依田一義の経済情報31

中国税関総署が公表した9月の中国の輸出は、前年同月比10.0%減と、市場予想の3.0%減を大幅に下回った。

9月の輸入は1.9%減。市場予想の1.0%増に反し、減少した。前月の輸入は1.5%増と、約2年ぶりに増加に転じていた。

9月の貿易収支は419億9000万ドルの黒字。市場予想は530億ドルの黒字だった。

1─9月の輸出は前年比7.5%減、輸入は8.2%減。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報30

日新電機は、下水処理場を省電力化するシステムの事業化に乗り出した。センサーで、赤潮の原因となる窒素化合物の減少量を計測し、浄化装置の稼働を効率化して電気使用量を低減する。第1号案件をこのほど納入。来年度は売上高5千万円に事業拡大を図る。
新システムでは、下水処理層の出入口付近にアンモニア態窒素の量を測るセンサーをそれぞれ設置。監視制御装置で双方の量を比べて窒素の減り具合を確認しながら、処理用の送風機に必要な電力量を最適化して省エネを図る。送風機の電力量を10~15%削減し、年間600万円の経費を抑制できるという。
すでに、大和市北部浄化センター(神奈川県)に1820万円で初納入した。来年度は国内の処理場で2~3件の納入を見込む。
競合会社には日立製作所などがあるが、日新電機環境事業本部は「施設に応じた省エネ技術で独自性を出し、納入件数を増やしたい」としている。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報29

パナソニックと仏シュナイダーエレクトリックは2016年10月11日、HVAC(暖房、換気および空調)設備やビルマネジメントシステムの開発・営業に関し、戦略的提携を行うと発表した。

パナソニックのVRF(ビル用マルチエアコン)が無線通信規格「ZigBee」経由でシュナイダーエレクトリックのビルマネジメントおよびルームコントローラーに直接通信できるようにし、高度なワイヤレスソリューションを提供することが可能となるという。ビルオーナーやビル管理者はHVACや照明、セキュリティ、配電などのビルに関するさまざまな基幹システムを1つのインタフェースで常時把握できるようになる。

今回の提携に関してパナソニック役員兼エアコンカンパニー社長の高木俊幸氏は「当社は業務用および住宅用空調に重点的に投資し、客のニーズに全力で応えてきた。今回の提携を通じてビルエネルギーマネジメントにさらなるベネフィットを提供できるようになる。ビルマネジメントに最先端のVRF技術を組み合わせることで、客の初期投資と運用コストの削減や次世代のサスティナビリティをサポートできるようになる」とコメントしている。

シュナイダーエレクトリックエコビルディング部門担当上級副社長のローラン・バタイユ氏は「今回の提携により、デバイスからクラウド、ビルの種類・サイズを・築年数を問わない、完全なビルマネジメントを提供することができる。この強力なデジタルバックボーンはビル環境の一層の可視化を実現するとともに、ビルに未来をもたらす重要な要素だ」と述べた。なお、提携はグローバルで行うが日本は除くとしている。

両社の共同ソリューションの特徴は無線と優先のどちらでも導入が可能なところにある。無線では既存のインフラをそのまま利用でき、既築のビルを改良する場合に用いやすい。一方、有線は高度なプラグアンドプレイ技術の優位性をフル活用し、広範囲にわたるVRFシステムを簡略化することや、スタンドアロンでの導入も可能だ。導入も容易でSI(システムインテグレーター)の作業時間やコストを削減できる。

パナソニックのVRFシステムはインバーター技術に強みを持ち、これによりエネルギー効率を高めることでSEER(欧州季節エネルギー効率比)の達成に貢献するなど、商業ビルでの普及が進んでいるという。また、最低マイナス25度から最高52度までの過酷な環境下でも運転できる冷暖房性能を備えている。

シュナイダーエレクトリックはエネルギーマネジメントとオートメーションの世界的大手企業。グループ全体の従業員数は16万人で、2015年の売上高は270億ユーロに達する。同社のビルマネジメントソリューション「SmartStruxure」はハードウェア、ソフトウェア、エンジニアリング、導入、サービスをビルのライフサイクルに合わせてカスタマイズすることで、効果的なエネルギー管理が可能。効率の最大化と運用コストの削減を実現する。このソリューションはさまざまな情報から実行可能な解決策をリアルタイムで提供するため、ビル管理者はエネルギーマネジメント最適化のための効率的な判断ができるとしている。さらに同社のSE8000シリーズルームコントローラーを組み込むことで、サーモスタット/温度センサーとの組み合わせが可能となり、HVACシステムのエネルギー使用量を最適化することで運転コストの削減に貢献する。

競争が加熱するビル空調市場

パナソニックの空調(エアコン)事業の2015年度売り上げは4654億円。同社はこれを2018年度に6500億円~7000億円近くまで引き上げる方針だ。同社の場合、国内市場などで高いシェアを誇るルームエアコンが売り上げ全体の4分の3を占めており、今後売り上げを伸ばすためにも業務用(大型空調)の強化が大きな課題となっている。またグローバルで通用する空調事業体の実現も目指しており、今回の提携はその一環とみられる。

パナソニックの見通しでは、グローバルの空調機器の市場規模は2014年度の10兆6000億円から2018年度には13兆5000億円へ拡大が予想される。特にビル空調に関しては高い伸びが見込まれており、この成長市場を巡って日系の大手メーカーが欧米のビルオートメーションの大手企業との合弁、提携の動きが相次いでいる。

2014年10月には東芝が米国のビルソリューションや産業システムを手掛ける大手メーカーであるユナイテッドテクノロジーズ社と業務用空調事業における戦略的提携について合意した。これにより東芝とUTC傘下のキヤリア社が出資する空調メーカーの東芝キヤリア(TCC)は業務用空調システムを中心に提携後10年間で、年間売上高を倍増することを目指している。また、2015年10月には日立製作所および日立アプライアンスが、ジョンソンコントロールズとの合弁会社であるジョンソンコントロールズ日立空調を設立し業務を開始している。ジョンソンコントロールズはビルのエネルギー効率や運用効率を最適化する製品を開発する米国の大手企業だ。

これらの合弁・提携の動きの背景には新技術との連携による新しい分野への進出とともに海外の各地域市場での販売力強化などの狙いがある。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報28

中国の国有鉄鋼大手、東北特殊鋼集団が経営破綻し、11日までに遼寧省大連市の裁判所で破産処理手続きに入った。負債総額は約500億元(約7700億円)。過剰な設備や在庫が足かせとなり債務超過に陥った。

同社は鉄鋼需要の冷え込みで経営難に陥り、満期を迎えた社債などが償還できない債務不履行(デフォルト)を、今年に入って9回も起こした。経営トップが3月、同市内で首つり自殺しているのが発見されるなど、混乱が続いていた。

中国による鉄鋼の過剰生産や安値輸出の問題は、9月に浙江省杭州市で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議などでも取り上げられ、中国政府は鉄鋼大手の経営統合や人員整理などの構造調整を進めている。

工場閉鎖や失業者増などによる社会不安の増大を懸念しているためだが、今回のケースでは一歩踏み込んで「破産」を容認した。

11日付の中国紙、21世紀経済報道によると、中国政府は「企業の悪意ある債務逃れを調べ(救済を待つだけの)モラルハザード(倫理観の欠如)を防ぐ」として、赤字続きで改善が見込めない「ゾンビ企業」は破産させる方針だという。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報27

埼玉県内を中心に関東1都6県に店舗展開するスーパー「ヤオコー」(本社・川越市)は10日、神奈川県南部でスーパーの店舗網を持つ「エイヴイ」(本社・神奈川県横須賀市)の発行済みの全株式を取得し、完全子会社化することで合意したと発表した。今後エイヴイの主要株主と買い取り価格などの具体的な交渉を進める。

ヤオコーは、県内に85店舗を持つ地場大手のスーパー。1都6県に150店舗を展開し、「2022年に関東圏で250店舗、売上高5000億円」を目標に、県外への進出に力を入れている。

神奈川県内には10年11月に相模原市に初出店したが、これまでに6店にとどまっている。今回の合意で、神奈川県内での営業を強化したい考えで「双方の経営陣の交流があったことから話がまとまった。低コスト経営の追求など相手のノウハウを取り入れたい」(ヤオコー)としている。

エイヴイは、低価格販売が特徴のスーパーで横須賀市など神奈川県南部に10店舗を展開。16年3月の売上高は483億円で、17億円の最終利益を上げている。【仲村隆】

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報26

ドイツの労働組合ヴェルディは、コメルツ銀行<CBKG.DE>の人員削減について、実際の規模は7000人で、発表よりも少ないとの見方を示した。

コメルツ銀は9月終盤、従業員全体の2割以上に当たる9600人を削減する計画を明らかにした。

ヴェルディによると、既に合意していた1700人も含まれていたほか、毎年平均で約900人は自主的に退職しているとして、実際の削減規模は約7000人だと指摘した。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報25

米アマゾン・ドット・コムはコンビニエンスストアの導入や車まで商品を届ける拠点の設置で食品・日用品事業を拡充する計画だ。この件に詳しい複数の関係者が明らかにした。

それによるとアマゾンは農産品、牛乳、肉製品など生鮮食品を販売する小規模な実店舗の設置を目指す。注文は主にモバイル端末または店舗周辺に備えるタッチスクリーン端末の利用を想定している。ピーナツバター、シリアル類など日持ちする商品の同日宅配サービスも提供する可能性がある。

買い物のスピードを重視する顧客向けには、オンラインで受注した商品を車まで届けるドライブイン拠点を間もなく打ち出す予定だ。待ち時間の短縮に向けてナンバープレートを認識するシステムを開発中という。

アマゾンの広報担当者はコメントを避けた。

この食品販売の実店舗設置計画は社内で「プロジェクト・コモ」と呼ばれている。当面は食品宅配サービス「アマゾン・フレッシュ」の会員限定で提供する予定だ。アマゾンは先週、フレッシュの会費を年299ドル(約3万1000円)から月14.99ドルに変更した。フレッシュは年会費99ドルの「アマゾン・プライム」の会員だけが加入できる。

アマゾンは新しい店舗を設けることで、食品を自分で選んだり、仕事帰りに受け取ることを好む人々を多く呼び込みたい考え。食品・日用品の量販店や、独自の商品受け取り拠点の充実に動いている小売り大手ウォルマート・ストアーズに真っ向から勝負を挑む狙いだ。このほどインターネット通販の新興企業ジェット・ドット・コムを買収したウォルマートは、来年末までに全米約4600店の4分の1近くに店外の商品受け取り拠点を設ける計画を明らかにしている。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報24

日本工作機械工業会が12日発表した9月工作機械受注額(速報値)は、前年比6.3%減の1028億1900万円となった。前月比では4.9%増だった。

このうち、内需は前年比5.0%減(前月比5.5%増)の455億0200万円。外需は前年比7.3%減(同4.3%増)の573億1700万円だった。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報23

ドイツのショイブレ財務相は7日、新たな金融危機発生の可能性を排除できないと警鐘を鳴らし、主要国の超緩和的な金融政策に伴う金融システムへのリスクに関する国際通貨基金(IMF)の考察に同意する考えを示した。

ショイブレ財務相は会見で、欧州中央銀行(ECB)のゼロ金利政策や他の異例の措置を含む「超緩和的な金融政策」に対する批判を再表明、「新たな危機が訪れるリスクは完全には消滅していない」と語った。

モーゲージ担保証券(MBS)の不正販売問題をめぐり、米当局から最大140億ドルの罰金支払いを求められているドイツ銀行<DBKGn.DE>の健全性に関する質問には、コメントを差し控えた。

IMF総会で、低金利環境下で長期的に収益を確保するため、ドイツ銀は事業モデルを見直す必要があるといった指摘が出たことについては、IMFや他の国際機関に欧州の銀行を監視する役割はないとけん制しつつも、国際社会において緩和金融政策のリスクをめぐる懸念の声が高まっていると強調。「世界的な過剰債務と超緩和的な金融政策という2つの問題は、対処が必要なリスク要因である可能性がある」と語った。

株式会社Z-ONE

依田一義の経済情報22

終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落。朝方発表された9月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を下回る伸びにとどまったことを受け、ドル売りが出た。ポンドはアジア取引時間に急落。わずか数分の間に10%下落する「フラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)」が発生した。

9月の米雇用者数は15万6000人増と、8月の16万7000人(改定後)増から鈍化し、予想の17万5000人を下回った。ただ、労働参加率が上昇し、時間当たり賃金が0.2%増となったことが、米連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げに踏み切る可能性があるとの見方を支え、ドルは下げ渋った。

BNYメロンのシニア・グローバルマーケッツ・ストラテジスト、マービン・ロー氏は、非農業部門雇用者数の増加数は予想を下回ったものの、「内訳は12月の利上げの論拠となり得る内容で、FRBのタカ派が年内利上げに向けて勢いづく公算が大きい」と語った。

終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数は0.3%低下し96.501。雇用統計発表前には約2カ月ぶりの高水準をつけていた。

ドル/円は1%安の102.91円。ユーロ/ドルは0.4%高の1.1198ドル。

ポンドはアジア取引時間帯に、わずか数分間で1ポンド=1.2600ドル近辺から1.1378ドル近辺まで約10%急落。トムソン・ロイターのデータによるとポンドは1.1491ドルまで下落し、1985年以来、31年ぶりの安値を更新した。

チャールズ・ハノーバー・インベストメンツの投資助言マネジャー、ジョナサン・ロイ氏は、英国のEU離脱をめぐり市場で懸念が出ていることがあらためて浮き彫りになったとの見方を示した。

米雇用統計を受けドルが他の主要通貨に対し売られたことを手がかりに、ポンドはニューヨーク取引時間に入り下げ幅を縮小。終盤、ポンドは1.5%安の1.2442ドル。

株式会社Z-ONE