依田一義の国際情勢情報39

日本政府は8日夜(現地時間同日午前)、ニューヨークの国連本部に、2020年以降の地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の受諾書を提出、批准手続きが完了した。

協定は、「55カ国以上が批准し、批准国の温室効果ガス排出量が世界の55%以上になる」という発効条件を満たし、4日に発効している。

パリ協定は、昨年末に開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された。産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑える目標を掲げる。先進国のみに温室ガス削減を義務付けた20年までの枠組み「京都議定書」と違い、途上国を含む全ての条約加盟国が削減に取り組む。

9~10月に温室ガスの主要排出国の米中やインドが相次ぎ批准。国連代表部によると、日本は103番目の批准となる。日本は環太平洋連携協定(TPP)をめぐる与野党対立の影響を受け、国会での手続きが遅れた。

衆院本会議は8日、協定の承認案を全会一致で可決したが、モロッコでのCOP22期間中に開かれる協定のルール作りを話し合う会合の正式参加期限(10月19日)に間に合わなかった。会合には議決権のないオブザーバー参加となる。

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依田一義の経済情報47

地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の承認案が28日午前、参院本会議で全会一致で可決された。

承認案は参院先議で、同日午後に衆院に送付され、衆院本会議で審議入りした。

パリ協定は、批准した国が2020年以降の温室効果ガスの自主的な削減目標を示し、産業革命前からの世界平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることを目標に掲げる。

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依田一義の国際情勢情報④

「パリ協定」の11月4日発効が決定し、日本の出遅れが鮮明になっている。11月の第1回締約国会議(CMA1)では日本を含む未批准国は決定権を持たないオブザーバー参加のため、地球温暖化をめぐる国際交渉での発言力低下は避けられない。発展途上国への資金支援など、協定をめぐる具体的なルール作りが本格化する中、日本は不利な立場に立つことになる。

「(早期発効の)意思がなかったと言わざるを得ない」

世界自然保護基金(WWF)ジャパンは6日の声明で、パリ協定をめぐる日本政府の対応を批判した。

主要排出国が相次いで批准を決める中、日本は国会日程の調整が遅れ、発効決定までに締結できなかった。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議長国として首脳宣言で年内発効を目指す方針を盛り込むなど、「日本は温暖化対策のリーダー」(山本公一環境相)と胸を張っていただけに、関係者の落胆は大きい。

CMA1は、COP22の最終日から30日前の今月19日までに批准した国のみが正式メンバーになれる。日本はオブザーバー参加予定のため、NGO(非政府組織)と大差ない扱いだ。

CMA1ではパリ協定の詳細ルールをいつまでに決めるか検討する。名古屋大大学院の高村ゆかり教授は「交渉のスピード感を左右する重要な会合。(オブザーバー参加の)日本の発言は重みを持たない」と述べ、不利な方針が決まることに懸念を示した。

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