依田一義の経済情報38

日銀は平成29年度中としてきた2%の物価上昇目標の達成時期を先送りする検討に入った。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は21日、衆院財務金融委員会で「(達成時期の)修正もあり得ると思っている」と述べ、30年度以降にずれ込む可能性を示唆した。31日から開く金融政策決定会合で議論する。

また、黒田総裁は適正な金利水準について「すぐに変更があると考えることは難しい」とも述べ、追加緩和を見送る考えも示した。

達成時期の先送りは、個人消費の低迷などで物価上昇率が日銀の想定を下回っているためだ。日銀は時期を「30年度中」もしくは「早期に」とし、事実上の中長期目標に変更する可能性がある。黒田総裁が公式に物価目標修正を示唆したのは初めて。延期を決めれば、30年4月までの総裁任期中の達成はかなわなくなる。

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