイオガス(消化ガス)はセンター内の施設で燃料に利用しても余るため、従来は焼却してきた。この余剰バイオガスを使って新たに発電事業を開始する計画だ。公募で選ばれた新潟県の大原鉄工所がバイオガス発電設備を建設・運営する。大原鉄工所は新潟市の浄化センターなどにバイオガス発電設備を導入した実績がある。

仙塩浄化センターでは1台あたり50kW(キロワット)の発電能力がある発電機7台を導入する。合計で350kWになり、年間の発電量は144万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間300kWh)に換算して400世帯分に相当する。2016年11月から設計・建設に着手して、2018年度内に運転を開始する予定だ。

発電した電力は固定価格買取制度を通じて売電する。バイオガス(メタン発酵ガス)による電力の買取価格は1kWhあたり39円(税抜き)に設定されていて、年間に5600万円の売電収入を得られる見通しだ。買取期間の20年間の累計では11億円を超える。

このうち宮城県はバイオガスを発電事業者に提供して約2億円の収入を想定している。従来は単に焼やして処分していたバイオガスが再生可能エネルギーに生まれ変わり、自治体に新たな収入をもたらしてくれる。

下水バイオガスから水素を製造する試みも

仙塩浄化センターには仙台市をはじめ、周辺の市と町を含めて6つの自治体から下水が送られてくる。下水は水と汚泥に分けたうえで、水は塩素で殺菌して海や川に放流する一方、汚泥は発酵させて容量を減らしてから焼却する方法が一般的だ。この過程で発酵に伴って大量のバイオガスが発生する。

仙塩浄化センターでは年間に245万立方メートルのバイオガスが発生する。そのうち7割を汚泥の焼却炉などの燃料に利用している。余った3割(約80万立方メートル)のバイオガスを発電用に供給する計画だ。

宮城県は県内7カ所で浄化センターを運営している。バイオガス発電を実施するのは仙塩浄化センターが初めてで、今後は他の浄化センターにも広げていく可能性がある。その一方でバイオガスから水素を製造することにも取り組んでいく。

国土交通省が推進する下水の汚泥から水素を製造する実証プロジェクトの一環で、7カ所の浄化センターを対象に実現可能性を調査する。燃料電池を利用した発電事業や水素ステーションを併設して燃料電池自動車に水素を供給する事業の採算性についても検証する予定だ。

すでに福岡市の「中部水処理センター」では国土交通省の実証プロジェクトの第1号として、下水バイオガスから水素を製造して燃料電池自動車に供給する設備が2015年11月に稼働している。生物由来のバイオガスから作った水素は製造段階と利用段階を通して二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンなエネルギーになる

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依田一義のエネルギー情報135

フランスの大手化粧品会社ロレアルグループの日本法人である日本ロレアルは、2016年9月1日から国内の事業所で使用するエネルギーを、日本自然エネルギーが発行するグリーン電力証書を使用して再生可能エネルギーで発電した電力に切り替える。

切り替えるのは日本ロレアル本社(東京都新宿区)、製造工場を運営するコスメロール(静岡県御殿場市)、日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター(神奈川県川崎市)の3カ所。年間の消費電力約600万kWhを、石巻合板工業が宮城県石巻市でバイオマス発電所から調達する。化粧品業界でのグリーン電力への全面切り替えとしては、国内最大規模になるとしている。

ロレアルグループは、グローバル目標として2020年までにCO2排出量、水消費量、廃棄物発生量を2005年比でそれぞれ60%削減するという目標を掲げている。今回の日本ロレアルのグリーン電力証書の活用も、こうした取り組みの一環となる。

日本ロレアルでは2010年からコスメロールの製造工場で、グリーン電力証書を活用してきた。同工場は既に2015年に2005年比でCO2排出量を70%、水消費量67%削減し、グローバル目標を達成している。今回、他の事業所も含めて全ての電力をバイオマス発電によるグリーン電力に切り替えることで、さらなる環境負荷の低減を図る狙いだ。

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依田一義のエネルギー情報134

アサヒ飲料は北陸工場(富山県入善町)で使用している液化石油ガス(LPG)燃料を、2017年1月に全量、都市ガスに切り替える。都市ガスの原料とされる天然ガスは、他の化石燃料と比べ燃焼時に二酸化炭素(CO2)や窒素化合物(NOx)などの発生量が少なく、環境にやさしいエネルギーとされており、都市ガスへの転換で環境に配慮する。

同社によると、都市ガスへの転換で、同工場のCO2排出量は年間600トン削減できるという。

同社は明石工場(兵庫県明石市)など他の工場でも都市ガスや液化天然ガス(LNG)への切り替えを進めており、北陸工場で全7工場の使用燃料が全て天然ガスとなる。

北陸工場は缶コーヒー「ワンダ」などの清涼飲料水を生産し、生産能力は年間1600万ケース。現在、北陸工場内で使用しているLPG燃料は液体のため、貯蔵タンクや気化器、受け入れ用コンプレッサーといった設備が必要で、維持管理費といったコストがかかるうえ、法定検査など手間がかかる。

燃料転換に伴う設備投資額は約7700万円を見込むが、コスト削減効果は年間1600万円に達するという。

北陸地方では13年12月から国際石油開発帝石の直江津LNG基地(新潟県上越市)の運用が始まり、富山市へ延びるパイプライン「富山ライン」が北陸工場の近くを通ることが決まったことから、都市ガスへの切り替えを決めた。

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依田一義のエネルギー情報133

バイオマス発電の開発助言会社、新エネルギー開発(群馬県沼田市)は25日、パームヤシを使った新しいバイオマス燃料を開発したと発表した。食用油の原料になる果実を採った後の、残りの房を炭化技術で固形燃料に加工。世界初という。

新燃料は水に強くて輸送しやすく、燃焼効率も一般的な木質系よりも2割以上高い。2018年から主に東南アジアで生産し、国内バイオマス発電所向けに販売する。

新燃料は、米国で燃料関連の研究開発を手掛けるHM3エナジー(オレゴン州)と共同開発した。パームヤシは油分が多い果実のほかに、果実の殻がバイオマス燃料として使われているが、残りの房は燃料には適さないとされ、廃棄されることが多かった。

それを、HM3エナジーが持つ木材の炭化技術を活用し、「半炭化」処理を施すことで、固形燃料化に成功した。パームヤシの果実の殻は需要増で価格が上昇傾向にあり、房であれば、調達コストを低減できる可能性があるという。

国内ではバイオマス発電の普及で燃料調達が課題になっている。北米でも生産を始め、20年に年20万トンの生産体制を整備する。

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